巨人阿部新監督の首脳陣が決まらない理由 時間がかかるのは当たり前

ジャイアンツの阿部新監督による秋季練習が始まりました。一方で、首脳陣の発表がなかなかありません。5人のコーチが原監督とともに退団したため、その後任やポストの入れ替えのため時間を要しているようですが、私は心配するほどのことはないと思います。ここでは組閣が遅れていると言われる現状とその理由を考えてみたいと思います。

まだシーズンが終了していない

ジャイアンツのシーズンは終わってしまいましたが、まだCSの最中で日本シリーズが終わるまでは、NPBの今シーズンは終わりません。ここで大きな発表をすることは、そもそも他のチームに迷惑がかかると球団は考えているかもしれません。

新監督の就任について最低限発表をしなければ、秋季練習やドラフトにも影響が大きく、また新たなコーチを誘う場合も、新監督の就任がハッキリしなければ動きが鈍くなることが考えられます。そのため新監督と編成のトップに当たる吉村禎章さんの就任を最低限のレベルで発表したと考えます。

シーズン終了前に辞任を発表できない

現時点ではCSに勝ち残っている5チームは、シーズンが終了しておらず、監督の交代を含む首脳陣の人事は発表しづらい段階にあります。そんな段階でジャイアンツがCSに残っているチームから人材を奪う発表は、極力避けたいと考えるのは当然のことでしょう。一部のマスコミから早めの記事が出ていますが、ジャイアンツから正式発表があったわけではなく、その辺りはわきまえた行動がなされていると思います。山口オーナー以下の情報統制が取れているのは、当然のこととは思いますが、素晴らしいことだと思います。

阿部新監督が若いので人材が集まりにくい

若くして指揮官になると困るのは、年下の首脳陣候補が極端に少なくなることだと思います。前回の高橋由伸さんの時よりは、まだ準備時間はあったと思いますが、それでも原監督の辞任までは、阿部新監督が新しい首脳陣に声をかけていたとは考えられません。

44歳の阿部監督より若いコーチとなると、現役選手に限りなく近くなり、コーチ経験が豊富な人材はまずいないと考えるべきだと思います。阿部監督も就任を受諾する際に、その辺りのコーチ人材については、不安だったと思います。

すべてのコーチを年下の人材で埋めるという事は、事実上不可能です。そうなると年上のコーチをある程度入れなければなりませんが、上下関係の厳しい野球界では年下の監督のもとで仕事ができる人材は多くないと思います。

監督は絶対の存在であるとは言えども、言葉の端々や態度に、監督を軽く見るような人材は絶対に避けなければならないでしょう。一般社会でも年下の上司に付くことが、うまく出来ない人材は令和の時代になっても、少なからずいます。野球界では、もっとそういった人材が多いのではないでしょうか。

今回早々と退任をした5人のコーチは、何れも阿部新監督より歳上であり、5人のうち4人は外様のコーチです。ジャイアンツを強くしたいという気持ちよりも、原監督のために就任した気持ちが強いのかもしれず、阿部新監督のもとでジャイアンツを強くしたいという気持ちには、切り替えられなかったということだと、推測できます。

そんな状況下で、器の大きい年上の人材で、阿部新監督を心から盛り上げられる人材を選ばなければなりません。このあたりの業務は阿部新監督には極めて難しく、組織づくりには山口オーナーや吉村禎章さんの尽力が、必要になることは間違いないと思います。

オーナーが責任を持つと発表した意義

今回の阿部新監督の就任に当たり、コーチ人事について山口オーナーが阿部新監督の意向を十分に聞いて、最終的にはオーナーが決めるとコメントしています。人事については、最終責任は山口オーナーにあるという意味だと取っていいと思います。これは今まで全権監督と言われていた原監督による、ある意味歪な体制からの、脱却を意味しており、喜ばしい発言だと思います。

そしてコーチ人事などに十分な時間がなかった阿部新監督を、全力で支えるという意味も強く含まれていると思います。

おそらく高橋由伸さんが苦労したことを阿部新監督も見ており、そのことに危惧する新監督を、山口オーナーが支えるという、理想的な組織になったのではないかと思います。

組織としてのジャイアンツが生まれ変わる

原前監督の個人商店に近かったジャイアンツが、本来の組織力を取り戻したとするならば、来シーズンからは、楽しみが増えると思います。

3軍制をとってどんどん組織が巨大化しているジャイアンツは、もう全権監督がすべてを見ることが出来ないほどになっていると思います。また、トレーニング方法や動作解析などが進むスポーツ界にとって、専門性の高い職種が増えていることは間違いなく、伝統的な手法にこだわる時間の余裕はないと思います。

そんな状況下で、ジャイアンツとイーグルスが若い監督を就任させたのは、時節にあった選択というべきでしょう。

来季のジャイアンツは大きく変わっていくことが、間違いなく期待できると思います。

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