何故巨人は育成能力がない? その理由 岡本和真は稀有な育成成功例

巨人は常勝を義務付けられていると言われている、稀有な存在の球団だ。6チームで優勝を争っているので、普通に考えれば6年に一度の優勝で、普通の確率だが、巨人は毎年優勝を目指し資金もつぎ込んでいる。事実優勝回数はどのチームより多く、優勝を狙える位置でペナントを争っている事が多い。そのためFAなどを利用することも多く、育成が疎かになることも有り、他球団のチームのファンからは育成能力がないと揶揄されることが多い。しかし本当に育成能力がないのだろうか?

投手の育成能力

これについては間違いなくあるといえる。少なくともかつては育成能力があった。斎藤・桑田・槇原の三本柱の時代まで遡るまでもなく、最近でも高橋優投手、戸郷翔征投手は育成途中にあり、成果も出つつある。リリーフでは大江竜聖投手も結果を出している。メルセデス投手も育成の成果と言えるだろう。投手は故障が多いので余ることはあまりない。他球団も主力投手は放出しないように、最大限努力をしている。そして目玉となる選手はMLBを目指すことが多い。野茂さんの時より、日本人投手の実績は輝かしいものが有り、MLBでは高く評価される。そのため大物投手のFAでの獲得が難しいので、自前で育てざるを得ないのだ。従って各チームともドラフトでは大半が投手の指名で、2021年の巨人の指名選手は7人中6人が投手だった。

そして投手はそれほど実戦の機会を与えなくても、ある程度まではファームで育成できる。何故なら打者は一流のピッチャーの攻めを数多く経験しないと対応できないが、投手は一流のバッターとの対戦経験があれば、一流バッターを想定して自らの能力を高めることができるからだ。そしてある程度の能力が身につけば、一軍での活躍の場は広い。ワンポイントから始まって敗戦処理などの場も得られる。段階に応じて一軍でのポジションを上げていけるのだ。

打者の育成能力

これは難しい。アマチュアでいくら成績を残してもプロの投手に対しては、全く対応できないことも多い。プロの投手は打者の弱点を徹底的につくことができるし、精度も高いので間違いがない。徹底的な攻めに佐藤輝明選手が今年の終盤に苦労したのは、記憶に新しい。高校生が金属バットを使うことも、プロ入り後に苦労する一因だろう。

岡本和真選手は稀有な成功例

巨人で育成に成功したといえば、近年では岡本和真選手が挙げられる。日本人の長距離打者の育成は特に難しく、高橋由伸前監督が根気良く使い育成したと言える。しかし、岡本選手は4年目のブレイクした年は、4月から打撃が爆発している。そのため一度もレギュラーから外されることもなく、使い続けることができた。そして岡本選手は守備能力が高かった。特にプレイクした2018年は1塁手126試合、3塁手19試合、外野手23試合を守っている。これだけの打撃能力を持つ選手が3つのポジションを守ることができれば、とても使いやすい選手だ。2019年も1塁手116試合、3塁手65試合、外野手21試合と貢献し、3塁手に固定されたのは2020年からだ。ドラフト1位で野手を指名することは巨人の場合珍しく、過去10年では岡本選手を含めて3人だけだ。残りの二人は小林誠司捕手と吉川尚輝選手となる。

日本人長距離打者の育成が困難な原因

育成成功例の坂本勇人選手と阿部慎之助捕手

ジャイアンツファンの中で育成の成功例としてあげられる2人の名球会選手だが、共通点がある。打撃の将来性はともに嘱望されていたが、守りの能力が高かったことだ。捕手と遊撃手はもともと守備力を求められるポジションだ。少し前ならば、捕手も遊撃手も守れれば、打撃は不問というポジションであった。FAでの補強も難しいポジションで、各チームともに不足気味のポジションだ。巨人の場合もドラフト1位の野手を見てみると、過去20年で捕手と遊撃手以外のポジションは岡本選手の他には高橋由伸選手と長野久義選手だけで、残りの6人の1位指名は捕手と遊撃手に限られる。

そして阿部捕手と坂本選手はともにレギュラーに定着した年は、阿部捕手打率.225、坂本選手打率.257と打撃はキャリアの中で最低を記録している。しかし阿部捕手は428打席、坂本選手は567打席を与えられているのである。この事からも、育成するためにはある程度の打席を、集中的に与えられないと、育成は出来ないことが多いということだ。吉川尚輝選手が伸び悩むのも、自らの体力の問題と、首脳陣の忍耐が足りないということが大きいのではないだろうか。

吉川尚輝選手を2塁のレギュラーに固定したい理由と課題

捕手と二遊間は育成にかけるべき

巨人も逆指名の二岡智宏二軍監督とドラフト1位の坂本選手の前は、遊撃手が定着しなかった。岡崎郁さんと鴻野淳基さんが長くポジションを争っていたが、不動のレギュラーには成れなかった。現在二塁手の育成で苦労しているが、篠塚和典さんと仁志敏久さんはドラフト1位と逆指名で、育成に成功している。他球団からのFAでの獲得も困難で、山田哲人選手クラスは、所属球団が全力で残留させることに今後もなるだろう。外国人で捕手や二遊間を守れる選手は、殆ど出てこない。そうなると何年かに1度の確率で出てくる捕手と二遊間のドラフト1位級の選手は、リスク覚悟で取りに行かざるを得ないと思う。投手のエース候補は毎年のように現れるし、前述のように育成は比較的優しい。捕手や二遊間の選手の場合は、1年間ほどの期間を1軍で打席に立たせないと、本当の意味での育成は出来ない。高橋由伸前監督が見抜いたような慧眼と、岡本和真選手を使い続ける胆力が、首脳陣に必要となると思うのである。

ジャイアンツの成長株 松原聖弥選手は不動の1番になれるか?

ショートとキャッチャーの有望株は、全力で指名に行って欲しいですね。しかも1位指名でないと、その後の育成に腰が座りません。ジャイアンツの生え抜きレギュラー野手の殆どが、1位指名か逆指名の選手でした。

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