2025年ペナントレースも4月が終わり、5月1日現在でジャイアンツは首位に立っています。ここまでチーム打率は.253でセ・リーグトップであり、打率トップ3は、吉川尚輝選手、甲斐拓也捕手、岡本和真選手らジャイアンツ勢が独占しているという状況です。投手陣も好不調はありながらも、山﨑伊織投手と井上温大投手が踏ん張って、リリーフ陣につなぐ投球を続けており、なんとか勝ちを重ねている状況です。しかし数字ほど楽勝ではない試合が、続いています。
チャンスで打てない巨人打線
ここ数年の傾向ですが、兎に角得点圏で打てない状況が続いています。チーム打率が.253でセ・リーグトップでありながら、得点圏打率は.220でセ・リーグでは5位です。DeNA打線はチーム打率.222を得点圏打率が.269で、大きく上回っています。中日と巨人だけがチーム打率を得点圏打率が大きく下回っていて、チャンスに弱いという状況が続いています。このあたりは精神的な部分なのか、チームの戦略の建て方が拙いのか、はかりかねますが、何らかの対策を打たなければ大切なゲームほど、打線が沈黙する可能性が高いと思います。
日本シリーズやプレーオフで打てない打線
日本シリーズでの2年にわたる8連敗や、昨年のプレーオフでの敗退などは、明らかに打線が湿ってしまい、勝負どころでチームが暗い雰囲気に包まれてしまいました。ここまでの打率トップ3の中で、吉川選手だけが得点圏打率.306を残していますが、岡本選手は.241、甲斐選手は.240とチャンスに弱い状況です。
吉川尚輝選手の存在
昨年のクライマックスシリーズで吉川選手がいなかったことが、どれだけチームに影響を与えたか。守備面だけでも大きかったのに、勝負強い吉川選手がいないことは非常に大きかったと言わざるを得ません。ここまで本塁打が0本でありながら、16打点と吉川選手の存在感は、今シーズンもますます増していると言えるでしょう。ようやく体力面の不安が消えてベストナインとゴールデングラブ賞を獲得した吉川選手の全盛期は、いよいよ始まったと言っていいと思います。ただ、怪我に弱い印象はまだあり、デッドボールなどの危険性もあります。今一番替えの効かない選手と言える存在で、体調面での管理など十分に留意してほしいものです。特に連戦が続く中で、試合途中での交代などができる試合運びが、今のジャイアンツ打線では難しい面があり、リリーフ陣の登板過多とともに、大きなジャイアンツのリスクといっていいでしょう。首脳陣の適切なリスク管理が、必要だと思います。
メジャー挑戦が噂される岡本和真選手
今シーズン終了後にメジャー挑戦が噂されている岡本選手ですが、本人はまだはっきりと意思表明していません。実際のところ自分の力量が通用するのか、測りかねているというところが現状ではないでしょうか。岡本選手は今年、得点圏打率が非常に悪く、.241です。走者無しや一塁では打率が.333なのに、1.2塁や1.3塁では打率が.167です。2.3塁では1打数1安打ですが、満塁では1打数0安打です。
今年になってキャプテンを返上した岡本選手ですが、キャプテンという肩書がプレッシャーになっていたのかもしれません。しかし得点圏での打率が示すように、頼りがいのあるクラッチヒッターとは言えない状況が続いています。
この状況を精神的なものと見るか、戦略上の失敗とみるか微妙なところですが、チャンスを嬉々として捉えている状況ではないようです。
個人的には繊細な部分が大きいと岡本選手を見ているのですが、最近では凡打後に貫禄を見せることがあり、精神的にも少しずつ成長しているようです。はたしてメジャーで精神的にもつのかも、非常に気になるところです。
盟友とも言えるヤクルトの村上宗隆選手が極端にパフォーマンスを落としており、今シーズン終了後のメジャー移籍は非常に微妙になってきたと考えられます。
さらに言えば、仲の良かった吉田正尚選手もメジャーでは思ったようなパフォーマンスを残すことができておらず、厳しい立場に置かれていることが伝わっているでしょう。現状の日本人野手で活躍できているのは、別格の大谷翔平選手を除けば、鈴木誠也選手だけで、鈴木選手は外野手です。鈴木選手は広島での最終年で打率.318、38本塁打を放っており、同程度の成績を残せなければ、慎重な性格に見える岡本選手は、メジャーを選択しないのではないでしょうか?
橋上コーチの存在
今年から加わった橋上コーチは、狙い玉の選定などに関与していると予想していますが、まだ今のところ得点圏打率の向上には、貢献できていないようです。これからシーズンが深まり、さらにポストシーズンを迎えた時に、今の打線の得点圏打率の低さは、必ず問題になると考えられます。打者の精神的な問題だと片付けてしまっては、橋上コーチの存在意義も薄れてしまうはずで、これからどのような対策を打ってくるのか、非常に興味深いと考えています。