ペナントレースの前半戦が終了した。
首位阪神とは2.5ゲーム差の2位。一時は8ゲーム差をつけられていたが、7連勝で急追している。
整ってきた戦力
投手陣
先発で誤算は菅野智之投手だ。現在は調整中ということで、1軍登録を抹消されている。しかしMLBへポスティングによる移籍が既定路線であったことを考えると、誤算とは言えない。むしろMLBから帰ってきた山口俊投手が、嬉しい誤算だ。復帰後の初戦で先発し、白星を挙げた。MLBでは実戦経験が不足していたので、これから日本で長期的に安定した成績が残せるかは疑問が残るが、上手く調整期間を設けながら登板機会を増やしたい。オリンピックの中断期間が今年はあるので、山口投手には幸運な状況と言えるだろう。
先発で菅野投手に代わるエースとして期待されていた戸郷将征投手は、現在調整のため1軍登録を抹消されている。8勝目を挙げた直後の登録抹消で、故障があるとの情報がないが、もし純粋な調整のためであれば、投手陣の駒が揃ってきたことの証左であると言える。スタミナ不足が指摘されている戸郷投手だが、未だ高卒の3年目で体が若く新陳代謝が激しいので、なかなか体が大きくならない。線の細い体は投手向きで、故障を避ける意味では無闇に体を大きくする必要はないが、1試合を投げきるスタミナ、長いペナントを闘うスタミナが課題だ。
戸郷投手と並ぶ8勝を挙げているのは、髙橋優貴投手だ。大卒3年目のドラフト1位で、漸く期待通りの力を発揮しだしたところだ。髙橋投手はストレートの威力が増して、攻めの投球ができるようになり、投球数が少なくなってきた。しかしこの投手もスタミナが課題で、7回以降での投球に不安がある。このところ首脳陣は髙橋投手が好投していても、5~6回で降板させることが多い。今年に限ってはスタミナ面の課題を克服させることは、諦めているのかもしれない。
野手陣
故障した野手が戻ってきた。坂本勇人選手と梶谷隆幸選手が戦列に復帰し、丸佳浩選手の復調によって打線が活気づいてきた。スモーク選手の離脱によって、松原聖弥選手を起用することが可能になり、守備面と走塁面での貢献がとても大きい。打率は2割6分台で出塁率が高くないが、四球を選ぶことができるようになってきており、改善される可能性がある。4番の岡本和真選手がチャンスで打席に立つことが増えていけば、大量得点を望むことができ、投手陣を助けることができる。そうなれば勝ちパターンの投手の連投を避けることができ、連勝が続くだろう。
岡本選手は理想の打撃を追い求める事が多いようで、理想のスイングを崩すことは少ない。しかしランナーが溜まったケースでは、コンパクトなスイングでなりふり構わず後ろにつなげる意識が高くなる様で、好結果を出している。打点にこだわる姿勢が、ランナーが溜まったケースでは好影響を与えているのかもしれない。岡本選手の前にランナーを溜めることが多くなれば、大型連勝を望むことができるかもしれない。
もう一段の新戦力
後半戦を乗り切るためには、新戦力の台頭が欠かせない。
野手陣
ファームでの有望株が野手陣では少ない。吉川尚輝選手の復帰が待たれるが、離脱前のパフォーマンスができるかどうかは未知数だ。北村拓己選手が売出し中だが、二塁手としての守備力は吉川選手には及ばない。長打力が売りの北村選手と、吉川選手の併用が続くかもしれない。最近支配下になった平間選手は、能力が重複する選手が多く、打撃面で突き抜けた成績を残せないと、重用されることは難しいと予想する。
投手陣
期待が持てる選手が出てきている。ヘルニアの手術から復帰した直江大輔投手が、ファームで完封勝利を挙げた。昨年は1軍で好投しながら、初勝利を挙げられなかったが、今年の有望株である。復帰すれば新人王の有力候補との期待もあったが、シーズン後半からの参戦となるようだ。ある程度の球威と変化球のキレ、制球力もあるのだが、全体的に球が高い。ファームでは完封できても1軍では少し難しい。これから低めにボールを集める事ができるようになれば、期待ができる。次のファームでの登板でその辺りの調整ができれば、オリンピックの中断期間に行われるエキシビションで、登板機会があるかもしれない。
戸田懐生投手も期待ができる。小柄だが個性的なフォームから角度のある投球ができる。今は僅差での登板は期待されていないが、このまま好調を続けることができれば、後半戦の貴重なリリーバーとなる可能性がある。育成からの叩き上げで、活躍できれば人気が出そうな投手で楽しみだ。
まとめ
これから中断までの14試合で、阪神との差がどうなるかが非常に興味深い。
そして中断期間のエキシビションでどんな新戦力が飛び出すのか、とても興味深い。