FIRE生活が2年近くなってきました。サラリーマン生活を卒業してしばらくは、なんとなく落ち着かない生活が続き、時間が解決してくれると思っていたのですが、なかなかそうはならないようです。あれだけ気苦労が絶えなかったサラリーマン生活が無くなったので、心の平静が常に保たれるのかと思っていたのですが、人生それほど甘くないというのが、この歳になって再認識されるという皮肉な事態です。
ここでは今になってやっと理解できたことについて、まとめてみたいと思います。
NOVAの外国人講師がオンラインでレッスンを生配信!お金の不安は決して無くならない
悠々自適には程遠いFIRE生活ですが、それでも金銭的に不安にならないように万全を尽くしたつもりでした。しかし、いくら資産があっても不安が尽きないという、いわゆるお金持ちの話は本当のようです。FIRE前はあまり起こらないだろうと思ってきた事象について、FIRE後には考えるようになってしまいました。心配のタネは尽きないといいますが、なにやら本当のようです。働いている時はそれだけで安心してしまっていることがよく理解できました。本当は働いていても常に色々なリスクに晒されているのですが、働くことによって見えていない、あるいは見ないようにしていることが顕在化してくるのです。
ハイパーインフレの不安
お金に関して言えば、ハイパーインフレは大きな問題です。発展途上国のような本当のハイパーインフレが日本で起こる可能性は極めて低いと思いますが、デフレに慣れきってしまっている今の日本人のマインドは、4%程度のインフレであっても大事に見えてきてしまいます。そのためFIRE後にはインフレ対策をきっちりやっておかないと、心の平静を保つことは難しいと思います。働いている時は、兎に角貯金をしていれば安心でしたが、実際はインフレリスクを見ていなかったことになります。最近は日本人にも投資に対する意欲が湧いてきたようですが、それでも投資をしない人は75%近くいるようです。
サラリーマンが必須の投資は新NISA
投資というと大きな金額を思い浮かべてしまいますが、実際は100円からでも初められます。ここ数年でインデックス投資などに良品があらわれ、サラリーマンが少額から投資できるようになりました。サラリーマンが投資をする場合は、資金が少ないので時間を味方につけるしかありません。できるだけ若いときから少額投資を始めることが、とても大切だと思います。
特に政府が新NISAを創設することを発表したので、そこに乗らない手はありません。逆に言うと、新NISAに乗らないと、増税のみの影響を受けることになります。
そして何より大切なのは、長期の投資によって成功体験を身につけることが、何よりも必要だということです。投資によって着実にリターンが積み重ねることができれば、多少のマーケットの波に、無駄な動きをしない投資マインドが醸成されるからです。
サラリーマンの投資は売買ではなくバイ&ホールド
サラリーマンが株の売買で利ざやを抜くことは、極めて難しいと思います。株を勝ち続けることはほぼ不可能です。勝率5割では手数料と税金で大負けしてしまいます。つまり市場に参入している人たちの投資家よりも、売買手数料と利益の20%の税金分を勝たなければならないからです。(配当控除はここでは考慮に入れません。)
常に相場と睨めっこすることができないサラリーマンが負けないためには、基本的には長期で保有する銘柄を拾っていくしか、個別株では勝てない可能性が極めて高いと思います。
少なくとも単位株を買うためにはまとまった資金が必要で、個別株で失敗した場合には、損を出さないために塩漬けにしなければならない可能性も高くなります。そうなっては心を平静に保つことが難しくなります。そうならないための選択肢として、税制的に有利なのは間違いなく、新NISAによるバイ&ホールドだと思います。特に資金が少ない最初のうちは、優良なインデックスファンドに、積み立てていくのが一番リスクが少ないということは、様々な方が検証し、発表しています。
貯金にもリスクがあることを理解する
銀行破綻のリスクがあることはもちろん、インフレによって貯金は目減りしていきます。むしろインフレが定着したときに、貯金がさらされるリスクは、少ないものではありません。高度成長期のように、銀行預金の利率がインフレをカバーできればいいですが、人口減の続く日本で、かつてのような利率を求めることは難しいと思います。
そのため、リスクを抑えた投資を心穏やかに続けることができる経験値を積んでいくことは、極めて重要だと思います。
働いていることの安心感が怖い
例えば両親の介護などについては、働いている時は深く考えていることはありません。働いているのであれば、なんとかなるだろうと思ってしまうからです。しかし、働くこと自体ができなくなるリスクや、減給や会社倒産リスクなど、実は見ていないリスクが、働いていいても実在しているのです。
働けなくなるリスクを保険などでカバーする事はできますが、それも最低限のものに保険料の観点からせざるを得ません。
生活防衛資金の用意はもちろんのこと、働いて年金をもらうまで頑張るというシナリオは、とても難しいものに今後はなっていくでしょう。
サラリーマンのリスク
日本の経済の停滞の大きな原因の一つに、企業の新陳代謝が進まないことが上げられています。会社が潰れない世の中は安心感がありますが、本来倒産しなければならない企業が存続するためには、安く働く労働者が必要となります。今の日本はその状態の末期的なものと言っていいでしょう。こんな歪んだ状況がいつまでも続くはずがなく、サラリーマンの安定した雇用は、崩れていく途中にあると言っていいでしょう。最近は企業の賃上げが報道されていますが、企業内の給与差はますます大きくなっていくでしょう。そして人材の流動化はこれから、ますます激しくなっていきます。賃上げに見合うスキルが無い社員は、居場所を奪われていくでしょう。こんな状況を乗り越えるためにも、労働者は資本家へとシフトしなければなりません。サラリーマンでいることもリスクを抱えていることを認識して、別のリスクを適正に取ることを体験していかなければならないということです。
定年後にもかならず役に立つ投資経験
定年後には健康状態にもよりますが、長い時間があると考えて良いと思います。10~20年時間があるとすると、定年時の資金のインフレによる目減りリスクは、大きなものになります。だからといって定年後に投資を始めると、経験がないので失敗する可能性が大きくなります。若いうちから経験を積めば、相場の動きに狼狽えることがなくなり、失敗する可能性が低くなると思います。