巨人の阿部監督に名将の予感 ブレない方針と根拠のある判断

ジャイアンツはここまで混戦とはいえ、6勝5敗と昨年Bクラスのチームとしては健闘しています。特に阿部監督はセ・リーグで唯一人の新人監督でありながら、落ち着いた采配を続けてくれています。ベンチ内でもプレーに一喜一憂するのではなく、チームやゲームを俯瞰して見ているような雰囲気があります。

ブレない方針は選手に安心感

阿部監督が選手に出した注文がいくつかありますが、今までのところ概ねその方針にあった采配を続けています。どこで怒り出すかわからない上司に部下はいつもビクビクするものですが、阿部監督には奥いった雰囲気はなく、選手も比較的落ち着いてプレーしているように見えます。

フォアボールは許さない

フォアボールを安易に出す投手は許さず、厳しい処遇をしているところは全くブレていません。苦しくなったら真ん中で勝負という方針も、浸透してきているようで無駄な四死球は減っているようです。現在四死球は32個でリーグで広島と同数で2位の少なさです。(1位はドラゴンズでわずか19個と、1.5差で首位を快走している理由が見て取れます。)防御率も序盤でありながら、リーグトップの1.82と(2位はドラゴンズの1.85)効果は良い方に出ているようです。コントロールで苦しんでいた高橋礼投手が好調を維持しているのは、無関係ではないでしょう。

捕手目線での采配

ストライクが入らない投手に対応してリードしていた大城卓三捕手を庇うなど、捕手目線からのコメントは、投手からも信頼すべきものであると同時に、主戦捕手のリードを酷評しない姿勢は好感がもて、これからも続けて欲しいと思います。

4月11日のヤクルト戦で中川皓太選手をアッサリと交代させる決断力と洞察力は、捕手であったことが大きく影響していると思います。中川投手は昨年復活したとはいえ、全盛期のような期待はできそうにないと、阿部監督は考えているのかもしれません。このあたりの感覚は、捕手目線の阿部監督だからできるのでしょう。なんでもかんでも早目に変えるマシンガン継投とは違うところが、投手陣の信頼も得ているのではないでしょうか?

杉内投手コーチ、内海投手コーチとも長くバッテリーを組んできていただけに、このあたりの感覚は共有できていると推測できます。

経験による根拠のある判断

阿部監督の采配を見ていると、根拠のある判断があるように見えます。長嶋茂雄終身名誉監督の采配はカンピューターなどと言われていましたが、データには詳しかったという事も聞きます。阿部監督は捕手出身の監督なので、現役時代に投手を中心として野手の動きを常に見ていました。さらに打者や走者の動きには常に注意を払っていたでしょうし、相手ベンチの動きも常に見ていたはずです。

スリーバントも恐れずに敢行させる阿部監督は、4月11日の試合で吉川尚輝選手に珍しくバントから強行に切り替えて左中間を破らせています。また、同日の試合でツーアウトから出塁した佐々木俊輔選手に対して、カウントによる配球を読んだかのように単独盗塁をさせています。左中間を破った吉川選手の能力や、佐々木選手の思い切りの良さを考えて、サインを出したこれらの攻撃は、阿部監督の細かい情報収集と分析、判断が働いたと思うのは考えすぎではないと思うのです。

このあたりは捕手出身の監督ならではの状況判断によると考えて良いのではないかと思います。ただ、捕手が守っている時に常に阿部監督の指示を見ているようで、少し心配になりますが・・・・

阿部監督の指示や采配を見ていると、チームが勝つためにどんな戦術が必要で、どんな選手が使えるのかがはっきりしてきていると思います。

二軍の桑田監督にはそのあたりの指示はきっと徹底されているのでしょう。二軍に落ちた浅野翔吾選手が早速配球を読んで、本塁打を放ったようですが、こういった選手はまたすぐに喚び戻されるのではないかと思います。

逆に言えば、いつまで経っても実力がありながら1軍に喚ばれない選手は、阿部監督の要求することが理解できない、または実行できないということだと思います。

坂本勇人選手や岡本和真選手などのほんの一握りの中心打者以外は、チームとしての駒になる能力がなければ、二軍で圧倒的な成績を残さないかぎり、チャンスが減って行くばかりだと思います。

見ていて楽しい阿部監督の野球

阿部監督の作戦を見ていると、どんな考えでどういったサインを出しているのか。継投やローテーションについてどう考えているかを、深読みするのが楽しくなってきます。昨年と大きく違うところは、概ねセオリー通りであり、見ていてストレスを感じないことだと思います。(原監督はセオリー無視の奇襲を好むところが多かったと思います。)もう一つは長期目線で選手のコンディション重視をしていて、コーチに言われて監督自身が我慢をしているという状況に見えないことでしょうか。

ジャイアンツの今年の戦力

今年のジャイアンツの戦力は、昨年と大きな差がないと思います。投手陣も実質的な底上げは西舘勇陽投手だけと言ってもいい状況です。

ファームの育成も結果が出せておらず、高卒の投手たちは故障が続発しており、大きな戦力アップは見込めません。打者も今年ブレイクしそうな高卒選手は、浅野翔吾選手ぐらいと言っても良いのかもしれません。

このあたりは早急にテコ入れをしないと、今の制度では優勝を狙うことは難しいと思います。

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