ジャイアンツの阿部新監督が就任挨拶の中で、”とにかく強い、愛される巨人軍をつくる”と言及しました。強いということは順位に現れることで、人によって大きく解釈が違うことはまずないでしょう。しかし、愛される巨人軍となると、人によって解釈はかなり違ってくると思います。ファンの望む愛されるジャイアンツとは、どんなものなのでしょうか？
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強い巨人軍イコール愛される巨人軍ではない
阿部新監督がわざわざ強いと愛されるを同時に言葉にしたことは、とても重要だと思います。阿部新監督がそこまで深い意味を言葉にしたかどうかはわかりませんが、強くても愛されなければファンは増えていきません。アンチを増やしてしまうばかりで、他球団のファンを増やしてしまうばかりでしょう。プロスポーツのチームであれば勝つことを目指すことは当然ですが、ただ強ければ良いわけではありません。
観客動員が増えている中日ドラゴンズ
ドラゴンズは成績低迷が続いています。立浪和義監督のシーズン終了の挨拶では辞任を求める怒号が飛ぶ中で、続投を承認する拍手や激励の声がマジョリティを占めた様に聞こえました。これはファンがドラゴンズの財政状況などを勘案して、火中の栗を拾った立浪監督を支持したと見ることができますが、もう一つ愛される球団になっている理由があると思います。それは、地元である中部東海圏の選手をドラフトで指名して、主力として育てていることが1つの要因としてあると思います。ドラゴンズの若手では、石川昂弥選手、岡林勇希選手、高橋宏斗投手、根尾昂投手など人気選手が高卒でドラゴンズに入団しています。これはやはり愛される球団としては、ど真ん中の戦略だと思います。資金量で劣るドラゴンズがとったプロスポーツのチームとしては、間違いの無い戦略だと思います。
生え抜き若手中心の阪神タイガース
タイガースは観客動員数で、ジャイアンツを唯一上回る球団です。ファンのタイガースを愛するボルテージは、最近のチームの強さと相まって、上がる一方のように見えます。しかし、タイガースのチーム強化戦略も、ジャイアンツとは一線を画していると言えます。タイガースの主力野手を見ると、軒並み若手で活き活きとしています。そして殆どがドラフトで指名して育てた選手です。特に最近はドラフト1位の選手が、レギュラーとして活躍して、ファンの愛情を掻き立てていると思います。大山悠輔選手、近本光司選手、佐藤輝明選手、森下翔太選手と軒並み活躍している状況は、ファンの心を捉えて離しません。タイガースと言えばジャイアンツに次ぐFAを利用する球団でしたが、スカウティングに力を入れて、見事に強化戦略を転換したと言えるでしょう。
高齢化が進むジャイアンツ
一方でジャイアンツはFAを最近まで取り続けたので、若手が育ちませんでした。そして峠を超えた怪我がちのベテランのFA戦士が増えてしまい、フレッシュさが足りないチームになってしまいました。明らかにドラゴンズやタイガースとは違う方向に進んでしまったのです。強いことを求めすぎた結果、弱くて愛されないチームの方向に進んできてしまった感は拭えません。阿部新監督の”強くて愛されるチーム”の意味が、ここまで考えているうえでの発言ならば、ジャイアンツの未来は明るいと思います。
鍵を握るのはドラフト会議
ジャイアンツの最近のドラフト1位は、活躍できないケースが殆でした。ここでは名前を上げませんが、ここ数年のドラフト1位の投手は1軍にさえいません。これではFAが機能していない現在のNPBでは、強いチームができるはずがありません。一昨年のドラフトで大勢投手を指名できたのが良かっただけで、あとは殆実績が残せていません。この状況を脱するべく、ジャイアンツはスカウト陣を一新して、強化をしています。昨年のドラフトでは4位で門脇誠選手を獲得するなど、それまでとは違う結果が出始めています。そういった意味では、今年のドラフト会議も非常に楽しみです。
FAを封印するべき
毎年のようにFA選手を獲得していたジャイアンツですが、最近は有力選手を獲得できていません。ただ、最近は有力な選手がいなければ無理に獲得することがなくなってきました。これは若手の育成にいい影響を与えていると思います。今年秋広優人選手や、門脇選手が出場機会を増やしたのも、そういった事情があると思います。3軍制を取った今、ファーム組織の活性化は絶対条件です。二軍監督を経験している阿部新監督であれば、その事は十分に認識されていると思います。
今回編成部門の独立性が確立されたようですが、是非編成部門にも投手以外の無理した補強は、控えてもらったほうが良いと思います。
ただ、投手については積極的な補強は必要だと思います。特に今年はドラフトで即戦力の先発投手を2枚は取れると思いますので、リリーフ投手を積極的に補強してほしいと思います。
また、高卒の捕手を一人は指名しないと、数多くの投手の相手も足りないと思います。
ファンに愛される強いジャイアンツを作るため、まずはドラフト会議が大注目だと思います。
