大野投手と菅野投手

昨年沢村賞を争った大野投手と菅野投手が、勝利を逃した。

さすがに昨年のタイトルホルダーで、2人共好調とは言えない内容だったが、試合をつくっての降板であった。

菅野投手101勝、大野投手69勝で現時点での実績は菅野投手が勝っている。投球回数は菅野投手が1360回、大野投手1198回と3分の1で大きな差はない。大野投手は怪我で1年目を棒に振っており、菅野投手も入団前に1年浪人するなど、苦労をしてきている。

今年の大野投手は開幕試合を回避して、本拠地での開幕投手を務めた。昨年の疲れから準備が間に合わないとか、対戦相手との相性の問題とか色々言われていたが、与田監督は裏ローテにエースをぶつけて確実に勝ちたかったのかもしれない。もともとスロースターターで夏場に絶好調になるようなので、今日の出来は想定どおりといえるのだろう。150キロ超を連発するようなことはなかったが、球威十分で今年も尻上がりに調子を上げそうだ。昨年通りのストレートで押すピッチングで、楽しませてくれそうだ。

対照的に菅野投手は心配な出来で、登板後に脚部の不安を訴えて登録抹消となってしまった。菅野投手はクレバーで器用な投手という印象で、少しずつマイナーチェンジを繰り返しながら、勝ち星を積み重ねてきている。2年前に腰の不安から成績が少し落ちたところで、上半身始動のフォームに変えて昨年の好成績を収めた。今年もプレートを踏む位置を1塁側に変えたり、カーブを試したりと投球内容の改善に努力している。菅野投手は入団時から完成度が高く、好成績をずっと収めているので、他球団の研究が進んでいる。さらに菅野投手はもともとストレートで空振りを取れる投手ではなく、スライダーで三振を奪取する事が多いのだが、そのストレートも威力が頭打ちなので、打者を振り切ることが難しくなってきている。1試合だけならそういうピッチングもできるかもせれないが、長いシーズンで安定した投球を求められているので、省エネスタイルを追求しなければならない側面がある。

そしてもう一つファンの多くが気にかけているのが、勤続疲労である。肩肘はもとより一昨年の腰に、今年の脚部不安である。1塁側のプレートを踏み出したのは、足腰の疲労のことを考えていたのではないかと、開幕前から疑っていたので、余計に心配である。

大事をとってのローテ飛ばしとのことなので、是非無理をせずに帰ってきてもらいたいものである。

さてエースの離脱でチャンスが若手に来るのだが、果たしてチャンスを物にできる投手はいるのだろうか?

エースの菅野投手が抜けるかもしれないのに、外国人投手の補強をしなかったのは、若手の伸びを首脳陣が計算していたからと信じたい。

新人の平内投手は今日2軍で好投したが、1軍で結果を出せるのだろうか?

伸び悩んでいる中堅は、桑田コーチの加入で成長できたのであろうか?

2~3年目の若手は準備が整っているのだろうか?

ボヤッとしている選手や何度もチャンスを物にできない投手を、あっという間に抜き去る若手の出現に期待したい。

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