オールスターゲームが、埼玉と仙台で行われた。
2試合を前にオールスターゲームの在り方について疑問を持っていたが、今年のゲームは少し様相が変わったようだ。その仕掛け人は原監督なのかもしれない。
送りバントを指示
第一戦の9回無死一二塁で、原監督はヤクルトの中村悠平捕手に送りバントを命じた。オールスターゲームでは30年ぶりの指示だった。そこで工藤監督は呼応するように、オールスターでは23年ぶりの敬遠を選択。結局その後の2死満塁から中野拓夢選手が四球を選び、押出で決勝点を挙げた。今までの通例から、オールスターゲームに選ばれた選手から貴重な打席を取り上げるような指示は、出ないものと考えていた。中村選手からすればMVPの絶好のチャンスである。賞金も300万円で、高給のプロ野球選手でも小さくない金額だ。
事前に勝ちにこだわる采配をすることを選手にも通知していたようだが、なかなかできる指示ではない。選手のことを考えると、普通に打たすのが無難と言える。
しかし、原監督は真剣勝負を選んだ。厳密に言えば真剣勝負ではないが、何故この選択をできたのだろうか。
以前の選手であれば不満が出そうだけど、今回はどうだったのだろう?
勝ちにこだわるリクエスト
第二戦では挟殺プレーの審判の判定に、リクエストを行った。ここでも勝負に拘る演出をしてみせた。その原監督の演出に呼応するように、大島洋平選手はホームスチールを試みてファンを喜ばせた。原監督に乗せられて、選手もオールスターゲームを盛り上げたように見える。
カスタマーファースト
ビジネスの世界では常識であるお客様第一を、原監督は選択したと言えるのではないか。
先日指摘させてもらったオールスターゲームの在り方について、原監督に回答をしていただいたみたいで嬉しい限りだ。(実際にはそんな事はありえないのだが・・・)
原監督は常に顧客目線を意識していると思う。特に存在意義が色褪せてきたように見えるオールスターゲームについて、一定の問題意識があったのだろう。そしてその問題意識がはじき出した答えが、今回の送りバントでありリクエストだったのだろう。顧客第一のぶれない考え方が根底にあったので、難しく見える判断も即座にできたのだと思う。スタメンの早目の発表も、顧客サービスの一環だと言えるのではないか。(工藤監督に事前に打ち合わせすることもなく発表したのは、日本シリーズでのDH制提案へのささやかなお返しかもしれない。)
原監督だからできること
巨人の歴代監督では、川上監督を抑えて原監督の勝利数が一位となった。
三回目の監督就任で見えてきているものも、以前とは違っているようだ。
ペナントレースでのDH制提案など個人的には同意できない提案も有るが、これも原監督だから提案できるのだろう。
球団だけではなく、球界全体を見渡すことができる原監督の立ち位置に立てることは難しい。勝利数だけであれば原監督よりも上はあるが、原監督のように球界全体を俯瞰できる位置に到達できた監督は少ない。戦略や戦術では原監督がかなわないレジェンドは存在したであろうが、球界の発展を見据えた監督は少ない。
顧客目線を意識してもらえて嬉しいですね。今後も期待しちゃいます。
野球が以前のように一強だった時代はとっくに終わり、ファンサービスを意識しなければならない時代に来ているがために、原監督も今の境地に達したのだろうと思われる。
原監督が球団代表はもとより、コミッショナーに就任する日が来るかもしれない。