巨人阿部監督と桑田二軍監督の指導の違い 精神育成とモチベーション

ジャイアンツの阿部監督は先日、1軍の選手を4人降格させました。その中には秋広優人選手や山瀬慎之助捕手など上がってきたばかりで、結果を出せずに降格していった選手もいました。あまりに早い降格に、ファンの間では賛否両論が有るようです。

モチベーションを上げるための昇格

秋広選手と山瀬捕手は昨年ある程度1軍で結果を残し、今シーズンは飛躍の年となるはずの選手です。しかし、開幕から2軍暮らしが続き、2軍でも結果が残せていない状況での昇格でした。ファームからは現状のレポートは来ているであろうし、2軍戦での結果を見る限り1軍で定着できる可能性は極めて低かったと思います。そんな事は十分に阿部監督はわかっていたと思うのですが、何故短期間であれ、秋広選手と山瀬捕手を昇格させたのでしょうか。これはもう、モチベーションを上げさせるため。阿部監督は忘れていないという事の、意思表示ではないかと思います。

昨年一軍で結果を残したにもかかわらず、開幕からファームで2軍戦も結果が出ないとあれば、気持ちが萎えたり緩んでしまう可能性があり、無駄に時間を過ごしてしまうことを心配した阿部監督が、気付け薬の様に処方したのでは無いかと私は推測しています。

秋広選手も山瀬捕手も阿部監督が2軍監督をしていたときの選手です。口では厳しいことをコメントしますが、阿部監督には思い入れのある選手だと思います。もしかしたら二人のモチベーションが上がっていないことが、ファームから報告があったのかもしれません。

桑田二軍監督の考え方

桑田二軍監督のインタビューでは、やる気のない選手は放って置く、プロとはそういう厳しい世界なんだというコメントが有りました。毎年有望な選手はどんどん入ってくるので、やる気がない選手、プロとしての自覚のない選手は、消えていくだけという、見方によっては突き放した考え方です。私もプロである限り競争社会で勝ち抜くために自らを律することが必要であり、それができない選手は戦力外としていくという桑田二軍監督の考え方は、合理的だと思いますし、選手をある意味大人扱いしていると思います。

選手の精神面の教育

しかし、折角の才能を持ちながら考え方が成熟していないために、戦力外となってしまう選手はその未熟さのために消えていってしまいます。もしかしたら秋広選手や山瀬捕手は、現時点では考え方が未熟でプロとして不十分なのかもしれません。

しかしプロ野球球団が高卒選手を指名した場合、選手の精神面は大卒の選手や社会人出身の選手よりも、未熟であることは間違いありません。そしてプロ野球球団という、野球だけをやれば良いという、ある意味甘やかされた組織の中で、精神面が未成熟のまま年令を重ねてしまう選手は少なくないと思います。

このあたりをプロ野球球団はどう考えているのでしょうか?

プロなのだからそのあたりは当然できて当たり前という考えは、危険ではないでしょうか?

桑田二軍監督のように大人の考えを、18歳だった頃の桑田選手は持っていたのでしょうか?KKコンビの清原和博選手はどうだったのでしょうか?当時の西武球団は十分な教育ができていたのでしょうか?

ジャイアンツのファームの環境

桑田二軍監督の考え方は非常に合理的だと思いますが、高卒の選手を親元から、または高校の合宿所から受けたときに、精神面において完成された選手ばかりを取っているわけではないと思います。であるならば、未熟な精神面を教育するプログラムがないのであれば、問題だと思います。特にジャイアンツは高卒の育成選手を多く抱えています。他球団がプロで鍛えるレベルにはないと判断した選手も、ハードルを下げて入団させています。数多く取っているので、手取り足取りの指導ができないという側面はあると思います。しかし、未熟であることを承知の上で、未熟な選手の自覚に任せるのは、何処か矛盾があるように思えてなりません。”プロなんだから”の一言で済ませる前に、人間としての成長ができるように教育する必要が、プロ野球には必要なのではないでしょうか。

特に前述したように、野球さえやっていれば良いという環境は、厳しい側面と同時に甘えを生む可能性の側面もあります。人としての成長がなければ、練習態度が甘かったり、時間にルーズだったりということはあると思うのです。

阿部監督の優しさ

桑田二軍監督はソフトな人当たりで、阿部監督は厳しさが全面に出ています。桑田二軍監督は選手を大人として扱っているようで、阿部監督は子供のように叱っています。本来であればファームと1軍の監督の役割が逆のほうが、理にかなっていると思います。

阿部監督のコメントや選手へのコメントは、桑田二軍監督との関係性の上で発生しているのではないかと思うのです。

阿部監督が秋広選手や山瀬捕手に投げかけたコメントは、二軍で教育しなければならない類のものではと私は思います。

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