巨人とヤクルトはなぜデッドボールが多いのか? 理由は配球にある

デッドボールで離脱する選手が出るたびに、投手の振る舞いや、首脳陣の態度が問題になっています。9月5日現在での与死球数を見ると、ヤクルトは58個でトップ、2位が巨人で55個です。中日41個、阪神40個、DeNA36個、広島34個と続きます。この傾向は今年だけに限らず、2021年から続いています。そして2020年は巨人が優勝しヤクルトが最下位に沈んだ年ですが、巨人の与死球は59個でトップ、ヤクルトは28個で広島とともに最小です。

優勝した年に与死球が急増したヤクルト

これは明らかに投手陣がインコースを攻めだしたと見て、間違いないでしょう。これには被本塁打数が密接に関係しています。ここ数年は巨人とヤクルトの被本塁打数が1位と2位を記録する傾向にあります。今年も巨人が115本、ヤクルトが123本とワンツーです。これに対して、阪神が75本、広島が93本、中日は59本です。どのチームも120試合を超えた時点ですが、中日の場合は2試合に1本のペースであり、本塁打のリスクはかなり低いことになります。やはりこの事がキャッチャーの配球に影響することは間違いありません。勝つためにインコースに強めに行くことで、ヤクルトは優勝できたとも言えるのです。

本塁打を常に意識するキャッチャーの配球

古田敦也さんが自身のYou Tubeで狭い球場と、広い球場では配球が全く変わるとコメントしています。狭い神宮を本拠地にしていた古田さんは、インコースを攻めることを余儀なくされていました。平成時代のことですので、デッドボールの報復合戦や乱闘は当たり前の時代でした。報復で真っ先に狙われるのは、キャッチャーと4番ですので、真っ先に古田さんは狙われます。つまり、古田さんは自分の体や打撃のことを考えると、報復合戦は避けたいはずです。しかし、古田さんは狭い球場ではインコースを攻めないと、外角球をギリギリに決めても本塁打されてしまうとコメントしています。逆に広い球場では外角にストレートを決めれば、長打が無くなるので配球が楽になる旨を発言しています。これについては中日で活躍した中村捕手も同意しているので、間違いないでしょう。実際与死球と被本塁打のデータを見ても、相関関係があることがわかります。

勝つためにリードを考えた時に、本塁打だけは避けなければならない場面は多く、インコースに攻め込まなければ、外角球を逆方向のフェンスギリギリに打たれてしまうという経験が有るため、仕方なくインコースに行っているのが現実だと思います。

酷評される大城卓三捕手のリード

配球面で酷評されることの多い大城卓三捕手ですが、東京ドームを本拠地としているのでとてもリードが難しいはずです。特に巨人の場合は、DeNAのようにローテーションに左投手が少ないので、苦しいと思います。更に巨人の左投手は技巧派が多く、ストレートとスライダーで攻めきれる投手は中川投手ぐらいです。高梨雄平投手も今村信貴投手も球威が足りないので、インコースのシュートを持ち球にしています。阪神の近本光司選手にデッドボールを与えて離脱させてしまいましたが、あれだけの好打者を外角だけで打ち取れる球威はありません。そんな事はベンチも大城捕手も分かっているので、リスク覚悟で攻めに行っているというところでしょう。それでも当ててしまってはいけないので、とても苦しいところだと推測できます。広い球場を本拠地として外角ストレートを磨くことができるのと、インコースへの要求を必要とする東京ドームで投手を育てるのでは、全く違ってきてしまいます。それほどインコースを攻めるのは投手にとって難しい技術なのでしょう。甘くなったら意味がなく、厳しすぎてはぶつけてしまう。東京ドームや神宮を本拠地とする球団で、投手を育てるのはとても難しいことだと思います。

困ったらアウトローのストレートが、全く通用しないのが東京ドームと神宮なのだと思います。

MLB並みにストライクゾーンの調整を

MLBではストライクゾーンが外に広いことは常識です。国際試合の時も考えれば、ゾーンが共通のほうがメリットが大きいことは間違いがありません。いつまでも同じスポーツとしてゾーンが違うのは違和感しかありません。

また日本の球場は都市部にあり、全体的に狭い傾向にあります。その欠点を補う面でもストライクゾーンの調整は必要なのではないでしょうか。

AI審判の導入

日本以外ではAI審判の導入が、進んでいます。何事も動きが遅い日本ですが、この流れは止められないでしょう。そうなればストライクゾーンは共通になり、間違いなくMLBがスタンダードになります。そうなった時に、デッドボールの問題は少し改善されるかもしれません。

AI審判が導入されれば、キャッチャーのフレーミングなどは不要になり、求められる能力もガラッと変わるはずです。ピッチクロックの導入なども進んでおり、キャッチャーに求められる能力は、スローイングと打撃に集約されるのかもしれません。

ただ、いつの時代でも技術不足によりぶつけてしまうのは、論外です。

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