日米を揺るがした賭博問題は、今もなお世間を騒がせています。一般の日本人にとっては金額が大きすぎて、常識では考えられない問題が起きてしまっています。ただ、金額の多寡の問題があるとはいえ、同じ様な事件が散見されるのも事実だと思います。
アスリートの人間教育
人間の時間は誰しも平等に1日24時間です。限られた時間を何に費やすかは、人それぞれ違います。大谷選手が遊び歩かずに、野球にほとんど全ての時間を捧げているのは、有名な話です。ヌートバー選手の食事の誘いを睡眠時間確保のために断ったエピソードは、決して大げさなものではなく、そこまでしているからこその体調維持に伴う成績なのでしょう。遠征先のニューヨークでも殆出歩かないという話を聞いて、驚いた人も多いのではないでしょうか?一般人で仕事でニューヨークに出張があれば、観光の時間を確保して時間の許す限り見て回るのが凡人で、大谷選手の様なストイックな姿勢はそれとはかけ離れています。
今回の大谷選手が巻き込まれた事件は、一般人の目から見れば大谷選手の管理の甘さも目についてしまいす。あれほどの大金が抜かれているのに気が付かないのは、どうなのかという疑問は一般人ならば当然あるでしょう。
言い方は悪いですが、大谷選手も大人なんだからそれぐらい管理したら良いという考えは、常識といえば常識ですが、超一流のアスリートになると、話は違ってくるのかもしれません。
大谷選手は高校から日本ハムに入団して、そのままメジャー移籍という特殊な世界で生きてきています。もっと言ってしまえば、高校時代も普通の高校生とは違った生活環境で、時間の使い方も特殊なものだったと思います。野球部以外の友人との交流も限られた時間しかなかったでしょうし、友人と悪い遊びを覚えることもなかったでしょう。
逆に言えば今まで大谷選手の周囲には、いい人ばかりしかいなかったのかもしれません。周囲に良い人ばかりであれば、人を信じやすくなり疑うことができない人間になるかもしれません。疑うこと自体に嫌悪を覚えてしまうこともあるでしょう。メジャーで大成功を収めてきたこれまでの人間関係と時間の使い方を、疑う必要はまったくなかったのでしょう。
お金の問題は教育が必要
日本はお金の教育をいままで学校では、ほとんどしてきませんでした。資本主義でありながら金儲けを教育せず、労働することばかりを美徳とする教育の是非は別にして、お金の管理の仕方を学校は教えてくれません。高校から親元を離れて合宿生活をしていたとすると、お金の教育を善意でしてくれる人は周囲にはいないでしょう。そんな事をすれば、かえって周囲に疑われてしまいます。アスリート仲間でそういった事を情報交換することはあると思いますが、そもそも騙されている人が情報を発信・伝達する場合さえあります。
よく働くがお金の管理は、銀行に置いておくだけという人がとても多いのが日本人だと思います。
大金に目が眩むこと
水原一平氏はそもそも悪人ではないと思います。これだけ長期間にわたって大谷選手と人間関係を築いてきたのは、信頼関係を大谷選手と誠実に築いた時期が長かったからだと推測します。ただ水原氏は、狙われてしまった可能性があります。米国ではいろいろな情報が我々の知らないところで取り交わされています。クレジットカードの購入歴などは最もポピュラーな情報で、様々な場面で利用されています。
大谷選手というビッグネームの側近が、情報を抜かれてターゲットにされた可能性は十分にあると個人的には推測します。
クレジットカードの使用歴などから、ギャンブルに対する耐性などを予想して、ターゲットにされれば、その道のプロは容赦がないと思います。気が付いたら抜けられない泥沼にはめることは容易いでしょう。私の周囲にもギャンブル依存症で自己破産した人間がいましたが、至って普通の良い人でした。常識人でもあり普通の家庭人でしたが、ギャンブルから抜け出せなくなり地位を失い、自己破産をしてしまいました。そのギャンブルも公営のものから違法のものまであったようです。違法のものはツケで買えてしまうものがあるので、際限がなくなります。そうなるともう金額の感覚が狂ってしまうのでしょう。精算をしないということは、正気に戻るチャンスを失うことに繋がると思います。
アスリートの金銭教育を
大金を稼ぐアスリートの周囲には、悪い人が集まってきます。本人がガードが固くても、今回のように側近を狙うケースも有り、ある程度の自己管理ができないようでは、周囲に事件を誘発してしまうこともあるでしょう。
高卒選手を入団させるのであれば、そういった教育は球団がある程度やる必要があると思います。球団は球団を守るための、マスコミ対応だけを教育するのではなく、金銭管理や投資指導などについても最低限の教育を行う必要があると思います。さらに言えば人間関係も、大学卒や社会人を経由した選手とは違い、経験が不十分だと思うのです。
人間誰しも人を信じすぎて失敗することもあり、失敗から学ぶことも多いと思います。しかしアスリートの場合は若くして大金を掴むこともあり、1度の失敗が取り返しのつかないことにもなりかねません。日本に限らず米国のプロアスリートも、大金を手にした直後に大きな失敗をしてしまう人がたびたび出てきてしまいます。
スポーツで大成するためにすべてを犠牲にしてきているとは言え、大きな失敗でキャリアを台無しにしてしまうことのないように、一定の基礎教育は必要だと思います。