ジャイアンツの失速が明らかになり、ついに貯金が無くなってしまいました。チーム防御率は3.82で、12球団の最下位です。昨年シーズン終了時に3.63でセ・リーグ4位だったチーム防御率は、悪化しています。
高品質で希少な新鮮食材を産地直送でお届け 羽田空港公式産直通販サイト「羽田産直セレクション」防御率悪化は巨人と中日の2チームのみ
昨年終了時よりも現時点でチーム防御率が悪化しているのは、中日と巨人の2チームのみです。中日は昨年3.22の12球団トップから、大きく劣化してしまいました。この2チームに共通しているのは、監督がバッテリー出身ではないところと、もう一つ投手コーチが変わっているところです。
チーム防御率 | ||
2021年終了時 | 2022年7月11日 | |
ヤクルト | 3.48 | 3.05 |
巨人 | 3.63 | 3.82 |
広島 | 3.81 | 3.41 |
DeNA | 4.15 | 3.66 |
阪神 | 3.30 | 2.77 |
中日 | 3.22 | 3.69 |
ドラゴンズの阿波野秀幸コーチの功績
2019年に亜細亜大学の後輩の与田剛監督から要請されて投手コーチに就任した阿波野コーチは、防御率を前年の4.36から3.72に大幅に改善しています。2020年は3.84、2021年は3.22と、強固な投手王国を作り上げました。広いバンテリンドームを本拠地にしているとはいえ、その手腕は見事と言う他ありません。投手出身の与田監督と阿波野コーチのコンビで、資金力で他球団に劣る中日の投手陣を立て直したのは、他球団の参考になる事例だと思います。
野手出身の立浪監督が攻撃陣のテコ入れに専念できるほど、万全の投手陣でしたが、あっというまに防御率が3.69まで悪化してしまいました。まだ3.69ですので、崩壊しているわけでは有りませんので、与田監督と阿波野コーチのコンビの遺産が効果を残しているという見方もできます。
阿波野さんは解説者として今年は活躍していますが、わかりやすい解説は十分に整理されており、指導者としても成熟されていたのではないかと思います。
コントロール重視のジャイアンツ桑田真澄コーチ
桑田コーチは現役時代に抜群のコントロールで、一時代を築いた名投手です。小柄ながら巨人の三本柱の一人として、その功績は見事なものでした。投手の生命線としてアウトローに投げきることを第一としており、コントロール重視の指導法を現在も行っています。しかし投げ込みなどをあまり行わず、フィジカルトレーニングなどにより急速をアップしている最近の投手に、桑田コーチほどのコントロールを身につけることは難しいのではないでしょうか。
アウトローに毎回は投げられないと主張した杉内コーチ
桑田コーチが出演した同じ番組の中で、杉内俊哉コーチはアウトローに投げ続けることは難しいと思うと発言しています。杉内コーチはその番組の中で、アウトロー1点を狙うのではなく、内外角にラインを引いて投げていたとコメントしていました。桑田コーチがライン出しというゴルフ用語を持ち出して、今年の指導のキーワードとしたのは、杉内コーチの意見もあったのかもしれません。
コントロールよりも球威
桑田コーチが現役の時は、投手は完投を求められました。そのためコントロールを重視して配球に気を使い、主力打者と4回を対戦することを前提にピッチングを組み立てました。コントロールを身につけるためにはブルペンでの投げ込みが必須であることは、多くの解説者がコメントしており、かつてのようなコントロールを、投手を求めることは難しくなっています。
投手は6回までで、リリーフ陣は1回を全力投球ということであれば、球威で押していくピッチングが可能になります。ある一定程度のコントロールを身につけて、ストレートをゾーン内に投げ込んでカウントを良くするピッチングが、今の時代には合っているのではないでしょうか。逆に言えば甘めのストレートでファールや空振りを取れなければ、以前の投手のようなコントロールを身に着けていない投手は、通用しないことになります。
また、首脳陣も球威を回復することを前提に投手を起用しなければならず、リリーフにおいては連投や回跨ぎを可能な限り避けて、投手が常に良い状態で、球威で押すピッチングを可能にする必要があると思います。
巨人の首脳陣は育成戦略の切り替えが必要
好調を続けているチームは、ある程度の起用法を守って投手陣を整備しているのが、明らかではないでしょうか。コントロールで打者を打ち取ることが出来る投手は、極めて少なくなっている事は、分業制が確立されたことによって、かなり前から明らかになっています。育成に置いても、コントロールよりも球威を重視するべきと思います。しかし、ジャイアンツのファームの投手を見ていても、あまり球威で押せる投手が育っていない事が明らかです。特に救援陣にはその人材が少なく、今の一軍の状態を改善できる状況にはないと思います。