いよいよ世代交代のジャイアンツ 原監督の手腕の見せ所と弱点

2023年シーズンのジャイアンツで一番の興味は、世代交代が上手くいくかということでしょう。

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巨人原監督に注目のシーズン

名将といわれる原監督ですが、選手に対しても厳しいとよく言われます。”非情采配”などと報道されることも良くありますが、指揮官として当たり前の事が多く、現場の責任者の仕事をしているにすぎないと思います。むしろ原監督はもともと優しい性格だと推測しますし、いろいろなOBの動画などを見ていると、ゲーム中の采配は果断ですが、いったん球場を後にすると、とても優しく、当たり前ですが悪口を言う人は余り見ることがありません。もともと”プリンス””若大将”などとアマチュアの頃から日向を歩いてきただけに、影の部分が見えない人だと思います。それだけにベンチに入った時間は、厳しさが際立つように見えるのではないでしょうか。

先日もフォアボール連発の救援投手を、直接マウンドで励ますなど、通常では考えられない温情を選手にかけていると感じました。

優しさが邪魔する全権監督

ジャイアンツにはGMが現在はいないので、原監督は全権監督などと言われます。球団の動きを見ていても、原監督に他球団の監督には無い、編成の権限が与えられているように見えます。民主主義や合議制は間違いを起こし難く、責任の所在がはっきりしません。そして時間がかかりすぎます。逆に独裁制は責任者が優秀であれば、物事が早く進む事になります。ジャイアンツは他の球団に比べれば、明らかに監督の権限が強く、責任も重いのではないでしょうか。

その編成業務には、選手の獲得があります。ドラフトやFAなどで編成作業に関わっている原監督を見ると、喜々としており、ファンとしてもポジティブに見ることができます。

浅野翔吾選手を獲得したときの原監督の表情を見ると、こちらもジーンと来てしまうものがありました。

しかし球団の編成業務には、解雇も含まれます。これは優しい性格の原監督には、厳しい作業なのではないでしょうか。

引退後の選手や解雇後のコーチ

おそらくドラスティックに解雇をすることは、現場も預かる原監督には難しいと思います。ジャイアンツの選手やコーチの解雇後を見ていると、多くの選手を球団スタッフとして再雇用しています。球団外で稼げる人材は別として、地道に努力した選手には、現役時代の成績には関係なく、ポジションを与えているように見えます。そのため球団スタッフや、関連団体には選手のOBが数多く起用されています。野球以外に経験がない人材を数多く抱えると、一般社会の常識を持てていない人材が増え、そのあたりの再教育には手がかかるのではないでしょうか。

原監督最大の課題

全権監督と思われ、とても人に優しいと言われる原監督の最大の弱点は、野球の采配以外では非情になれないと言う事ではないでしょうか。つまり選手を解雇できないということです。現在ジャイアンツは3軍制を取っており、育成も含めると毎年20人近い選手を入団させています。またFA等でもベテラン選手を積極的に獲得しています。ジャイアンツは比較的財政が豊かなので、大量の選手を抱えることはできますが、1軍の登録人数は限られています。もっと言えば、1軍の野手のレギュラーポジションは8つしかないのです。原監督はかなり多くの選手を使う監督ですが、それだけに本当のレギュラー以外は、腰を据えて使い切るということをしません。どちらかと言えば、取っ替え引っ替えの印象が強い采配です。

原監督が解雇の権限も与えられているとすれば、必ず活躍のチャンスを公平に与えなければいけないと思っているのではないでしょうか

実力がないものを、使うこともせず非情に切り捨てることができないのは、現場の監督と編成のGMを兼ねているからに他ならないと思います。前述しましたが、独裁制の良いところは物事がスピーディーに進むところです。しかし、原監督の場合はその優しさが、せっかくの全権を無駄にしてしまうのではないかと危惧します。結局兼任することによる責任の重さが、原監督の采配を”みんなにチャンスを!”的な、アマチュア野球のような鋭さを欠くものにしてしまう恐れがあるのではと危惧します。

ベテラン組をどう使う?

今年ジャイアンツは、長野久義と松田宣浩のベテランを獲得しました。しかし、実際には彼らを十分に使い切ることはできないと思います。また、彼らの存在は必ず若手の出番を減らしてしまいます。ここをどう捌くのか、今シーズンの注目点の一つだと思います。WBCでの人間関係や放出時の経緯によって、原監督は非情になりきれず、若手の出番が失われるとすれば、管理職として失格とも言えるでしょう。

坂本勇人選手と菅野智之投手

原監督政権を長きにわたって支えてきた二人を、どうやって処遇するのかはとても難しい問題だと言えるでしょう。菅野投手は故障さえ瘉えれば、ローテーション投手として使うことができ、親戚筋であるがゆえに、ある程度は非情な使い方もできると思います。

しかし、坂本選手に対しては、とても対応が難しいのではないでしょうか。坂本選手はファンも多く、少々成績が落ちても、使わなければならないでしょう。しかし、ジャイアンツには次世代のショートとして門脇誠選手と中山礼都選手が、確実に力をつけてきています。この二人はすでにエレベーター選手の域を超えているようで、実戦で使わなければ、成長の芽を積んでしまいます。そして2軍には原監督と長く戦ってきた、中堅の内野手がとても沢山所属しています。坂本選手が打率.250あたりであるならば、原監督はどういうタクトを振るのか?ジャイアンツの近未来は今年にかかっていると思え、今シーズンは注目です。

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