シーズン終盤で借金7。最下位中日と1.5ゲーム差は緊急事態宣言と言って良い状態でしょう。原監督は「男になってくれる人がいない。」と鎮痛なコメントをだしました。選手強化に対する資金が多くはない中日と、この時点で成績に大差がない現実は、強化の方法に問題がある事を結果が示す形となりました。
原監督の続投は無いかもしれない
「2月1日にもう一度戻りたい。」
スポーツ報知に原監督のコメントが上記のように出ました。これは自らのこの1年の取り組みに失敗した事を、認めたコメントと取っていいでしょう。続投が決まっていれば、来年の2月1日に対してどうするかを考えるべきではありますが、過去に戻りたいとコメントしたとなると、原監督にしては珍しい後ろ向きのコメントです。夏には続投を確認した記事が出ましたが、ここに来て方針の転換があっても、この現状では不思議ではありません。
世代間ギャップの大きさは計り知れない
原監督の功績と実績は輝くべきものですが、それも時の流れには逆らえません。言うまでもありませんが、野球界以外の環境は大きく変わっています。特に教育環境の変化はここ10年で大きく変わっており、幼少期に受けてきた教育の違いは、心根に深く刻まれています。また高校野球や大学野球の指導方法も、原監督が受けてきた学生野球の指導方法とは様変わりしているはずです。阿部二軍監督の厳しい指導を、メディアがネガティブに報じることを昨年数多く見ましたが、現在の高校野球の指導を受けてきた選手たちを厳しく指導することに、原監督を始めとするジャイアンツの首脳陣が戸惑うことは十分に有り得る話ではないでしょうか。
原監督は今年64歳ですが、今の高校生はお孫さん世代と言っても間違いないと思います。原監督にお孫さんがいらっしゃるかどうかはわかりませんが、十分に理解できる年齢差とは言いにくいでしょう。特に今の高校生は体罰などとは、全く無縁の教育環境で育っています。ゲンコツが当たり前だった時代は、遥か彼方です。
もう選手のせいには出来ない
ここまで殆どの選手が期待ハズレで終わってしまうと、選手個々の問題というよりもフロントを含めた組織の問題、首脳陣のチーム運営の問題と認識せざるをえないのではないでしょうか。原監督は全権監督と言われていますが、実際はどの程度任されているかは不明です。しかし、表現が難しくなりますが、球団フロントと現場の監督の仕事は全く違います。ましてプロ野球の現場は隔離された社会で、一般社会との常識の隔たりは大きいと思います。
教育環境などが急激に変化した現代において、閉ざされた世界で過ごしてきた人材が適応することは時間を要すると思います。
米国式の指導方法と日本のアマチュアスポーツ
最近メジャーを経験した指導者がプロ野球には増えてきましたが、米国式の指導方法が、どこか今の若者達にマッチするとしても偶然ではないはずです。厳しい縦社会を柱として存在していた学生野球が、大きく変革を遂げているのと同じ理由で、日本のプロ野球も変化していかなければならない時期に来ているのかもしれません。高校野球や大学野球でも一時代を築いた名将たちが、ユニフォームを脱いでいる事、学生スポーツやアマチュアスポーツでハラスメントなどの事件が次々と明るみに出ている事などが、変化の現れと言えると思います。
読売新聞と日本テレビ
マスメディアを親会社に持つジャイアンツのフロントが、ハラスメントや不祥事の問題に敏感になるのは当然のことでしょう。その反作用で、選手に行き届いた指導ができなくなっていたとしても不思議ではありません。同じことはかなり前から一般社会では起こっており、原監督のような管理職は大変苦労しました。管理職の社内教育に各企業は力を入れていましたが、それでもハラスメントなどの問題は治まることがありませんでした。
新しい指導方法を確立する必要がある
かつてのように名伯楽といわれるコーチが、選手と向き合って厳しく指導するなどという方法は、もう時代に合わないのかもしれません。コーチや監督に指導方法をすべて任せること無く、ある一定のガイドラインを作らなければ、問題を防ぐことは難しいと思います。監督やコーチたちも、フリーハンドでは問題を起こすことが怖くなるのではないでしょうか。
米国の一般社会を見習うならば
米国では上司は成績の上がらない社員に、指導をすることなどは殆どありません。厳しい指導は、人事部などによって禁じられている企業が多いと思います。そして成績が上がらない社員は、簡単に解雇されます。
米国式に選手と向き合う事が、お互いリスクを減少させるのであれば、入団時にもドライな関係で契約を結ぶ必要があると思います。入団時にウェットな関係を築く事が、後に禍根を残すことに繋がるのではないでしょうか。
アマチュア側も送り出すにあたって、覚悟を決める必要があるのもまた事実です。
今のジャイアンツは選手とウェットな関係を保っているように見えますが、他の球団の中にはドライな関係を良としているところも有るようです。
ジャイアンツは大きく変われるか
激変するスポーツ界の環境の中で、ジャイアンツは大きく変われるのでしょうか?
まずは大きく変わる必要が有ることを、球団が認識できるかが大きな問題だと思います。小手先の変化では変われない筈で、秋にはその答えが出るのではないでしょうか。