3月8日からオープン戦が再開されます。先日、田中千晴投手と泉圭輔投手が2軍に降格となり、競争が激しさを増しています。昨年の反省からジャイアンツの編成はオフに精力的に投手陣を強化したおかげもあるのだと思いますが、ジャイアンツの育成から急成長した京本真投手が早くも支配下登録されて注目を集めています。
他球団が指名回避するなかジャイアンツが指名
京本投手は2021年の育成ドラフト7位の指名でジャイアンツに入団した、3年目の投手です。甲子園でも活躍した投手でありながら、支配下指名されなかったのは、球速が足りなかった事が原因の1つとしてあげられるかもしれません。しかし、189cmと上背には恵まれており、将来性を感じさせる選手であったこと、甲子園の大舞台で結果を残していることなど指名の根拠には申し分がなかったと言えると思います。各球団が指名しなかったのは、大学や社会人などを経由したほうが良いという判断ではと推察します。この頃からジャイアンツは3~4年後のドラフト1位になれる選手を指名する方針を掲げていましたので、京本投手の育成指名もその方針に沿ったものだったと思います。
ジャイアンツが育成で得意なタイプ
ジャイアンツは高卒の大型右腕の投手の育成に、実績があるチームです。過去には槙原寛己投手や斎藤雅樹投手、木田優夫投手などが育成に成功した大型左腕として挙げられます。最近でも戸郷投手は2018年のドラフト6位から、侍ジャパンのエース格にまで成長しました。こうした実績は非常に大切で、逆に言えば高卒大型左腕はほとんど実績がありません。過去にはドラフト1位で高卒左腕を数名指名していますが、殆ど実績を挙げられませんでした。現在も京本投手と春のセンバツ決勝で投げあった石田隼都投手や代木大和投手は、出遅れている状況だと思います。
京本真選手の素晴らしさ
プロに入って球速が10Km以上伸びたということは、それだけの努力をしているという証左です。プロに入っても球速が伸びなかったり、体作りができない選手は数多くいます。体質などの問題もあるでしょうけれども、結果が全てのプロ野球で、一気に結果を出したのはプロ向きの性格でもあったのだと思います。
また、プロ野球に入ってから大きな故障を経験していないところも、素晴らしいと思います。同期で支配下指名された3投手は、故障を発症して練習が制限されてしまう時期があったようです。京本投手も軽い不調はあったようですが、大きな故障をせず自己管理できたところは素晴らしいと思います。そしてその時期に体作りを集中的にできるなど、考え方に柔軟性があります。また、「群れることはいつでもできる。」とコメントしているように、支配下で指名されなかった悔しさを、プロに入ってからの練習にぶつけているような性格もプロ向きなのではないでしょうか。
先発かリリーフか
今年はまだ短いイニングを、全力で抑えにかかる方が結果が出そうです。ただ、右オーバーハンドではありますが、ストレートが低めに集まるので、遅い変化球が操れる様になれば、充分長いイニングも担うことができるようになると思います。ストレートの球速についてはいつかは頭打ちになると思いますので、次はコントロールとピッチングの上手さが必要になると思います。ピッチングについては経験を重ねる他無いと思います。最近の高校野球は一人のエースが完投するという事が、強豪校ほど無くなっており、遅い球を操ったり、3打席を抑えるピッチングなどの上手さが養いにくくなっています。しかし、京本投手のようなクレバーなタイプは、すぐに長いイニングを投げられるようになるのではないかと思います。
ジャイアンツの育成
桑田2軍監督がコメントしているように、ジャイアンツは練習嫌いな若手に手を差し伸べなくなっています。スカウトの体制も整ったので、つぎつぎと優秀な選手が入ってくるようになりました。そのため選手は自主性が重んじられ、入団して1~2年でハッキリ差が付くようになってきました。ファームは大幅にリニューアルされ、育成のためのハードもソフトも揃ってきた中で、あとは選手次第となっています。”育成力が弱い”などと指摘されることもありましたが、本当の意味での育成力はこれからはっきり発揮されるでしょう。押し付けのコーチングができなくなった最近の環境の中では、ジャイアンツが出した答えはベストに近いものだと思います。
投手に関しては良い投手が出る環境が整いつつあると思いますが、打者についてはまだ好循環が産まれてきていないのが少し残念です。
今年浅野翔吾選手がどれだけやれるか、それ次第で来年の指名は大きく変わるかもしれません。
最近のジャイアンツの若手野手は伸び悩んでおり、その結果が昨年のドラフトの指名につながっていると思います。
先日京本投手と一緒に支配下契約された、浅野選手と同期の中田歩夢選手がどれだけチームを変えてくれるかが楽しみです。