開幕直前にジャイアンツの新外国人選手が退団という、衝撃的な情報が飛び込んできました。ライトのレギュラーを予定されていたオドーア選手が、ファームでの調整を受け入れずに帰国するということです。新外国人がシーズン開幕直後、またはシーズン開幕前に帰国してしまうことは、過去にもなかったわけではありません。しかし、最近は日米の情報も密にかわされており、双方の理解が進んだうえでの契約が状態化していたように考えていたので、別の意味で驚きがあったことは確かです。
日本の生活に合わない場合は仕方がない
ジャイアンツは野手の外国人が、オドーア選手の他に1軍にはいませんでした。これはやはり新外国人選手にとっては厳しい環境だったと思います。ウィラーの存在はありましたが、プレイヤーではありません。人によって順応性が違いますし、気になる点も変わってきます。日本のような安全な国で清潔な国ならば誰でも平気かといえば、全くそんなことはありません。逆に言えばアメリカで全く順応できない日本人は少なくありません。比較的アジア人に優しい環境のシンガポールに駐在していた私の知人の前任者は、ノイローゼになって帰国してしまいました。それほど異国の環境は難しいものがあります。ましてや結果が求められるスポーツ選手で、ファーム行きを命じられたとあれば、かなりのショックだったのでしょう。特にメジャーとマイナーの環境の違いは、日本の1軍と2軍の差とは桁違いに違います。オドーア選手が日本の、特にジャイアンツ球場の環境を何処まで理解していたかわかりませんが、このあたりの理解が進んでいれば帰国には至らなかったかもしれません。
プレーぶりを見ていても1塁までの全力疾走を怠らないなど、真面目な性格も見えていただけに、逆に追い込まれてしまったのかもしれません。
ジャイアンツの編成は良い契約をした
1軍に帯同することを条件とした契約ではなかったのは、過去の失敗から学んでおり、ジャイアンツの編成はいい仕事をしていたと思います。
オドーア選手に何を求めて契約したのか
最近のメジャーの選手は打率は残せないが、出塁率が高い選手が出てきており、オドーア選手がかつてのメジャーの選手とは違うタイプの選手だったかもしれず、本番での変化を見たかった気もしますが、現場での判断が優先されるのは当然だと思います。
ただ、長打力があり本塁打が打てる割には三振と打率に期待できないのは、メジャーでの成績を見れば分かると思います。シーズンに入って2割そこそこでも本塁打30本を期待して取ったのならば、もう少し使ってみて欲しかったと思います。採用担当が現場とどれだけ意思疎通ができていたのか疑問が残ります。
本塁打が出ていないのは、コンディションとストライクゾーンへの慣れの問題だったとしたならば、少し判断が早すぎた可能性もあります。
阿部監督のブレない姿勢
阿部監督の考え方はまた1つ選手に伝わったと思います。実力主義を貫く姿勢についていけない選手や、考え方の甘さが出てしまっている選手は、今までの実績と関係なく使われないということだと思います。こういった姿勢は賢い選手には伝わりやすく、鈍感な選手には分からないことだと思います。敏感な選手が必ず大成するわけではありませんが、チームに緊張感が走ることは間違いないでしょう。
若手外野陣には大チャンス
オドーア選手の退団によって編成部門は新たな外国人の調査に本腰が入るでしょう。しかしこれから契約交渉をしても、来日は5月がいいところでしょう。激しい1軍争いをしていた若手外野手にとって、1ヶ月の猶予が与えられたことになります。これは本当に大きなチャンスで、ここで一気にパフォーマンスを上げることができれば、シーズンを通しての活躍も見えてきます。
外野手に当確のレギュラーがいないという異常事態ではありますが、ここでレギュラーをつかめなければ、この先も難しいでしょう。
いずれにしても大チャンスです。
大きく変わったジャイアンツ
今回のような出来事が、速く展開することは組織としてどうなんでしょうか?
契約時点で現場と編成とのすり合わせができていたのかは、検証する必要があると思います。また、オドーア選手へのケアが充分であったかどうかも、検証の対象とすることが必要でしょう。現場の早期の結論は、これ以上に事態を悪化させることはありませんでした。しかし、貴重な外国人枠を無駄にしていることは間違いありません。また、若手が得られるべきだったオープン戦での打席数も無駄にしてしまった感もあります。
ただ、昨年までのジャイアンツとは違う面をハッキリ見せてくれたことは間違いありません。現場の選手のモチベーションを上げることにこの件を持っていけるかどうかが、注目されます。
追加で招集される外野手は誰なのでしょうか?ファームスタートに腐らずに努力をしてきた選手は誰なのでしょうか?