日本のプロ野球はMLBのマイナーに 鈴木誠也選手100億円

鈴木誠也選手がサンディエゴ・パドレスと、5年80億円の契約を結ぶという報道がされています。(3月17日に5年100億円で、カブスと契約との発表がありました。)全日本の4番であり、現時点ではNPBの最強打者が評価されて移籍することについては、ファンとしては嬉しい限りです。しかし同時に、まだまだ活躍を見たかった鈴木誠也選手が絶頂期を迎える前にメジャーに行ってしまうことは、寂しさも有り複雑な気分になります。

スカパー!プロ野球セット

広島の年俸は安すぎる

2021年   年俸(万円)
1 鈴木誠也 31,000
2 菊池涼介 30,000
3 會澤翼 18,000
4 長野久義 16,500
5 大瀬良大地 15,000

鈴木誠也選手は単純に年数で割れば、1年16億円の年俸を獲得したことになります。昨年の鈴木誠也選手の年俸は3億1千万円と言われていますので、その差は約5倍の13億円です。NPBと比べて労使協定で揉めることが多いMLBですが、その待遇の差はあまりにも大きいと言えます。これだけの差がついてしまえば、多くの選手がリスクを考慮してもMLBへの挑戦を選ぶことが多くなるでしょう。

巨人でも敵わない

 

2021年   年俸(万円) 
1 菅野智之 80,000
2 坂本勇人 50,000
3 丸佳浩 45,000
4 中田翔 34,000
5 サンチェス 34,000

年俸が比較的に高いとされるジャイアンツも、桁が違ってしまいます。野手で最高年俸の坂本勇人選手の2022年の年俸は約6億円と言われており、単純比較でも鈴木誠也選手の半分になってしまいます。坂本選手の場合は日本人選手が成功することがなかった、ショートというポジションであることや、腰に不安を抱えていることなどが障壁となって、MLBへの移籍を目指さなかったという経緯はありますが、その差はあまりに大きいと言わざるを得ません。

こんなところにも顕著な日本人給与の低さ

日本人の給与が上がらず、デフレが続いていることにマスコミは騒ぎますが、給与が変わらずに物価が下がれば暮らしは楽になります。デフレに慣れてしまっている日本人は物価の上昇に過敏になり、給与が上がらないことに鈍感になっています。

MLBではこれだけ労使が激しい交渉をしているのに、NPBでは全く揉めることは有りません。日本ハムでノーテンダーとして自由契約を行ったことについて、少しばかりクレームが付いているようですが、大きな問題には発展していません。

一般社会でも給与を上げることができない経営陣に対して、組合は理解が深く、揉めることは殆どないというのが実情です。

本来であれば一般企業は従業員の給与を上げる事ができるような経営陣を据えなければなりませんが、企業の持ち合いにより物言わぬ株主が多い日本では、能力の足りない経営陣を指摘する株主が多く有りません。

経営努力の足りないNPB

プロ野球に置いても、本来であれば放映権の一括管理などで全体の収益を上げる努力などをしなければなりませんが、選手側の突き上げがないために経営側の努力が促されません。プロ野球の場合は一般の株主が存在しないために、球団経営の管理が行き届いているとは言えないでしょう。放映権をマスコミが持ってしまっているという歪んだ構造の球団では、放映権料が上がることがありません。

球団が儲けられない構造の変革を

親会社がマスコミという球団は、球団に放映権料を譲渡するなどの改革をしない限り、放映権料が上がることはないでしょう。マスコミが親会社の球団には、放映権料の譲渡の交渉などは無理がありますので、選手会やNPB全体で取り決めをして、一部の球団親会社に譲渡を迫るような取り組みをしなければならないでしょう。

日本人全体の給与が上がらないので、NPBの年俸がMLBと同じ様に上がることは現時点ではないと思います。しかしながら、一般社会の差よりも、野球界の格差が大きすぎることは明白です。球団と親会社の歪んだ構造などを正すことは、難しいとは思いますが、選手会やNPBは弁護団を組むなどして、格差是正の努力をしなければならないと思います。

スパニエル
スパニエル

選手の実力差が長年の努力によりなくなってきた野球界ですが、給与の差が開いていく現実を認識して対策を立てないと、いつかMLBのマイナーリーグ化して、人気の凋落を招きかねないと危惧してしまいます。

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