開幕直後で明らかになった巨人の阿部監督のブレない戦略と基本方針

ドラゴンズに連敗してセ・リーグ最下位になったジャイアンツですが、今はまだ戦力の整理の最中ということでしょうか。外国人は開幕してみないとわからないという部分があったと思いますが、期待されたオドーア外野手は帰国となり、メンデス投手はファーム行きとなりました。

外国人に対する厳しさ

オドーア選手の開幕直前の帰国は衝撃的でしたが、チームに規律を求める阿部監督の厳しさが出たと思います。外国人選手は開幕してみないとわからないと殆の解説者が口を揃えた中で、開幕直前に外国人選手にファーム行きを命じたのは、信念があったからに他なりません。開幕1ヶ月50~100打席は与えるのではないかという解説者たちの予想は、遥かに甘いものでした。こういった既成概念を覆すところに、阿部監督の考えと信念が伺えました。

また、ローテーション投手としてドラゴンズ戦に先発したメンデス投手に対して、1回の先発失敗に迷うこと無くファーム行きを命じたのも、ある程度この結果を予想していたからではないでしょうか。

開幕前から”誰かコケたら赤星投手を”という旨をコメントしていたのは、メンデス投手の状態をずっと見ていたからでと推察できます。外国人特有の本番になればという期待を、あまり抱いてなかったのは、阿部監督の捕手としての目線が根拠となっていたのかもしれません。

活性化する若手外野手

スタメン確定と予想されたライトのポジションが、オドーア選手の帰国によって空いたのは、若手外野手にとって僥倖と言えます。特にプロ入り初ホームランを放った萩尾匡也選手には、絶好の機会となりました。開幕直後に活躍した梶谷隆幸選手が登録抹消となり、右の外野手としてはオコエ瑠偉選手との争いになると思います。生え抜きのドラフト2位で慶応大学出身となればファンや球団の期待も高くなり、これからも起用の機会は増えそうです。萩尾選手が素晴らしいのは、守備力も急激に伸びたことがあると思います。入団直後はあまり期待できる守備力ではなかったと思いますが、今はライトとして少なくとも平均以上の守備力になったのではないかと思います。今後出場機会が増えれば、もっと守備は安定すると思います。そして売り物である打撃も場数を踏めば、結果が出てくるのではないでしょうか。ドラゴンズ戦では凡打となった打席でも、大きく崩されること無く良い打球が飛んでいました。ストレートに差し込まれることが多かった昨シーズンよりも、スイングスピードが上がったのかもしれません。東都よりもレベルが低いかもしれませんが、六大学の三冠王は伊達では無いことを見せてくれるのではないでしょうか。

若手投手にも絶好のチャンス

ローテーション入りが決まった赤星優志投手には、もちろん次の登板が大きなチャンスです。阿部監督が最も嫌がるフォアボールで自滅というパターンをしなければ、1度きりのチャンスということはないと思います。昨年からの成長した姿を見せることができれば、認められるはずです。

当落線上でファームで待機している井上温大投手や横川凱投手らも、1軍でのチャンスがやってくると思います。阿部監督から開幕前に言われている通り、ビハインドのリリーフが最初のステージだと思いますが、二人共準備を怠っていなければそれぐらいの力はあるはずです。もう2軍でやるべきことがない状況だと思いますので、結果にこだわって欲しいと思います。特に井上投手は持っている球は充分の威力があるのに、1軍では痛打を浴びてしまうことに対策ができているかが気になります。2軍では強引にねじ伏せることができましたが、1軍では考えてピッチングできなければ同じことの繰り返しになってしまうでしょう。このあたりがどう修正されているかが注目されます。

阿部監督のブレない方針

阿部監督は妥協を許さない姿勢を今のところ貫いています。おそらく少なくとも前半戦は、この姿勢を崩すことはないと思います。

フォアボールで自滅する投手は2度目のチャンスがない事は、メンデス投手の例を見るまでもなく、一貫しています。

また、送りバントも徹底しており、スリーバントも指示されています。ここまで大城卓三捕手と佐々木俊輔選手が送りバントを失敗しています。佐々木選手の場合は打撃が振るわないこともあり、先発から外されてしまっています。左投手が先発というところもあると思いますが、阿部監督は送りバントについて許さない姿勢を崩さないでしょう。

”できない”ではすまされない雰囲気は、ある意味当然であり、今までが甘かったとも言えるでしょう。

ここまで徹底していると選手はやりやすい筈です。変に監督の顔色をうかがう必要がなくなります。やるべきことをやればいいだけです。

ポジティブリストとネガティブリスト

やって良いことを指示されるよりも、やってはいけない事を守ればいいので、選手は自由に動くことができます。

阿部監督がどこまで考えているかはわかりませんが、ポジティブリストよりもネガティブリストを与えられたほうが、部下は働きやすいと思います。特に若手をポジティブリストで型にはめようとするのは、結果が出にくいと個人的には考えています。

阿部監督のブレない姿勢を見て、選手が萎縮せずに力を出してくれれば、世代交代は一気に起こるかもしれません。

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