岸田行倫捕手の契約更改が終わった。その中で興味深かったのは、背番号が27になったことだ。原監督は背番号にこだわる指揮官だ。とりわけ過去の名選手が背負った背番号のイメージを、大切にしている。あまりにシャッフルが多いので、ファンからはユニフォームのレプリカの購入が間に合わないと不評も出るくらいだ。しかし、背番号は選手が一番にこだわる部分で、今回の岸田捕手の27は特に思い入れがあるはずだ。
名捕手が背負う27
27は名捕手が背負う番号として、プロ野球界では共通の認識が有ると言っているだろう。近年では古田敦也さんと谷繁元信さんが付けていた。古田さんはヤクルトの名捕手大矢明彦さんから受け継いだものだ。西武ライオンズの黄金期の名捕手伊東勤さんも27を付け続けた。
ホークスだけは野村克也さんが付けた19を、甲斐拓也さんが受け継ぎましたね。
巨人の27が名捕手のナンバーのルーツ
V9時代の正捕手は森祇晶さんが27をつけて、名捕手の地位を確立した。森さんはその後西武ライオンズの黄金期の監督も務めて、伊藤さんを育て上げている。伊藤さんの27番のルーツは森さんだと言っていいだろう。森さんも初代ではなく、森さんの前には吉原正喜さんという名捕手がつけていた。キャッチャーの評価について 本当のことを言わない解説者
その後西武で伊藤さんの後の27を受け継いで捕手を務めていた、炭谷銀仁朗捕手のFA移籍によってジャイアンツの捕手27の系譜は続いている。原監督が27を岸田捕手に渡したということは、それだけの期待を持っていると考えて間違いない。
実松さん、市川さんを忘れているわけではありません。
期待される岸田捕手
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ポジション | 捕手 |
投打 | 右投右打 |
身長/体重 | 176cm/88kg |
生年月日 | 1996年10月10日 |
経歴 | 報徳学園高 – 大阪ガス |
ドラフト | 2017年ドラフト2位 |
2017年のドラフト2位で大阪ガスから入団しているが、その年のドラフト3位は大城卓三捕手であるので、その期待度の高さは疑問の余地がない。大城捕手はもともと打撃を買われての指名だったようだが、捕手にこだわり現在のポジションを確立している。岸田捕手は岡本和真選手と同級生で、高校時代に全日本の中軸をともに打っていた。まだ25歳と捕手としては若く、捕手は育成に比較的に時間がかかるポジションなので、これからが活躍の本番というところでいいだろう。打撃も捕手としては期待できる方ではないだろうか。守備力も十分に上ってきていると思うので、総合力では決して小林誠司捕手や大城捕手には負けているとは思えない。むしろ年齢から見ても、伸び代が一番期待できる捕手と考えていいと思う。明るい性格でYou Tubeで円陣番長と異名を付けられる動画が公開されているが、この捕手が正捕手となって投手をリードできるようになれば、珍しいタイプの捕手となるし、もしかしたら坂本勇人選手の後のキャプテンは岸田捕手になるかもしれない。
年度 | 試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 犠打 | 犠飛 | 四球 | 死球 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
2019 | 4 | 7 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2020 | 34 | 48 | 43 | 2 | 13 | 3 | 0 | 1 | 19 | 5 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 | 16 | 4 | 0.302 | 0.442 | 0.34 |
2021 | 27 | 24 | 22 | 1 | 4 | 0 | 1 | 0 | 6 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 8 | 0 | 0.182 | 0.273 | 0.25 |
通算 | 65 | 79 | 72 | 3 | 17 | 3 | 1 | 1 | 25 | 7 | 0 | 0 | 1 | 1 | 5 | 0 | 26 | 4 | 0.236 | 0.347 | 0.282 |
まだ捕手としては若い
捕手はやることが多い。配球面でも勉強することが多く、批判にも晒される。最近では森友哉捕手がコンバートを噂されるなど、苦労の多いポジションだ。阿部慎之助捕手も入団当時は批判にさらされて苦労されたようだ。谷繁元信さんも35歳からやっと捕手の楽しさが解ったとコメントしており、若い頃は苦労の連続だったと言っている。古田敦也さんが野村監督にベンチで立たされた話や、城島健司捕手が工藤公康さんから厳しい指導を受けていたなど、捕手の苦労話は尽きることがない。今年大活躍だったヤクルトの中村悠平捕手も、勝ってやっと評価が上ってきている。その中村捕手は既に31歳だ。25歳の岸田捕手はこれからが、苦労する時ではないだろうか。ライバルの小林捕手や大城捕手も正捕手を掴みきれていない中で、岸田捕手に原監督がかける期待は、かなり大きいのではないかと思う。今年炭谷捕手をトレードで放出したこと、中央大学の古賀悠斗捕手を指名しなかったことは、岸田捕手の目処がある程度たったという、巨人首脳陣の考えの証左なのではないだろうか。
大学から社会人を経て入団した小林捕手や大城捕手と比べても、まだ25歳の岸田捕手はこれからの捕手と考えていいだろう。
苦労の多いポジションですが、27を与えられ捕手の補強がなかった来年は、正捕手取りのチャンスです。オフに鍛えて春のキャンプから飛び出して欲しいですね。