プロ野球 理想の監督像 新しいタイプの誕生を望む

プロ野球では毎年多くの選手が引退していくが、監督も交代していく。12球団で優勝を勝ち取ることが出来るのは2球団で、勝つことは易しくない。時代とともに求められる管理職は変わっていくが、プロ野球の理想の監督像も当然変わっていく。

スカパー!プロ野球セット

何故プロ野球の監督が難しいのか

常に注目される存在

プロ野球の監督は、常に批判の目にさらされている。一般社会の中間管理職であれば上司と社員、直接の顧客の目が、殆どの批判の目に当たるだろう。役員ともなれば消費者や株主の目を気にしなければならないが、常に批判の目にさらされている事は少ない。

ところがプロ野球の監督は、毎日常に監視されているような状態だ。長島終身名誉監督などは、ウインドブレーカーを脱ぐタイミングなどが注目の的となるなど、ファンの視線は熱い。長島さんの様に常に注目された根っからのスターであれば、耐えられるのかもしれないが、ファンの視線をエネルギーに変えられるような人は稀ではないだろうか。そんな環境の中で、中間管理職の現場監督という重責を背負うのは、大変なことだろう。

結果が順位でしかない現状

勝負事なので最終的には優勝を、勝ち取らなければならない。コアなファンの中には育成を重視する傾向が強い層も存在するが、それでも育成の先には優勝を勝ち取らなければならない。

何よりもやっている選手たちは、勝ちに飢えている。アマチュアスポーツや草野球だって、負け続けていたら面白くない。やがてモチベーションが下がり、プレーの質も落ちてしまうだろう。何よりも選手たちの成績が上がらなければ給料は上がらないし、たとえ個人成績が良くても、優勝を逃したチームの昇給は、優勝したチームの昇給より渋く抑えられがちになる傾向がある。結果、勝つことができない監督は、理想の監督とは言えなくなってしまう。

新しいタイプの監督 ビッグボス 新庄剛志監督

新庄ビッグボスが“優勝なんて目指さない”と就任早々コメントしていたが、本音と立前が入り混じった発言の様だ。新庄さんはファンサービスを大切にして、次々と発信している。派手な演出が好みのようで、マスコミにとってはとてもありがたい存在だ。中身が疎かになったような印象を受けることも有るが、実際は野球そのものには真摯に取り組む、真面目な監督だと思う。清宮幸太郎選手に減量司令を出したり、杉谷拳士選手にオフのバラエティー出演を自粛させたりと、話題を提供してくれているが、どれも管理職としては当たり前の話で、他の監督も常にそういった司令は出しているはずだ。ただファンを楽しませることに注力していることは、これまでの言動や練習内容を見ても明らかだ。日本ハムという合理主義を貫く球団で、どれだけ優勝に近づいていけるか注目度はとても高い。

矢野燿大監督の退任発表はメンタル維持が理由ではないだろうか

異例のキャンプ前の退任発表で注目を集めた矢野監督だが、これも後には新しい退任発表の形になるかもしれない。以前にもつなぎの監督として登板した監督もいたが、ここまで明確に退任時期を明らかにした監督はいないだろう。阪神という人気球団の監督を担うことは、想像以上に大変なことで、報道では退路を断ったという形になっているが、実情はどうなのだろう。矢野監督の中で今年最後ということで、心のバランスを取ろうとしたのではないかと想像してしまう。成績を見れば立派な成績で、この実績で更迭なんていうことになれば、後任の候補がいなくなってしまうのではないだろうか。いい形で引き継ぐためにも、矢野監督の引き際を球団も、できればファンにも守ってあげて欲しいという考えは甘いだろうか。

信じた道を貫く立浪和義監督

まさにオールドスクールタイプの監督だ。身だしなみから全体練習での笑顔禁止まで、厳しさを全面に押し出した立浪監督は、ぶれない信念が溢れている。ミスタードラゴンズと言われる実績が有るからこそという側面はあるものの、ゆるい方向に流れがちな昨今では珍しいタイプと言えるだろう。最強であったPL学園から、強かった時代のドラゴンズの中心人物で、勝つことの大切さを知っているからこその信念だろう。落合監督時代のような猛練習が今の時代でも出来るのであれば、ドラゴンズの復活は可能だろう。片岡二軍監督の起用も、その思いからと考えていいだろう。このキャンプでの猛練習や、シーズン開幕後の2軍での厳しさが保てるのであれば、立浪監督の胴上げも見られるかもしれない。最近の子どもたちの教育環境を考えれば、なかなか難しい方向性ではある。立浪監督が新しいタイプの厳しさを確立できるのであれば、ここでも新しい理想の監督が誕生するかもしれない。

世の中が変われば、そこに対応した変化が求められるのは、プロ野球の監督も同じですね。

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