防御率最下位 巨人の投手陣は何故育たないのか 崩壊の理由

シーズンが最終盤になって、チームはCS争いを繰り広げています。ジャイアンツの弱点はたくさんありますが、その最たるものは投手陣であることは、殆ど共通認識となりつつあります。防御率は3.72で、12球団最下位が指定席となっています。失点も574点で最下位、投手力を反映しています。

東京ドームが狭い

これはよく言われることです。しかし狭いだけならば、神宮球場や横浜球場はもっと狭い球場です。しかし両球団とも救援陣はしっかりと整備され、勝ちパターンを確立しています。高津臣吾監督や三浦大輔監督の陣頭指揮のもと、首位争いを可能にする投手陣を確立しています。球場の広さだけが原因とはいえないでしょう。特にヤクルトは昨年も優勝しており、救援陣には一定の負担が掛かっていたはずです。しかし今年も投手陣を確立できているということは、首脳陣の手腕によるところが多いことは明白です。

ジャイアンツの投手陣の酷使

ジャイアンツの救援陣の崩壊は既に広く認知されていますが、これは恒常的なものになりつつあります。昨年まで救援陣を支えていた、中川皓太投手、鍵谷陽平投手、ビエイラ投手、デラロサ投手等、軒並み今年は戦力になっていません。これは様々な理由があると思いますが、故障を発症したりコンディションが上がらないのであれば、まだ若い彼らであれば、その原因は登板過多やコンディショニングの失敗であり、首脳陣の管理に原因があると言わざるを得ません。”いまだに我々のころは”なんて思っている首脳陣がいるとすれば、かなりの問題と言わざるを得ません。今年も春先調子のよかった救援投手が、コンディションを落としており、起用法に問題がなかったのか、フロントは分析する必要があります。

桑田コーチの存在

鳴り物入りで就任した桑田コーチですが、ここまでは目覚ましい実績を上げることができていません。

コントロール重視の指導

桑田コーチは外角低めにいつでも投げられるコントロールが必要であると、常々コメントしています。特に球威で押すことができない投手には、その傾向が強くなります。確かに外角低めにいつでも投げることができれば、打者を抑える確率は上がるでしょう。しかしそれほどのコントロールを身に着けるためには、投げ込み量を多くしなければ難しいのではないでしょうか。今の時代は肩は消耗品と認識されていて、キャンプでも多くの投げ込みをしなくなっています。ジャイアンツのキャンプも例外ではありません。そんな状況下で桑田コーチが望むほどのコントロールを身に着けるのは、難しいのではないでしょうか。

桑田コーチは小柄ながら先発投手として活躍しました。その桑田コーチのコントロールは、高校時代で既に傑出したものがありました。プロ入りしてすぐに、先輩投手に何故初球から全力で投げるのかと質問したことがあったようで、外角低めに初球は軽く投げておけば、簡単にストライクが一つ稼げるという意味が、その発言の裏にあったというエピソードのようです。それほど天才的で早熟であった桑田コーチですが、その域まで今の巨人の投手陣で到達できる素材は、まずいないのではないでしょうか。

時代にマッチした指導とミスマッチの戦術

桑田コーチはアマチュアの指導歴もあり、今の時代に合った指導方法を心掛けているとたびたびコメントしています。桑田コーチが若い時期に経験した指導方法は、厳しい指導で投げ込みや走り込み量は今の比ではないでしょう。そのあたりを今の選手に合わせているのは、経験豊富なコーチだとは思います。しかし、今の選手はウェイトトレーニングによって球速は出ますが、投げ込み不足によってコントロールがアバウトな投手が多くなります。にもかかわらずコントロール重視の指導方針には疑問が残ります。特にリリーフ陣は他球団では1イニング限定で過度の連投を避ける傾向が多いにもかかわらず、ジャイアンツは未だにイニング跨ぎや連投が多い印象です。球威で圧倒するピッチングを続けるためには、多少コントロールはアバウトでも、ストレートで押し込むことができるコンディションを保つ必要があると思いますが、桑田コーチのコントロール重視の指導と齟齬があるのではと疑問が膨らみます。

東京ドームで抑えるために

各投手はあたり損ねでもフェンスオーバーがありうる東京ドームでは、慎重になり球数が増える傾向にあります。特にリリーフ陣はストレートで押すことができなければ、ボール球を使う必要性が多くなり、長いシーズンでは負担が多くなると言えます。コントロールが大切なのはわかりますが、最近の長距離打者は多少難しい球でも東京ドームでならばフェンスオーバーにすることができます。東京ドームではある程度球威で押し込むことができなければ、安定した成績は望めないのではないでしょうか。

配球の問題

キャッチャーの配球を問題視する向きがありますが、現代の野球は以前ほど配球を重要視する必要はないのではないでしょうか。先発投手は多くても打順が3巡目で交代です。そのため球種を隠す必要もなく、4打席目を考慮したリードも不要です。救援陣に至っては、配球云々よりも、自分のベストピッチで抑える投球になるので、配球が重要視されません。そのあたりはかつての名捕手だった大矢明彦さんや谷繫元信さんは、少し寂しい面があるとして、認める発言をしています。

各球団が一人のエースキャッチャーに頼るよりも、複数の捕手を併用することが多くなっているのは、そういった面が影響しているのでしょう。データ分析なども捕手がやるよりも、分析班のデータ通りにリードするので、あまり捕手による差はないのが最近の配球ではないでしょうか。

古いコーチと若い選手

巨人の戦略は新しい考え方と古い考え方が混合していて、一貫性が無いように見えます。このことにフロントが気が付いているのかどうかは別にして、新しい考え方の選手と古い考え方の首脳陣の気持ちのズレは長いシーズンで露呈していきます。やるのは選手ですので、首脳陣が選手に合わせるしかありません。しかし本当に巨人の首脳陣は、新しい考え方に切り替えることができているでしょうか。一般社会の組織を例に出すまでもなく、首脳陣が新しい考え方に合わせているつもりでも、本当の意味で納得していなければ、選手たちは敏感に感じとるはずです。そして選手とコーチが本当の意味で意思疎通ができなければ、練習の効果はが減少することは間違いありません。

”今の選手は納得しないとやらない”、”我々の時代は・・・”等と心の中で思っているようでは、若い選手に見透かされるのではないでしょうか。

今の時代は他チームの情報も、自由に入ってくる時代です。若い選手の間では以前にもまして情報交換が進んでいるでしょう。良い情報はもちろん、悪い情報もあっという間に共有されます。

逆に言えば首脳陣だけが知らない悪い情報も、選手間では共有されている可能性があります。

これから更に難しくなるコーチ業

大学受験では通信講座が非常に有用になっています。カリスマ講師の授業を自分のペースで受けることができるので、信頼度が高くなります。

プロ野球ももうすぐ画像による診断と、リモート通信で、カリスマコーチのみが生き残ることができる環境になるかもしれません。半端な技能と理論しかないコーチは順々に淘汰される時代が来るかもしれませ

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