球数制限の意外な影響 プロ野球人気の低下に繋がる 競技人口の減少

甲子園の球数制限が導入されて、賛否両論の様相が徐々に落ち着いてきました。球数制限は時間の流れの中で肯定され、議論も亡くなってきました。過度の投球は未成年の肉体に悪影響を与える場合があり、過度の投球を回避することが正義となったと言っていいでしょう。

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議論が沸騰した佐々木朗希投手の登板回避

夏の地方大会の決勝で登板回避をした佐々木朗希投手について、当時は芸論が沸騰しまさに賛否両論でした。

大雑把に言えば年代の高い人ほど理解に苦しみ、若い世代ほど登板を回避を支持する傾向が高かったと思います。時間が経つにつれて登板回避の支持が増えるのはある意味当然の流れかもしれません。

ただこの時の登板回避の決定は、当時の監督と佐々木朗希投手が話し合って決めたとされていることに違和感があります。佐々木投手は後に”監督が決めたことなので仕方がない、投げたい気持ちはあった。”としていることです。

オールドファンの世代であれば、決勝戦を投げられないとなれば、監督に頼み込んで投げさせてもらうという方が、しっくり来ると思います。しかしここで佐々木朗希投手は従っています。どの程度佐々木投手が抵抗したか分かりませんが、いくら監督が言ったとしても本人やチームメイトの気持ちを汲んで、決勝戦で投げるのが理解できる流れです。

また、監督が佐々木投手に無理をさせたくない事情があるのであれば、最大のライバルである花巻東との決勝戦に登板できるように、準々決勝や準決勝でのローテーションを考える方が、佐々木投手本人やチームメイトの気持ちが纏まるのではないかと思わなかったことに疑問に残ります。

高校野球はプロ野球への登竜門ではなく、教育の一環であるとするならば、決勝戦に進出する前にチーム全体で佐々木投手の決勝登板のために、チーム全体で県大会全体を勝ちに行くべきであり、決勝にたどり着かなくても良いという、チームのコンセンサスが取ればよかったと思います。佐々木投手はこの事で大きな話題となり、見事ドラフト1位となり、侍ジャパンにも選出されました。しかし、甲子園出場を逃したために、人生が変わってしまったチームメイトは全くいないとは言えないでしょう。甲子園で活躍すれば、プロ野球や大学野球、社会人野球への道がひらけた選手も存在したかもしれません。その思いを抱えながら卒業していったチームメイトも、いるかも知れません。その可能性を考えると、この時の判断には、今も議論の余地が残っているのではないかと思います。

エースがいなくなる高校野球

佐々木投手の登板回避が肯定的に捉えられるようになった一方で、柔軟性を有する高校野球の指導者たちは、力のある投手を3人4人と養成するようになりました。チームを作る中で、投手候補を多くリクルートし、練習をさせるだけで良いのですから、予算の有る有名校は難しくありません。逆に言えば有望選手をそれほど取れない学校は、強豪校との差が開いてしまったと言えます。強豪校は140Kmを投げる選手を4人5人と揃えて登板させるものですから、背番号1が登板する事が少なくなります。どの投手にも力があり、登板する必要があるので、予選から登板機会を与えます。エースが甲子園での初戦や2回戦で先発しないことは珍しくなくなり、そういう高校ほど優勝できる可能性が高くなります。

そして背番号1の価値が、相対的に低くなってしまいました。甲子園での直前の調子の波が合わなければ、背番号1ではない投手のほうが、登板回数が増える可能性もあるのです。

太田幸司さんや江川卓さんが、一人で投げ続けたあのエースの勇姿は、もう甲子園では見られなくなってしまいました。

甲子園のアイドルと言えば、元祖は定岡正二さんでしょう。荒木大輔さんの人気は想像を絶するものでした。その後輩のハンカチ王子こと斎藤佑樹さんも人気になりましたが、荒木さんのときとは比較にはならなかったことを、荒木さん自身が語っています。

高校野球のスターは背番号1のエース

打者にもスターがいました。原辰徳監督、清原和博さん、松井秀喜さんたちは大スターですが、アイドルには成れませんでした。やはり灼熱の甲子園で、一人でマウンドで投げる背番号1には悲壮感が漂い、ドラマが生まれます。

人気沸騰のアイドルはいつも投手であって、打者は敵役になりがちです。

アニメの主人公もいつも背番号1のエース

漫画やアニメは、スポーツを人気にするコンテンツの一つです。

サッカーは、キャプテン翼のお陰で人気が上がりました。

野球は巨人の星、タッチが代表作だと思いますが、主人公は一人で投げ抜くエースです。

花形満も新田明男もプリンスですが、敵役でした。

やっぱりエースがいなければドラマにならないのは、明らかでしょう。

地方大会の決勝で主人公が投げなければドラマにならず、先発して6回で降りてしまっては、漫画の連載は続かないでしょう。かといって球数制限をなくしてしまっては、リアリティーがなくなります。エンターテイメントとして成立しないということで、世の中に出てこないでしょう。

もう、新たな野球漫画やアニメは登場しないのではと、考えてしまいます。

ドラマがなければ人気は出ない

ただ淡々と競技を続けているだけでは、競技人口は増えません。

野球の人気が日本で圧倒的となり、国技に近い存在までなったのは、ドラマ性があり、物語が紡がれたからでしょう。ただ速い球を投げて、遠くへ飛ばすだけでは人気は続きません。

今は大谷翔平選手が圧倒的な人気ですが、残念ながら海の向こうのお話です。

日本で人気のエースは誰でしょうか?

ドラマ性のある人気のエースは?

田中将大投手に引退の噂があり、ライバルの斎藤佑樹投手は既に引退してしまいました。

球数制限のある甲子園に、ドラマはもう生まれないかもしれません。

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