原英莉花選手が腰椎ヘルニアの手術から復活して、日本女子オープンを-15で2位の菊地絵理香選手を3打差離して勝ちました。3打差ということでそれほど大きな差はスコア上はつきませんでしたが、内容的には圧倒するものがありました。
スコア以上の差
3位の木村彩子選手は-8ですので、事実上は菊地選手との一騎打ちで、メジャー大会でツーサムということもあって、マッチプレーの様相でした。
菊地選手は持ち前の正確なゴルフで、ノーボギーと素晴らしいスコアでしたが、飛距離では劣るので、バーディーチャンスが少なく、パットもショート気味でした。それでも長めのパーパットを気合で沈める、ガッツパーが印象的で、本当に応援したくなる選手でした。おそらく原英莉花選手とのマッチアップが、菊地選手の集中力を高めたのではと思える内容でした。
対する原英莉花選手は、バーディー逃しのタップインのパーが多く、圧勝の印象が強かったのだと思います。
ゴルフ会員権業者の最大手【日本ゴルフ同友会】原英莉花選手の強さ
圧倒的なドライバーの飛距離
これには菊地選手も圧倒されてしまっていたようです。JLPGAのサイトでは女子プロゴルファーの各種スタッツが公開されていますが、原英莉花選手はドライバーディスタンスでは、8位に位置しています。
順位 | 氏名 | 平均飛距離 |
1 | 神谷 そら | 259.43 |
2 | 穴井 詩 | 257.28 |
3 | 荒川 怜郁 | 256.86 |
4 | 櫻井 心那 | 256.8 |
5 | 竹田 麗央 | 256.63 |
6 | 渡邉 彩香 | 255.97 |
7 | 岩井 明愛 | 254.79 |
8 | 原 英莉花 | 253.92 |
9 | 岩井 千怜 | 253.13 |
10 | 内田 ことこ | 252.51 |
そして注目すべきは、ドライビングディスタンスの順位とフェアウェイキープ率の順位を合計した、トータルドライビングでは圧倒的な1位になっているところです。トータルドライビングではディスタンスで5位にランクインした竹田麗央選手が8位にランクインした以外は、軒並みトップ10から外れてしまっている点を考えると、原英莉花選手のドライバーは圧倒的です。スイングを見ていてもワンピースで淀みなく、バランス良く振っている印象があり、まだまだ余力を残したスイングのように見えます。腰の手術の影響もあるのかもしれませんが、排気量に余裕を残したまま振れる様になったことが、このデータに如実に現れているのではないでしょうか。
パーオン率が2位なのは、このドライバーに支えられている部分が多いのではと推測します。
順位 | 氏名 | 合計pt | DD順位 | FW順位 |
1 | 原 英莉花 | 45 | 8 | 37 |
2 | 佐久間 朱莉 | 50 | 31 | 19 |
3 | 申 ジエ | 55 | 49 | 6 |
4 | イ ミニョン | 56 | 38 | 18 |
5 | 鈴木 愛 | 57 | 26 | 31 |
6 | 稲見 萌寧 | 60 | 40 | 20 |
7 | 阿部 未悠 | 61 | 57 | 4 |
8 | 竹田 麗央 | 63 | 5 | 58 |
9 | 蛭田 みな美 | 64 | 21 | 43 |
10 | 笠 りつ子 | 66 | 27 | 39 |
フェーダーの強みで難コースを攻略
飛んで曲がらない原英莉花選手の強みは、フェードで飛ばすことができるということでしょう。飛距離で苦しむことが多い日本の女子プロゴルファーは、ドローヒッターを多く見かけます。アマチュアゴルファーも飛距離が出るドローを欲しがることが多いのですが、コースが難しくなればなるほど、フェードが有利になります。
最近のメジャーの設定は、距離を伸ばすことが難しいため、ラフを長くしたり、グリーンを硬く速くしたりする傾向にあります。飛距離を伸ばすことは物理的に難しいので、ゴルフクラブの進化に対応する術として、他に選択肢がないのでしょう。
グリーンが硬くなり、速くなれば、ドローでは止まらなくなります。フェードで高い球を打ってバックスピンで止める必要がメジャーでは必要になってきます。メジャーで強い男子プロと言えばタイガーウッズやフィル・ミケルソンなどですが、彼らは勝負どころではフェードを打ちます。日本の第一人者の松山英樹選手も、フェーダーです。今年マスターズを優勝したジョン・ラームもフェードヒッターです。そしてドローヒッターの代表格だったロリー・マキロイもフェードに変えているようです。
ドローヒッターで優勝を重ねている上田桃子選手がメジャーで勝ちきれないのは、このあたりに理由があると思います。メジャーでのコース設定が難しくなっていく傾向は、これからも続いていくと思われ、ドローヒッターだった小祝さくら選手がフェードへの変更を試みたのも、メジャーを考えてのことだったのではと推測します。
アメリカで通用するのは原英莉花選手
飛距離もさることながら、フェーダーであることはアメリカの難しいセッテイングにも対応できるのではと思います。また、原英莉花選手は身長が高いので、アイアンを上から入れられることもラフが厳しいアメリカでは有利に働くと思います。アメリカで賞金女王になった岡本綾子選手は、フェードで飛ばしていました。しかし、腰痛に苦しんだところはフェーダーの定めなのかもしれません。原英莉花選手も自身のプレースタイルから、選手としての寿命は長くないと感じているようです。
今のスイングはやはり腰痛との付き合いが必要で、ヘルニアの再発の危険性さえ否定できないと思います。であるならば、心身ともに充実した現在のタイミングで、迷わず渡米してほしいと思います。メジャーを優勝して国内複数年シードを所持しているので、来年頭から参戦できれば、ベストなのではと思います。
まだまだアプローチを磨いてなどと考えていると、加齢による体の変化が先に来てしまうかもしれません。是非、旬の時期を見逃すこと無く、挑戦してほしいものだと思います。
まだまだ応援したい菊地絵理香選手と上田桃子選手
メジャーが近くて遠い2人ですが、メジャーを手にしたときの盛り上がりは格別のものになると思います。今回も原英莉花選手以外の選手には、菊地絵理香選手は圧倒的に勝っていました。まだまだドローヒッターは息長く戦えます。勝負どころのセカンドでカット打ちができるところまで飛距離が伸びれば、可能性は高くなるのではないでしょうか。ドロー一本から変えることも、必要なのかもしれません。