何故巨人は社会人ばかり指名しトレード連発?阿部監督の狙いと理由

2023年のドラフトで、社会人ばかり5人を支配下で指名して話題になったジャイアンツですが、日本シリーズが終わるとともに、トレードを連発しています。FA戦線が本格化する前のこの素早い動きには、少し驚きました。ジャイアンツが何故これほど大きな動きをするのか、考えてみたいと思います。

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中堅選手への警告のドラフト

ジャイアンツが社会人ばかりを支配下で指名したドラフトを見て、中堅選手の伸び悩みが原因だと考える傾向が大きかったと思います。過去のドラフト1位選手を見ても、戦力になっていない選手が多く、当然の考え方だと思います。更に言えば、将来において伸びしろのある高校生を育成で取るというのは、合理的にも見えます。また、今年の高校生のレベルの問題も指摘されており、支配下での高校生の指名が低調だったことは、全球団の指名においても見て取れます。しかし、それだけが理由ではないこともまた事実でしょう。

若手の伸び悩みが1つの理由

2022年のドラフト4位で指名した門脇誠選手が、あっという間にレギュラーポジションを獲得しました。それまで坂本選手の後釜には、中山礼都選手が有力視され、順調に伸びてきていたと思っていただけに、驚きの事実でした。首脳陣には中山選手の成長が物足りなかったというのが、門脇選手の指名にあったことは、間違いないでしょう。しかし二人はお互いに良い競争相手だと思っていたはずですが、門脇選手があっという間に中山選手を置き去りにしてしまった事実は、ジャイアンツの編成や首脳陣に衝撃を与えたのではないかと思います。

中山選手は高卒のドラフト3位で、将来を嘱望されて入団しています。実際入団2年目から、ショートのスタメンを張るなど、着実に成長を見せていました。チーム内では中堅の北村拓己選手や湯浅大選手などを抜き去った印象さえあった選手です。しかし、門脇選手の台頭によってチーム内の競争のレベルの低さが、浮き彫りになってしまいました。チーム内随一の成長株だと思われていた中山選手が、伸び悩んでいることにさえ気が付かないほど、チーム内の競争のレベルが低かったのです。

この事実は内野陣に限ったことではないでしょう。外野手も投手陣も同じ状況にあることは、事実でしょう。外野陣も今年、秋広優人選手が出てきましたが、強烈な競争相手が居るかとなると、チーム内には存在しません。丸佳浩選手や梶谷隆幸選手がコンディションの上がらない中、出場しているようでは、若手の競争が激しいとは言えません。

投手陣も有望株と言われながら、いつまでも一本立ちできない投手が多すぎます。かつてのドラフト1位も戦力になれないまま、引退が相次いでいます。

ジャイアンツの現状は、若手の伸びが見られません。その原因の一つは競争意識の欠如にあるのではと考えても、不思議ではありません。

中継ぎ投手陣の伸び悩み

ここ数年の問題が解決しないリリーフ投手の問題も、同じでしょう。頭数は揃っているものの、任せられる投手が出てこずに、言葉を選ばずに言えば”どんぐりの背比べ”と揶揄されても仕方がないと思います。ジャイアンツの投手陣を見ていると、仲がよく、いい人が揃っていて、チームワークが良い雰囲気が伝わってきます。しかし、それは同時に競争意識の欠如につながってくると見ることが出来ます。

突き抜けた成長がみられないなか、多くの投手たちがチャンスを与えられ、ポジションを獲得できずに次の投手にチャンスが与えられる現状は、競争が激しいとは言えないでしょう。

今回のトレードの理由

今回トレードで獲得した3人は、いずれも今シーズンは力があると思われながらも、十分なチャンスが与えられませんでした。オリックスとソフトバンクは、実力者が多いので、少ないチャンスを物にできなければ、塩漬けになってしまうチームなのでしょう。ジャイアンツとは正反対のチーム状況です。そんな厳しいチームにいた実力者が、和気あいあいの仲良しチームにもたらしてくれるものを、球団は望んだのだと思います。

ジャイアンツはマスコミ球団でスキャンダルを嫌うので、性格的に問題のある選手は取らない傾向にあると思います。入ってくる選手は皆いい人で、逆に言えばギラついた選手は余り見かけません。しかしプロ野球は競争が必要な社会です。球団は3軍までつくり激しい競争を求めているにも関わらず、いい人軍団で競争が甘ければ、本末転倒です。

今回のトレードの一番の目的は、3人の選手の力量とともに、競争が激しいチームで培われたギラツキ感がチームに必要だったのではと、推測しています。

阿部監督が望む厳しさ

今の御時世は選手に厳しく接して猛練習を課すことができない事実を、阿部監督は十分に認知しています。チームの選手に厳しさを求めるのであれば、新しい血を入れることが特効薬であると考え抜いた上でのトレードとドラフトでしょう。

新人でも若手の有望株でも、中堅の選手でも、いつでも競争意識が薄くならないように、チームを活性化させることができるかが、ジャイアンツを強くする特効薬であると認識しての、今回の素早い動きだと思います。

巨人は強くなる 阿部監督のコメントに見る ジャイアンツの組織強化

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