2年連続Bクラスに沈んだジャイアンツですが、阿部監督のもと来年の優勝を目指して戦力強化が着々と進んでいます。来年の優勝のため2023年のドラフトは、徹底的な即戦力強化に舵を切り、大学生1名、社会人4名を支配下で指名したところに明確な戦略が見えました。
育成の実績に自信
今年のドラフトで即戦力の指名に振り切ったのは、過去2年で指名した高校生の成長曲線に球団が自信を持っているからではないでしょうか。2023年の支配下のドラフトでは年齢構成で薄くなっている部分を埋めに行っており、明確な戦略が見えました。そしてそれは、30歳以下の中堅層の育成に成功できなかった事の裏返しとも言えます。投手・野手共に、これから一番油が乗り切る世代の選手層が極端に薄いのは、編成部門としても現場としても頭の痛い問題だと思います。スカウティングの失敗や、育成の失敗、FAによる出場機会の減少など、原因は様々あるとは思いますが、その原因を分析して対策を立てることが非常に大切になります。
FAについては外的環境が大きく変わり、FAによる補強が機能しなくなりました。また、峠を過ぎた選手を取ることにより、ベテラン選手がダブついてしまったのは、間違いのない事実でしょう。連続Bクラスという屈辱の中で、明らかにベテランを整理したのは、球団として確かな考え方があることによるのでしょう。そしてその反省のもとにファームの主に高校生のプロスペクトが、成長しだしていることに、球団は自信を深めているのではないでしょうか。
ファーム施設への投資
ジャイアンツはファームのハードを急速に充実させています。現在のジャイアンツ球場の隣に、ファームのための新球場を作ることは、大きな投資であり、本当に楽しみなイベントです。新球場は東京都に位置することになり、あらためて東京をフランチャイズとする球団として、地域に根ざしたチームの強化戦略や、ファンの獲得ができるものと思います。
また新設の寮は3軍制が充実することにより必要になったこともあるとは思いますが、動作解析などの最新の機器を導入したことが報道され、選手たちの強化に大きな効果があるものと期待できます。
人への投資も必要
ハードへの投資と同時に、ソフトへの投資が必要になるでしょう。折角の最新の動作解析マシーンも、それを活かすことができる人材がいなければ、猫に小判です。現状のコーチと選手はハードの扱いが素人同然で、それを活かすことができるノウハウを持った人間を雇い、それをチーム内で共有していかなければなりません。そう考えると、最新のマシーンが十分に活かされるのは、少し先になると考えたほうが良いかもしれません。何れにしろ、現状のコーチ陣だけではなく、最新機器を扱うことのできるプロをメジャーあたりから引っ張ってくる報道がないのは、少し不安なところではあります。
水野スカウト部長の功績
まだスカウト部長になって2年ですが、水野スカウト部長の就任後、明らかにジャイアンツのスカウティングは成功を収めています。昨年は同一試合で指名した選手が全員出場するなど、結果に現れています。これから育成も含めた高校生が頭角を現してくれれば、当分は水野スカウト部長の体制が続くのではないでしょうか。
水野部長の相馬眼による部分は、成功の要因としてあるとは推測しますが、それより大きいのは水野部長のスター性と人柄ではないかと思います。甲子園の大スターだった水野部長は、どこの高校や社会人チームに行っても、目立つことは間違いありません。挨拶をしなくても、ジャイアンツが見に来ているという発信になります。これは結構アマチュアチームには刺激になり、歓迎されるのではないかと思います。
またYou Tubeなどで見る水野スカウト部長のコメントは、様々な方面に気を配ったコメントをしており、興味本位で質問する記者を理路整然とたしなめる場面が散見され、アマチュア球界や他球団の選手やスカウトからも、信頼される人柄なのではないでしょうか。最近のYou Tubeは内部情報を嬉々として暴露するOBなどが多く、少しやりすぎの感があります。ファンへの情報発信は必要ですが、いらない個人情報やエピソードを情報通のように振る舞って暴露する人は、ほんとうの意味では信頼されないと思います。そういった意味では、秘匿するべきところは秘匿する水野部長の人柄は信頼に足る人物であると、外部からも思われ、ジャイアンツの他のスカウトも、やりやすい環境になっているのではないかと思います。
育成コーチの手腕が見どころ
ここからは育成を担当するコーチたちの、腕の見せ所でしょう。原監督から阿部監督に替わり、コーチ陣は大きく若返りました。阿部監督の意向と球団フロントの考え方が、うまく折り合っているのならば、チームは大きく変わると思います。選手たちも大きな転換期で、チャンスが広がると思います。
まずは2月1日のキャンプインが非常に楽しみです。
