プロ野球で活躍する選手には、頭の良い選手と体の強い選手がいる。
アマチュアレベルでは体の強い選手が活躍できる。
基礎練習や筋力トレーニングなど、人並み以上の体の強さがあれば、アマチュアレベルでは抜きん出ることが出来るようだ。
最近は高校生でもトレーニングにより、150Kmを超えるストレートを投げることが出来る選手が増えてきている。打者も金属バットの効果もあるとはいえ、打球がよく飛ぶ。体つきも高校球児とは思えない体に仕上げている高校生は稀ではない。強豪校ではそんな選手は、毎年出てきている。
スカパー!プロ野球セット科学的な分析
スピードガンはかなり古くから導入されているが、最近はトラックマンなどで回転数や回転軸も計測されて、投球を科学的に分析できるように成った。打者も動作解析などが進み、バットの軌道など過去には見られなかった分析が出来るようになっている。
しかし、やっている選手の方の頭脳は付いて行けているのだろうか。
せっかく細かく分析してデータが揃っても、相変わらず“体幹を鍛えています”では、プロ野球の厳しい世界では競争に勝ち抜けないようだ。
オリックス宮城大弥投手にプロの先輩が驚き
あるテレビ番組のオリックス宮城投手のインタビューで、先輩投手が驚いていた。打者毎や投球毎にプレートを踏む位置を変えているというのだ。どれほど凄いことなのか素人にはわからないが、ヤクルトの館山投手が驚いており、日本シリーズの中では松坂大輔投手がプレートを踏み変える宮城投手について言及している。
宮城投手は当然意識的に工夫しているようで、高卒プロ2年目で14勝を挙げ、防御率は2.51と残した成績は並ではありえない。しかも宮城投手は171cm81kgと、体格に恵まれているわけでもない。ストレートの最速も148Kmと言われており、今のプロ野球では並の球速だろう。
では何故宮城投手は勝てるのだろうか。
そこに宮城投手の頭の良さが顕れているのだろう。
体幹を鍛えるのは未だ足りていないかもしれないが、技術を先行させれば体ができあがっていなくても、勝てる投手になれるということなのだろうか。
プロ野球で成功するために
レジェンドたちのインタビューを見ていると、野球の技術について話し出すと止まらないレジェンドが多い。特に最近はYou Tubeなどで放送時間にとらわれずに深掘していくので、思う存分持論を展開してくれている。興味のある人たちには素晴らしい時代になった。
頭を使わない若手は伸びない?
プロで確たる実績もないのに、今年の課題を聞かれて“体幹を鍛えることです”とか“怪我しない体を作ることです”と答えている選手が多い。確かに体力などを測定して足りない筋力を補う事は、大切なことだろう。本人も厳しいトレーニングに耐えて、やっている感は十分に味わえるだろう。しかしそれで技術の向上はあるのだろうか。
技術が足りていないのに投げ込みをしなければ、勝てる投手には成れないのではないだろうか。戸郷翔征投手や高橋優貴投手の様に、体力不足から後半失速し、下半身の体力不足を補えば、勝てる根拠がある選手はそれでいいだろう。しかし、1軍で勝てる技術力がないのに、闇雲に筋力トレーニングを続けても結果を出すのは難しいのではないだろうか。
本当は勝てる投手になるために、知恵をひねり出さなければならないのに、トレーニングをしてやった気になってしまっていたら、その選手はプロでは活躍できないのだろう。
自主トレなどで、インタビューやトレーニングの情報などを見ていると、選手の考え方の差がかなり見受けられるケースがある。報道されていなくても、頭を使って技術力の向上に努力している選手は、いずれ出てくるのではないかと期待してしまう。
逆に勝てる技術もないのに怪我をしない体作りだけをしていたら、きっと引退は近くなってしまう。
一般社会でも工夫のない人や、ただ与えられた眼の前の仕事をして満足してしまう人は、これからの社会では、どんどんはじき出される可能性が大きい。給与の格差は更についていく事になる。
プロ野球の世界は、格差の解消なんてことは絶対に無い厳しい社会だ。
坂本勇人選手と湯浅大、増田陸の自主トレ
ここまで記事を書いたところで、坂本選手が自主トレを共にする二人に公開説教という報道が目に入った。自主トレメニューを自ら考えてきてほしいという課題に、応えられなかったようだ。坂本選手は後半戦の下半身の衰えから、体幹トレーニングを課題としていた。これに対して湯浅選手と増田選手は自らのメニューを十分に考えていなかったようだ。前日の報道では湯浅選手が坂本選手のメニューをなぞるように体幹強化を課題としてあげ、増田選手は五厘刈りが報道された。これはやはり坂本選手が望むような、頭を使う選手からは遠いのだろう。”アウトです“と坂本選手は厳しいコメントをしている。湯浅選手は5年目で結果を出さなければならない。増田選手は育成落ちからのスタート。そこで自らの強化ポイントをハッキリ出来ず、ただ練習を共にするだけでは結果が出ないことは、坂本選手だから解ることなのだろう。
ただ体を動かして仕事をやった気になっているのは、サラリーマンでも成功しないですよね。 坂本選手の要求に頭がついていかないと、今年も厳しい結果が待っているかもしれません。