新戦力が持ち上げる巨人人気 若手の活躍がプロ野球を盛り上げる

ジャイアンツの新戦力が、躍動しています。コロナ禍の影響がまだ残る中で、東京ドームの観客数が戻ってきました。ロッテとの交流戦で40,392人、40,444人、40,509人と3日連続で今季最多を記録しました。

佐々木朗希投手の人気が影響

ロッテとの交流戦は、佐々木朗希投手をペナントレースでの東京ドームで見ることが出来る、今年最後のチャンスでした。当然前売りについては佐々木投手の影響があったと思いますが、金曜日に登板が終わった後の土曜日、日曜日に今季最多の観客動員を更新したのは、佐々木投手だけが観客動員の要因ではなかったことが窺われます。

原監督がジャイアンツの若手の躍動させる

今年原監督は若手を覚悟して使う方針を掲げています。その言葉通り、最近ではファーストに高卒4年目の増田陸選手、ショートに高卒2年目の中山礼都選手を使い続けています。増田選手は打力が求められるポジションで若手を使いづらいポジションですが、中田翔選手や中島宏之選手から出番を奪っている状況です。中山選手は守りを求められるショートという難しいポジションで、好プレーを連発し、28試合で失策は0と健闘しています。打撃に関しては流石に物足りないところがあり、打率は.208本塁打0ですが、先週は打率.313で初めて2塁打を放つなど、打撃力向上の気配も見せています。

従来の原監督であれば、ベテランや実績のある中堅選手を重用しましたが、今年は若手の抜擢が目立ちます。一つには期待しているベテランの力の衰えや、中堅選手の伸び悩みが影響していると思います。しかし昨年終盤のチームの失速や、優勝したヤクルトの新戦力の台頭などをみれば、優勝するためには若手の台頭が無ければ、チーム力が落ちていくことは明白です。シーズン序盤に若手を抜擢し、若手の成長によってチーム力を上げていくという、当たり前のチーム強化がやっと実践されるようになりました。

ここ最近のFAによる戦力強化の失敗や、FA市場が停滞し、主力選手の獲得が難しくなっている現状を原監督が認識したことも、大きな要因ではないでしょうか。

ジャイアンツファンの溜飲が下がる

巨人のFAによるチーム強化戦略を、他チームのファンは揶揄しました。ルール内の戦略であるため批判される事は有りませんが、ジャイアンツファンの中にはFAによるチーム強化を苦々しく思っている人たちが数多く存在すると思います。元来コアな野球ファンは、生え抜きの若手の成長を入団から見守っています。育成シュミレーションゲームが人気を博するように、生え抜き選手の台頭はファンの心を踊らせます。特に高卒でじっくりファームにおいて育成された選手が活躍することには、格別の思いを持って喜びます。“育成と発掘”を最重要事項に掲げた今季、ファンの思いがやっと叶いつつある最近の若手の活躍です。

新戦力が観客動員を押し上げる

新戦力の台頭はファンの興味を掻き立てます。ロッテとの交流戦では大黒柱の坂本勇人選手が欠場していますが、観客動員は今季最高を3日連続で更新しました。この事はファンがどれだけフレッシュな若手の活躍を望んでいるかの証左です。毎年高校野球が盛り上がるのも、常に新しい選手たちが活躍することが一つの要因でしょう。ベテランに見切りを早めに付け若手に切り替えることが、すべて観客動員に貢献するとは思いません。きっと坂本勇人選手が復帰するときは、ジャイアンツファンは大きく盛り上がるでしょう。しかし、人気向上のためには、新戦力の出現はマストと言って良いのではないでしょうか。

ベテランと中堅選手の活性化をどうするか

3軍制により選手の絶対数が増えています。育成途上の選手は何人いても実戦の機会さえ与えることができれば、モチベーションが下がることはないでしょう。しかし一軍での出場の機会が極端に少なくなったベテランや中堅選手のモチベーションは、維持する事が難しくなります。現在ファームでは、ウィーラー選手や石川慎吾選手が出番を失っています。特に石川選手は二軍戦で、打率.304出塁率.405と好調を維持しています。しかしシーズンも中盤を過ぎようとしているのに、石川選手は一度も一軍に呼ばれていません。守備力に難のある石川選手は、松原聖弥選手や岡田悠希選手よりも使いにくいのかもしれません。同じ力であれば若手を起用するという大前提の中では、一番割りを食っている存在かもしれません。

石川慎吾選手にトレードを

石川選手はまだ29歳で、活躍の場がないことに焦りを感じても不思議では有りません。トレードの期限が来る前に石川選手の活躍の場を、球団は探してあげる必要があるのではないでしょうか。石川選手のような実力が実証されている選手は、保有していることで球団は保険となるとは思います。しかし本当に“育成と発掘”を実践するのであれば、石川選手の力が必要となった時に、若手を嵌め込むことを目指して育成にコミットしてもらいたいと思います。29歳の働き盛りの選手を保険として保有することは、不誠実ではないかと思います。例えば左打者に偏った楽天などは、補強ポイントの一つではないでしょうか。これは本人の希望の問題があるとは思いますが、球団は親身になって考えてあげて欲しいと思います。選手を保有して育成するだけが、本当の意味での育成ではないと思います。球界全体を考える視野のある原監督であれば、考慮に値するのではないでしょうか。

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