ジャイアンツファンの注目の的の秋広選手の開幕スタメンが、難しくなってきたように思います。55番を受け継いだ秋広選手は、先代の松井秀喜選手を上回るスケールをもっており、ファンの期待は大きくなっています。台湾遠征でも3安打するなど、いい場面で目立つスター性もあるようで、ファンは一層の飛躍を期待しています。ただ現状を見ると外野手争いは非常に激しく、決して楽観視できる状況ではありません。
阿部監督が厳しく接する理由
阿部監督は秋広選手に厳しいコメントを残すことが多いですが、それは巷で言われている通り、選手として飛躍してほしいからに他ならないと思います。今のジャイアンツの日本人打者で安定して長打を打てるのは、岡本和真選手、坂本勇人選手、丸佳浩選手だけです。坂本選手と丸選手はすでにベテランであり、数年後にはパフォーマンスを落とすことが想定され、岡本和真選手は3年後にFAでメジャーへ挑戦する可能性があります。その時、今のジャイアンツでホームランを30本以上打てる見込みのある選手は誰でしょうか?今の1軍はもちろん、ファームを見渡しても、候補と言える日本人は秋広選手以外いないと思います。育成などで数多く選手を取っていますが、よくて中距離打者がせいぜいで、生粋の長距離打者はいないと思います。
FAが機能しない日本球界で、自前の長距離砲の育成が必要なことは、球団は充分に理解しています。今年監督に就任した阿部監督も、自身の政権の中で岡本和真選手にかわる日本人長距離打者の育成が必須であることは、当然考慮しているはずです。
昨年3番に定着したように見えた秋広選手は、疲労や他球団の研究にあい、後半戦に明らかに失速してしまいました。毎年オフの話題となる体つくりも、道半ばのようです。オープン戦が始まりましたが、未だに本塁打は0と大きな成長を、今のところは見せることができていません。
阿部監督は秋広選手を育成の意味から使いたいはずですが、チーム内の競争を大切にしている阿部監督が、秋広選手を無理に使えば、チームの和を乱す可能性も否めません。
長打力以外に魅力がない秋広選手
秋広選手は今のところそのスター性以外には、魅力がない選手になってしまっています。外野手としての守備力は、ライバルの中でも見劣りがします。更に走力は外野手のライバルの中では下位だと思います。ジャイアンツの打線の中で、走力が無い選手は、岡本選手と大城選手がおり、もう一人秋広選手が加われば、交通渋滞が生まれてしまいます。岡本選手や大城選手は長打力があり、打線の中では魅力がありますが、秋広選手が単打しか打てないのであれば、走力のあるライバルたちのほうが使われるべきであるという答えに行き着いてしまうと思うのです。秋季キャンプ後の自主トレで、外野手としての守備力強化が課題となり、走力のアップは可能だったと思うのですが、結果が出ていないように見えてしまっています。
長打を打つか守備力を上げるか
現状の力で開幕スタメンを実力で勝ち取るためには、長打を、ホームランを打つしか無いと思います。秋広選手が多少ヒットを打ったとしても、ヒットを打って走力があって、守備力が高い上位互換のライバルは、かなり多くなってきています。更に、2年目の萩尾匡也選手は守備力を確実に上げてきており、オコエ瑠偉選手は状況を踏まえたバッティングや長打力で成長の跡、努力の結果を示しています。加えて新人の佐々木俊輔選手は、総合力でかなり上位の実力を見せており、スランプのない守備力と走力は折り紙付きです。ここに体調さえ戻ればレギュラーの丸選手がレフトの直接ライバルとなっているのですから、苦しくなってくるのは当たり前の話でしょう。
スタメンで出られなければ秋広選手は使いづらい
仮に秋広選手がスタメンで出られないと、守備固めや代走での交代はなく、代打のみの出場となってしまいます。仮にビハインドで代打で出塁しても、ベンチは逆転するために代走を送るケースも増えてきてしまうと思います。そうなると昨シーズン後半のような使い方がせいぜいで、シーズン後半に優勝を争うようになれば、脚を使った隙のない野球を目指す阿部監督からは使いづらい選手になってしまいます。
阿部監督の抱えるジレンマ
現状ではホームランが打てなければ、実力でスタメンを勝ち取ることはできないでしょう。チーム内の競争を大切にしている阿部監督が、将来の中軸候補として特別扱いすることは、難しいと思います。将来のジャイアンツを背負う素養のある秋広選手を使えない現状が、阿部監督の厳しい言葉になって出てきているのだと思います。
このままでは、丸選手が開幕に間に合わなかったり、オドーア選手が怪我をするなどの突発事故が起こらない限り、秋広選手の開幕スタメンはないと思います。ここからホームランを含めて打ちまくれば、全てが解決すると思うのですが。