巨人が弱い理由 阿部監督の計算違いは何か 若手野手が成長しない

ジャイアンツがとんでもない貧打にあえいでいます。オリックスとの交流戦で、2戦連続で先発投手にプロ入り初勝利を献上するという、大失態を演じてしまいました。しかもオリックス先発の佐藤一磨投手は前日の6月8日に支配下登録されたばかりの投手でした。8日に勝利した齋藤響介投手は高卒2年目の19歳で、ドラフト3位で入団した投手です。

ジャイアンツの若手投手陣がなかなか育つのに時間がかかるのに対して、すぐ結果を出すオリックスの若手投手陣のメンタルの強さに、本当に驚きました。

威圧感のないジャイアンツ打線

3連戦でたったの1点しか取れず、安打も10本のみ。3戦目の佐藤一磨投手は、プロ入り初登板にもかかわらず、ジャイアンツ打線を見下ろしているような感じさえ途中からしてきました。前日、前々日に仲間の若手投手が結果を出しているのを見れば、自信が湧いてくるのも当然かも知れません。

9日の打線を見てみると、7番泉口友汰選手が打率.164、8番小林誠司捕手が打率.145、9番菅野智之投手が打率.000で、投手からすれば完全にお休みできる下位打線になってしまっています。普段DH制の中で切れ目のない打線を相手にしているパ・リーグの投手からしたら、精神的に楽になるのは間違いないでしょう。全く戦力にならない投手が9番にいるのだから、7番と8番はとても重要になります。7番か8番がどちらか出れば、9番はバントという選択肢で活きてくるケースがありますが、今の状態では3イニングの内の1イニングは、完全に手を抜けるイニングになります。場合によっては2イニングが無駄になる打順の周りもあるため、上位打線に集中できることになるでしょう。こうなると打順の廻りが悪いので、バッターが3巡目を迎えること無く投手が変わってしまうケースも有り、先発投手としては引き出しの少ない投手や、球威が落ちる投手でも楽に5回ぐらいまでは持ってしまいそうです。

淡白な打撃を繰り返すジャイアンツ打線

好球必打といえば聞こえは良いですが、仕留めることができなければ単なる早打ちです。追い込まれたら自分の打撃ができないという理由でファーストストライクから打つことが許されるのは、長打力があるか、少なくとも打率が.250なければならないと思います。打率から考えれば確率的に難しいでしょう。6回に1回しかヒットが打てないならば、早打ちが許されるバッターではないと思います。打率が2割に満たないならば、相手投手に球数を投げさせてフォアボールをもぎ取るような姿勢を見せられないのであれば、先発野手としては失格だと思います。もしそんな打撃をプライドが許さないのであれば、もう一度自分の打率が球場に表示されている方を恥じてもらいたいと思います。打率.150なんて投手でも打てる選手はいくらでもいます。守備重視の打線もありですが、全体のバランスは大切です。

4番岡本和真選手は力不足?

岡本選手はこの3連戦で、相手の4番の西川龍馬と対照的な結果になってしまいました。打率.267で得点圏打率が.280では、勝負強いバッターとはとても言えないでしょう。岡本選手は打点をとても大切にしていると言っていました。当然数字としての打点はとても大切ですが、4番は打点を稼げばいいというものではないと思います。

4番の大きな役割は、打線に勢いをつけることだと思います。チャンスに犠牲フライを打ち上げて1打点を稼ぐのは、どちらかと言うと5番打者の仕事だと思います。4番はチャンスでヒット、できればホームランで、打線を活気づかせることができなければ、役目を果たしているとは個人的には思えません。

では岡本選手は精神的に弱く、4番としては力不足なのでしょうか?

私は決してそうは思いません。むしろ孤軍奮闘で岡本選手は頑張っていると思います。しかし打線を考えたときに、前後のバッターが弱すぎます。更に下位打線が極端に弱いので、相手投手がバテません。

岡本選手は決して闘志が表に出るバッターではないので、前後に闘志が表に出るバッターがいないと暗さだけが目立ってしまい、相手投手に対してのプレッシャーがかからなくなってしまいます。

王貞治選手は明るい雰囲気はありませんでしたが、太陽のような長嶋茂雄選手がいたことが王選手の記録を押し上げたことは間違いないでしょう。長嶋茂雄選手が引退した後、張本勲選手をトレードで取ったのは、王選手を孤立させないためだったと言っていいでしょう。

原辰徳選手もチャンスに弱い印象が強く、明るいキャラクターのはずが4番の重圧に負けているような印象が残ってしまいました。もし闘志むき出しの吉村禎章選手が順調に3番に座り続けたら、原選手の印象も通算成績も、大きく上がったのではないかと想像します。

阿部監督の計算違い

岡本和真選手の前後を打つバッターを作れなかったのは、大きな誤算だったと思います。サードに回った坂本勇人選手には大きな期待をしていたはずですし、外国人野手にもクリーンナップの可能性を考えていたと思います。

秋広優人選手が全く伸びてこないのも、阿部監督には大きな誤算だったと思います。苦肉の策で門脇誠選手を3番に使っていましたが、門脇選手は過度の期待からなのか、それとも他球団の研究が進んだのか、全く打てずに守備のリズムまで壊してしまいました。阿部監督は今更のように門脇選手には守備しか期待していないとのコメントを出していますが、3番に置いておきながらそれはないと思います。

門脇誠選手と大城卓三捕手の不調

守りから入る野球に間違いはないと思います。今の順位でいられるのも、投手を中心とした守りの野球ができているからでしょう。しかし、守りの野球の中でも、4番の岡本和真選手を中心とした打線には、少なくとも3得点を平均で期待していたはずです。少ないチャンスを中軸で返すためには、あまりにも他の打順が弱すぎます。

このままでは門脇選手、大城卓三捕手に続いて、岡本和真選手までも精神的に潰れてしまうのではないかと、心配になってしまいます。

接戦ばかりで気の抜けない戦いが続き、岡本選手の精神的負担はケアが必要なレベルだと思います。

ファンとしては喜びを爆発させる、門脇選手や大城捕手が見たい。そしてチャンスでホームランを打って雄叫びを上げる、岡本和真選手が見たいと思います。

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