育成を一つの目標に掲げるジャイアンツだが、ドラフトや外国人補強の失敗を指摘されることが多い。ドラフトでは2020年に指名した選手が、昨シーズン1軍の戦力にならず、他チームの新人選手の活躍を羨ましく思う場面が多かった。2019年の指名選手では、1位堀田賢慎投手、2位太田龍投手、4位井上温人投手が入団後に全員手術をするなど、あまりいい結果が現時点では出ていない。全権監督である原監督は、当然問題点を承知しており、対策を打ってきている。
スカパー!基本プラン水野雄仁スカウト部長誕生
2021年10月に水野スカウト部参与が、スカウト部長に就任した。2020年の4月から空席となっていた役職に、昇格した形だ。大切なポジションが1年以上も空席だったことからも、巨人の内部が通常ではない状況があった事が推測される。後任を決めないままに前スカウト部長が退任したところに、原監督の苦労が見え隠れする。就任の4日後にドラフトが迫っていたことをも、差し迫った状況が解る気がする。
名前 | 担当 | 経歴 |
水野 雄仁 | スカウト部部長 | 池田高-巨人 |
榑松 伸介 | スカウト部次長 | 浜松北高-青山学院大 |
武田 康 | スカウト部課長・チーフ | 今治西高-大洋 |
柏田 貴史 | スカウト部主任 北海道・東北担当 | 八代工業高-巨人 |
織田 淳哉 | スカウト部主任 東北・北信越担当 | 日向高-早稲田大-巨 |
渡辺 政仁 | スカウト部主任 関西・中国担当 | 北陽高-巨人 |
内田 強 | 北関東担当 | 東海大相模高-東海大 |
円谷 英俊 | 関東・甲信越担当 | 横浜高-青山学院大-巨人 |
木佐貫 洋 | 関東・東海担当 | 川内高-亜細亜大-巨人-オリックス-日本ハム |
岸 敬祐 | 関西・四国担当 | 関西学院高-関西学院-巨人等 |
脇谷 亮太 | 関東・吸収担当 | 柳ヶ浦高-日本文理大-NTT西日本-巨人-埼玉西武-巨人 |
長江 翔太 | 台湾担当 | 金光大阪高-大阪経済-巨人-BCL富山-台湾人寿 |
高田 誠 | スカウト部参与 | 法政第二高-法政大-巨人-オリックス-巨人 |
友利 結 | 編成本部・海外スカウト担当 | 興南高-横浜大洋-西武-横浜-中日-DeNA-中日 |
14人のスカウトは12球団で最多。数が多ければ良いわけではないが、育成指名も大量に行う巨人であれば、必要だろう。同じ3軍制を取るソフトバンクは10人、阪神は13人と発表されている。
懐かしい名前が並んでいて、来年のキャンプでの新人の活躍が楽しみですね。
OBスカウトの導入
2020年6月にスカウト活動強化のため、巨人軍OB21名と読売巨人軍OBスカウトとして契約を締結したと発表している。今までも非公式でOBは情報提供などを行ってきたと思うが、正式に契約したことによって、情報収集能力は高まることは間違いないだろう。こちらも懐かしい顔ぶれが並ぶが、各地区の強豪校の出身者などが多く、よりきめ細かい情報収集が可能になるのではないだろうか。
名前 | 担当地区 | 経歴 |
高梨 芳昌 | 北海道 | 札幌第一高-巨人 |
佐々木 明義 | 青森 | 三沢商業高-オリックス-巨人 |
羽根川 竜 | 宮城 | 東北高-巨人-ロッテ-CPBL・兄 |
原田 明広 | 茨城 | 笠間高-巨人 |
鴨志田 貴司 | 水戸短大付高-巨人-オリックス | |
小野 剛 | 埼玉 | 桐蔭学園高-武蔵大-巨人-イタリア・サンマリノ-西武 |
大野 雄次 | 神奈川 | 君津商業高-川崎製鉄千葉-大洋-巨人-ヤクルト |
大須賀 允 | 前橋工業高-東北福祉-巨人-広島 | |
前田 隆 | 東京 | 延岡西高-三菱自動車-巨人 |
福井 敬治 | 智弁学園高-巨人-広島 | |
四條 稔 | 山梨 | 東海大甲府高-三菱自動車川崎-巨人-オリックス-横浜 |
佐藤 宏志 | 静岡 | 瀬戸内高-亜細亜大-巨人-楽天 |
林 哲雄 | 岐阜 | 岐阜第一高-巨人 |
石毛 博史 | 富山 | 市立銚子高ー巨人-近鉄-阪神 |
藤本 貴久 | 兵庫 | 中京商業高-巨人 |
籾山 幸徳 | 大阪 | 天理高-立命館大-巨人 |
谷口 功一 | 天理高-巨人-西武-近鉄 | |
浅野 智治 | 岡山 | 岡山南高-巨人-近鉄 |
小沢 浩一 | 島根 | 松江農林高-三菱自動車水島-巨人 |
岸川 勝也 | 福岡 | 佐賀北高-南海・ダイエー-巨人-横浜 |
山本 光将 | 熊本 | 熊本工業高-巨人 |
スカウト活動については、広島やソフトバンクなどが評価されることが多く、人気球団であったがために巨人は地道な活動で見劣りする部分があったかもしれない。しかし、原監督をはじめとする球団幹部に問題意識があったことが伺われ、成果が楽しみな組織改革であった。成果が出るのは2021年のドラフトではないかと予想され、新人選手の活躍が期待される。
米国OBスカウトの導入
巨人の外国人は当たらないことが多く、2021年シーズンもがっかりしたファンは多いだろう。
名前 | 担当地区 |
スコット・マシソン | アメリカ東地区 |
ギャレット・ジョーンズ | アメリカ東地区 |
ジョージ・アリアス | アメリカ中地区 |
ケーシー・マギー | アメリカ中地区 |
岡島 秀樹 | アメリカ西地区 |
国内のOBスカウトが設置された1年後の2021年の6月に、今度は米国OBスカウト導入が発表され、5人のOBスカウトが就任した。経歴を見てもMLBの球団を渡り歩いているOBが多く、信頼度の高い情報を収集できるのではないだろうか。米国のやり手の代理人にやられてしまうことも、少なくなるかもしれない。2022年シーズンの新外国人にも、一層期待が出来るのではないだろうか。
全権を掌握する原監督の守備範囲は極めて広く、心配な部分も有る。しかし組織改革も含めて数々の手を打っていることは、十分に理解できる。あとは組織に人がついてくるか、結果がついてくるかが問題ではある。そのあたりを修正しながら進んでいくことが大切なことは、誰でも解ることであり、今の段階では評価に値する動きではないだろうか。
今シーズンに実を結ぶ部分があれば、良いですね。強いジャイアンツを作るためには、強い組織が必要であることは、原監督が一番感じていることなのでしょうね。