ジャイアンツが沖縄キャンプを終えて、台湾遠征が始まります。阿部新監督の元で様々な話題を提供したジャイアンツですが、この時期一番気に掛かるのは若手を中心とした新戦力の実力ではないでしょうか。ジャイアンツのキャンプでも例年になく若手の躍動が目立つキャンプでした。
阿部監督の優しさ
阿部監督はパワハラ体質などと揶揄されることもありましたが、4年間の指導者としての経験が良い時間になったようです。この時代に指導者になった者なら誰もが昭和の時代とのギャップに苦しむものですが、阿部監督は厳しさと優しさを兼ね備えた状態で、監督業を全うしようとしているのではないでしょうか。
阿部監督は明確にチームの戦略を掲げており、その戦略から漏れてしまいそうな選手には、明確に警告を与えています。マスコミを通しての警告もありますが、選手本人には担当のコーチから指導が入っているでしょうから、組織としては十分に機能していると思います。マスコミに対して指導的なコメントを発しているのは、該当の選手だけにではなく、その他の中堅・若手選手に対しても注意事項、徹底事項として通達する意味もあると思います。常に全選手に対して注意をはらい、細かい部分も注視してくれるのは、とても優しい指導者だと思います。
オコエ瑠偉選手に対する評価
阿部監督は今のところは勝敗も気にしなくていいので、掲げた戦略通りの野球を続けています。結果が出ていなかったオコエ瑠偉選手を、走る姿や練習に対する姿勢を買って1軍に昇格させたのは象徴的な出来事でした。変わろうとしているオコエ選手の姿勢を、本物と評価したのだと推測されますが、結果だけではなく取り組んでいることを評価した事は、他の選手たちにも伝わったのではないでしょうか。今のところオコエ選手は良い成績を残していますが、阿部監督が評価した部分をこの先も続けられるかが問題になってくると思います。
プロ野球選手には厳しくしなければならない
褒めて伸ばすという事を、最近は重要視しています。これは以前から欧米では当たり前のことでした。ただこれが社会人にまで適用されるかと言えば、とても微妙です。どこの国においても小学生や中学生については、褒めて伸ばすことは有効だと思います。何故ならば、小学生や中学生はそれぞれが自分の適性や特性を見つける場所で、褒めて長所を伸ばすことはとても重要だと思うからです。様々な特性を持った生徒たちが自分と他人を比べることによって、自分の長所と短所を知ることができます。そういった場所で教師が生徒の長所を伸ばすべく褒めるというのは非常に理にかなっていると思います。
高校生や大学生になって自分の進むべき道を見つけられた人は、とても幸せな人だと思います。プロ野球選手もそういった幸せな人だと思います。自分の好きなことで生きていけることは、とても幸福に満ちた時間だと思います。
例えば自分の適性は金融機関で働くことにあると考えた場合、何をやりたいのか何ができるのかはまだまだ幅があります。本部で働くことを夢見てきたが、営業に活路を見出すことはよくあることです。メーカーでも様々な職種があるので、長所を活かす選択肢は豊富にあると思います。
しかしプロ野球選手はプロ野球選手であることでしか幸せを感じることはできないでしょう。引退後に球団職員として球団内に残る選択肢はあると思いますが、やはりプロ野球選手として活躍できなければ、成功したとはいえません。プロ野球選手にも色々なタイプがありますが、それでもできなければならないことは有るはずです。つまり短所を埋める作業が必ず必要になります。
チームとしての最低限の約束
チームで優勝を狙うことが目標である以上、そこに向かっていけない、もしくはチームの和を乱すような行動は異分子としてみなされてしまいます。言い換えれば練習態度や私生活、最低限のチーム内での約束事やプレーについては、厳しく指導されるのは当然のことでしょう。優勝を狙うチームの一員としてできていないことがあれば、厳しく指摘しなければなりません。もし、その指摘に応えられないようであれば、1軍のベンチには入れないでしょう。褒めて伸ばすだけではなく、やってはいけない約束事を守らさなければ、チームにはいられないのです。褒めて伸ばすだけでは欠点だらけの選手になり、ゲームでは使えない選手になってしまいます。特に若手のうちはゲームで経験を積めなければ、成長できません。この道と決めたプロ野球選手には褒めるだけではなく、ゲームに出られる最低限の基礎的技術と考え方を身につけさせなければいけないのです。
阿部監督は素晴らしいモチベーター
スポーツはモメンタムがとても重要です。簡単に言ってしまえば優勝を目指す気持ちです。長期政権で少しマンネリ気味だったジャイアンツは、活性化されています。これは新監督というバイアスはかかってはいるものの、阿部監督が組織を引っ張るモチベーターとして機能している証左と言えるでしょう。チームの和を大切に思っているからこその厳しさと優しさだと思うのです。