野球は確率のスポーツです。特にプロ野球のペナントレースは長丁場であり、試合数が増えれば増えるほど結果が確率に収束していきます。確率ですので裏目が出るときもありますが、短期決戦でなければ確率を重視しなければ良い結果は得られません。
最近のジャイアンツの試合を見ていると、その辺りの考慮が足りないのではないかという気がしてなりません。
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最近のプロ野球は投手力が勝っています。2010年に惜しくも2位だった阪神は、チーム打率が.290でリーグ1位でした。その年最下位だった横浜は、チーム打率も最下位で.255でした。
2023年シーズンはまだ終わっていませんが、4位のジャイアンツが、チーム打率はリーグトップで.252です。2010年の横浜よりも打てていないことになります。
一流打者の証と言われる3割を超える打者は8月2日時点で、セ・リーグは3人、パ・リーグは2人です。パ・リーグの打率10位の西武マキノン選手は、なんと打率.266とかなりの低さです。
これだけ野球が変わってしまっていれば、当然打順の組み方や作戦は変わってくるはずです。
昔の重量打線が忘れられない巨人の首脳陣
ジャイアンツは昔の重量打線が忘れられないようで、鈍足選手を多めに配置して各駅停車の野球をやっています。打率3割超えの選手が1人もいないのに、ホームラン以外は3連打でもなければ点が入らない野球を続けています。一つずつ問題点を考えてみます。
打線の組み方
現在ジャイアンツは出塁率は悪いが長打のある吉川尚輝選手を1番に据えて、最強打者である坂本勇人選手を2番においています。これはバントを基本戦略とせず、序盤から大量点を狙う打順と考えられます。しかしチーム打率.252のチームが序盤から大量点を奪える投手は、かなり力の劣る投手でしょう。しかも脚力に優れた選手はほぼ皆無で、エンドランなどのベンチの責任での仕掛けは殆やりません。言葉は悪いですが、何の工夫もない打つだけの打線の組み方です。
打率が低いのに早打ち
そのためか8月1日のゲームでは今季初登板の山野太一投手に、初勝利をプレゼントしてしまいました。7回を無失点、83球であしらわれるという体たらくです。これは早打ちが失敗している、または早打ちできるほど打力がないと言えると思います。打っても打率.250そこそこの選手が早打ちをしても、結果は打率.250.で4回に3回は凡打です。そんな打者が初球からポンポン打ってくれれば、投手は楽になるだけです。夏場の神宮ならば相手野手もついでに楽になってしまいます。こんな攻撃を143試合続けていれば、順位が上がるはずはありません。たまに打ち勝つ試合があったとしても、その確率が低いことは順位が教えてくれています。ここ数年この傾向は強まっているのに、ジャイアンツの首脳陣の打線の組み方や、作戦は変わっていません。相変わらずホームラン頼みの早打ちで、相手チームを楽にさせており、長いペナントレースではその差が積み重なっています。
バントも失敗は半分首脳陣のせい
ジャイアンツはノーアウト一塁で序盤はバントをしません。長打頼みの貧打打線でありながら、そして鈍足打線でありながらバントをしません。
そしてノーアウト一二塁になってから、バントのサインを出します。
ノーアウト一二塁のバントは、ノーアウト一塁のバントよりも格段に難しいのに、ベンチは選手にやらせて失敗を責めます。二塁ランナーが俊足でも難しいのに、鈍足であればかなりの難度になるのに、そんなサインを出して失敗を選手のせいにしたコメントを出します。どうせバントのサインを出すなら、やさしい場面で出す方が選手の負担は少ないと思います。投高打低で打率が低いということは、バントも難しいということです。それだけ今の首脳陣が現役の頃の投手と、現在の投手とは球の勢いが違います。
バントの得手不得手は、打者には必ずあります。不得意な打者に難度の高いバントを最初からやらせるのではなく、ノーアウト一塁のバントから成功体験を積ませるべきでしょう。バントができて当たり前の時代は遥か昔です。
高校野球も、何でもかんでもバントの時代ではなくなっています。昔の選手よりも今の選手はバントに慣れていない事は、当然のことでしょう。
一般社会でも古い管理職は環境の変化を受け入れられないようで、自分の時代の成功体験を押し付けてしまいます。
野球を取り巻く環境は、ここ10年で大きく変化しています。
変化を受け入れられない古い考え方の指導者は、退場する必要があるでしょう。
野球はギャンブルではなく確率のスポーツ
原監督は、時折セオリー無視の奇策を仕掛けます。これは時には有効です。特に短期決戦では流れを変える可能性があり、考慮すべき作戦だと思います。しかし、奇策はギャンブルであり、成功確率は低くならざるを得ません。
やはり長丁場のペナントレースは、確率重視で戦略・戦術を考え直す必要があると思います。