FA宣言が注目されていたジャイアンツの中田翔選手が、自由契約を選択して他球団への移籍が決定的となりました。一部メディアでは驚きをもって報道されています。しかし、レギュラー争い、高年俸、守備位置など色々な要因が作用して結論が注目されましたが、結果的に一番落ち着く方向で終着したと言って良いのではと思います。
株式投資の学校出場機会を求めた中田翔選手
阿部監督に交代することによって、ジャイアンツは長期政権で歪んだものを正しい方向に修正する方向に動いています。まずはベテラン野手が多すぎることです。2022年シーズンが始まる前に、当時の阿部ヘッドコーチが、長野久義選手、中島宏之選手、松田宣浩選手に対して、3人が同時に一軍に居る事はあり得ないと言っていたようですが、当然のことでしょう。超ベテランの右の代打要員を3人もベンチにおいておくことは不可能で、それだけで若手野手の成長機会を奪ってしまっています。まともに球団の編成部門が機能していれば、年齢構成などから3人も獲得することは有り得なかったと思います。更にファーストしか守れない34歳の中田選手がいれば、バランスを欠いていることは間違いありませんでした。原監督の辞任により、中島宏之選手が戦力外となり、引退の松田選手とともに整理がされてきましたが、中田選手の存在も若返りを目指す球団の構想とはズレたものになってしまったのは、当然の流れでしょう。
阿部監督は就任直後からショート門脇誠選手、サード坂本勇人選手、ファースト岡本和真選手を打ち出しており、下手に競争などと言わないところが、阿部監督の正直さを表していると思います。
中田選手も阿部監督の正直なコメントにより、決断がつきやすかったのではないかと思います。
3億の年俸
すべてが捻れていたジャイアンツは、中田選手の3年3億という高年俸にも現れていたと思います。昨年締結した時に、余りの厚遇に疑問をいだいた人も少なくないはずです。そしてそれは球団内やチーム内にもあったと推測できます。
2022年シーズンが不調だったとはいえ、5年連続30本塁打を達成した4番の岡本和真選手が、3000万ダウンの2億7000万円で更改したと言われているのに、中田選手が3億円と報道されていたのには、ファンの中にも違和感を覚えた人も多いのではないでしょうか。実際のところはどうなっているのか本人たちでさえわからない部分があったとは思いますが、4番を守り続けていた岡本選手のプライドは少なからず傷がついたと思います。
そしてその3億と言われている高年俸が、皮肉な事に中田選手の自由を奪ったことにもなりました。
FAできなかった理由
本来であれば堂々とFA宣言すればよかったのですが、FAでは買い手がつかない可能性が出てきてしまいました。その一つの要因が3億と言われている高年俸でしょう。今の中田選手の状態で3億の年俸を出せる球団は限られています。そのうえ補償選手を取られてしまうということであれば、二の足を踏む球団が増えても仕方がありません。
更に、今年は同タイプで年齢の若い山川穂高選手のFA宣言もあって、中田選手の相対的なマーケットバリューが下がってしまいました。このことも中田選手がFA出来なかった理由の一つにあると思います。
チームメイトへの気遣い
中田選手は日本ハムでの謹慎処分があり、原監督に拾ってもらった形になり、ジャイアンツには一定の恩義を感じていると思います。それはチームメイトに対しても同じでしょう。ジャイアンツは若返りの時期にあり、明らかに中田選手は構想から外れつつありました。また不祥事で入団したにも関わらず、チームメイトは比較的好意を持って受け入れてくれたと思います。(ジャイアンツは外様にも優しい球団です。)
また、師匠として慕ってくれる秋広選手ともポジションが被る可能性もあり、中田選手はジャイアンツのチームメイトとポジション争いを全力でやる気になれなかったのではと思ってしまいます。何も柵のないところで、思い切ってレギュラー争いをしたいという優しい気持ちが、中田選手にはあったのではないかと推測します。
3億を選ばずスタメンを目指す
自由契約になった後、3億を出す球団はあるのでしょうか?山川選手がFAしたことにより、更にその可能性は減少したと考えるのが普通です。にも関わらず出場機会を求めて自由契約を選んだ中田選手は、応援に値する選手です。
家族の後押しがなければ、この決断はできないでしょうし、かなり悩んだとは思います。
決して報道されていることが全てだとは思いませんが、筋は通る決断だと思います。
様々な要因が絡み合ったと思える今回のオプトアウトによる自由契約ですが、これからの一つのモデルケースになったと思います。球団も中田選手も3年契約を結ぶ際に、既に想定していた事であり、ある意味予定通りという結末と言えるのではないでしょうか?
そういった意味では、一部で報道されているような驚きは無かったと思います。