阿部監督が早くも原監督との違いを随所に見せてくれる中で、”流石に捕手出身の監督”と思わせてくるコメントが有りました。いろいろと就任前にはマスコミに言われていた阿部監督ですが、そんな懸念は早々に払拭され、能力の高さを垣間見せてくれる現実は、ファンを喜ばせてくれています。
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2軍から上がってきた投手をいきなり先発で使うことが、原監督にはとにかく多かったと思います。これについては賛否両論があると思いますが、阿部監督は同じ手法を取らないようです。2軍から上がってきた投手をいきなり先発させることは、経験豊富な投手ならまだしも、1軍で実績が殆どない投手について起用することは、原監督以前にはなかったとおもいます。上原浩治投手などのピカピカのドラフト1位であれば話は別ですが、2軍で成長をしてきた投手をいきなり1軍の先発ということは、阿部監督は反対の立場のようです。この様な起用をされた投手は原政権下では決して珍しいことではありませんでした。最近では井上温大投手が2軍で無双状態ではありながら、1軍では全く通用しないことが続いています。
捕手目線の阿部監督
投手の投球を打者に一番近いところで見ているのが捕手です。ある意味、投手本人よりも球の質であったり、打者の反応がわかるポジションです。ジャイアンツ史上で間違いなく最高の捕手であった阿部監督が、「通用するはずがない。」というのであれば、これほど信憑性のある証言はありません。その阿部監督が、”ブルペンでの投球は評価しない。”、”2軍で無双しても1軍は別。”というのであれば、周囲は頷かざるを得ないでしょう。
投手コーチは現役時代は自身の投球に関しての分析は、ある程度できるでしょう。その経験を投げる側としての投手コーチとして活かせるのは当然です。しかし、投手本人よりも捕手は遥かに多い場数を踏み、様々なタイプの投手をリードしてきています。現在の投手コーチである杉内コーチや内海コーチの球を、誰よりも受けてきたのは阿部捕手です。桑田2軍監督の晩年6年間も、ジャイアンツの正捕手を張ってきています。阿部監督はどの投手コーチよりも、対打者という事について場数を踏んでいます。
この財産は他のポジションの選手とは比べ物にはならず、期待が高まるのは当然のことだと思います。
チーム全体を見られる阿部監督
もう一つ2軍から上がってきた投手をいきなり先発で使わない理由の一つに、負けパターンで頑張っている投手たちの気持ちを考えるためとコメントしています。これは原監督にはない目線でした。ブルペン陣の気持ちにまで言及することは原監督には余り見られなかったことで、どちらかというとリリーバーは駒として酷使されるイメージが強かったと思います。しかし、阿部監督はここでも早々と、独自色を打ち出してきています。気持ちで投げることも多いリリーバーが、阿部監督の気遣いを受け取った時に、どれだけ気迫のこもった投球をしてくれるか今から楽しみでなりません。
4年間準備していた阿部監督
就任時のインタビューで自身の目指す野球について、まだ考えていないと発言した阿部監督ですが、原監督と余り違う方針をその場でコメントすることを避けたのではないかと、今となれば推測できます。それほど原監督と阿部監督との投手に対する考え方の違いが見えた最近です。原監督のもとでの4年間で、もちろん得るものは多かったと思います。しかしながら、自分の考えと合わないことも、とても多かったのだと思います。
そこで原監督とぶつかるのではなく、原監督の成功と失敗をじっと見据えていたのではないかと思います。
決して正面からぶつかるのではなく、時期を待って準備していた阿部監督は、自分の打ち出したいことがまだまだあるのではないかと思います。
守備重視の阿部監督
守備の野球を打ち出したところも、原監督とは大きく違うでしょう。ウォーカーとポランコを両翼で使う野球などは、阿部監督は絶対にしないでしょう。センターもできれば日本人とコメントしているところで、ブリンソンをセンターに起用した原監督とは違い、バッテリーに寄り添った野球をするに違いないと思います。
「真ん中に投げろ。」という指令だけが独り歩きしていますが、打たせればバックが守ってくれるという状態を、間違いなく阿部監督は目指しているはずです。
かつて鹿取義隆投手がライオンズに移籍した際に、当時の鉄壁の守備陣をバックにして、「野手が防げないことはしない。フォアボール、デッドボール、ホームラン。」と考えていたとコメントしていますが、こういう状況を阿部監督も目指しているのだと思います。
ファインプレーにはチームもファンも盛り上がる
昨年は門脇誠選手が、ファインプレーでチームを盛り上げました。ファインプレーは投手も力になりますし、ファンも大いに盛り上がります。逆に相手チームは勢いを削がれます。決して軽視してはいけない問題です。そして無様なエラーや目に見えないエラーは、投手に言い訳を作ってしまいますし、ファンもガッカリし、相手チームは勢いづきます。
来年は東京ドームが守りから盛り上がる場面を、たくさん見ることができると信じています。