いよいよキャンプインも近づいて来た。この季節は一番話題が少なく、各チームの主力選手の自主トレがことさらに強調することもないのに、取り上げられるくらいだ。各チームの新人選手も合同自主トレで汗を流している。はじめてのプロの練習ということで緊張感が高まるだろう自主トレだが、その内容はとても軽いようだ。
スカパー!プロ野球セット巨人の自主トレスケジュール
報知の記事によると、練習は10時からで、12時半には終了するという軽いものだ。初日ということを考慮しているのだろうか、途中で首脳陣の訓示が20分有り実質は2時間10分だ。You Tubeで雰囲気だけは見ることが出来たが、新人らしく緊張していた。You Tubeのために個人的なインタビューなどもあったりして、ジャイアンツのファンに向けたサービスの趣旨も見ることが出来た。しかしこれから厳しい競争を勝ち抜かなければならない新人選手は、いささか拍子抜けだったかもしれない。
9:50 | グラウンド入り |
10:00 | ランニングなどのアップ開始 |
10:20 | 原監督らから訓示 |
10:40 | キャッチボール |
10:50 | ペッパー(トス打撃) |
11:00 | 室内に移動 |
11:05 | ノック |
11:30 | ティー打撃 |
11:45 | 投手陣は腹筋、野手陣は素振り |
12:15 | グラウンドでランニング |
12:30 | 練習終了 |
2日目以降は、当然時間も強度も上がっていくのだろう。しかし自主トレ期間とはいえ、2月1日のキャンプでいきなり脱落したり、怪我をしたりしないよう首脳陣は配慮してもらいたい。
自分で考えられない野球選手
野球の場合はアマチュア時代には、指導者から与えられるメニューを消化するだけで精一杯の選手が多い。野球は練習時間も長く、他種目に比べて厳しい練習メニューのケースが多いだろう。ゴルフなどの個人スポーツは、チームプレーに費やす時間もないので、独自でメニューを考えて取り組まなければならない。課題を自らみつけ、それを解決するために指導者に相談するということが、常態化されている。そこに甘えや妥協があれば、上達はしない。
それに反して野球はチームプレーも多く、全体練習がとても多いので、みんなでメニューを消化するだけで、やった気になり充実感を味わうことが出来るだろう。
ライバルに勝つために
新人選手の場合は怪我をしない体つくりが大切だが、それ以上にチーム内のライバルに勝たなければならない。最近の教育環境では順位付けを嫌ったりする場面が多いようだが、実社会は競争社会だ。プロスポーツの世界は極めて短い期間で、勝負がついてしまう競争社会だ。今年入った新人選手も、1年経てばまた新しいライバルが入団してくる。
2016年に8.5年だった平均在籍期間は、2020年には7.7年に減少している。今年入った選手、特に育成契約の選手は、3年後には野球が続けられなくなる可能性が大きい。
果たして今年入った選手にその自覚があるのだろうか。そしてその自覚を実際の行動に移すことが出来るのは、今年の新人選手の中には何人いるのだろうか。
松坂大輔投手が1年目から活躍できた一つの原因
松坂投手が1年目からローテーションに入り、16勝で最多勝を獲得した。当時の監督であった東尾修さんはその原因について、夏の甲子園後も練習を抜かずに行っていたことを上げていた。当時の横浜高校の練習はとても厳しく、プロの方が楽だとコメントする選手もいたほどだ。
同じ横浜高校出身の涌井秀章投手も1年目に13試合で先発し、1勝に終わりはしたが55イニングを投げている。2年目12勝、3年目17勝で最多勝と勝ち星を重ねることが出来たのは、偶然ではないだろう。
入団と同時にアマチュア時代の蓄積によって、スタートラインは大きく差があるのだ。
プロ野球というレースは既に差がついているハンデ戦
ドラフト順位は関係ないと言われているが、期待度は明らかに違い、与えられる時間の猶予も大きな差がある。実力差も順位通りとすれば、下位指名の選手や育成選手に時間的余裕はない。
同じことを同じ様に消化していては、出遅れの選手に勝ち目はない。
全体練習以外の時間で効率良く、頭を使って遅れを取り戻さないとライバルに勝つことは出来ない。高校3年間でついた差を、プロの3年間で挽回するのは、極めて難しい作業だ。
その事実を自覚させるべく適切な訓示は、首脳陣からは多分あったと思う。しかし、その訓示の意味を本当に認識し、実践できる選手は何人いるのだろうか。
結果はすぐに出てしまう。
初日の練習の後、効率良く時間を使い、頭を使って成長に役立てた選手は何人いるのだろうか?
同じ育成選手でも、すぐに差がついてしまうだろう。
スタートラインでとんでもなく差がついているのに、ライバルと同じペースで走っていたら、残念な結果しか待っていない。
悔いのないように首脳陣は導いてあげて欲しい。
入団した選手全員が活躍することはできない、厳しい世界です。しかも一般社会と違いこのレースは、極めて短時間に勝負がつきます。悔いが残らない様に首脳陣は指導してあげてください。
アマチュア気分が抜けないと、ライバルに置いていかれてしまいます。時間を無駄にせず頑張ってください。