原監督の誤算 コーチを育てる事の難しさ 信頼できるコーチの重要さ

原監督は1軍の現場の最高指揮官として、素晴らしい実績を残してきた名将であることは、間違いが有りません。しかし、選手を育てる2軍のコーチとしての実績はなく、投手のコーチとしての実績もありません。

今回の3次政権では、原監督自身の後任を育てることを目標として掲げ、コーチの育成にも手を付けました。しかし、その目標は達成されず、戦力は右肩下がりで、5年目を迎える来期も原政権は継続しています。

後任監督に十分な戦力を用意できないばかりか、順位も右肩下がりで5年目を迎えるという現状は、大誤算と言ってもいいでしょう。後任を育てるために5年以上もかかってしまうのであれば、それは長すぎます。

何故5年経っても当初の目標が達成できなかったのでしょうか。何が誤算だったのでしょうか。

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若手に頼ろうとした原監督

若手を育成するにあたって、我慢の時が続くのは当然のことです。昨シーズンジャイアンツはFAに参戦せず、外国人のみの補強を行いましたが、結果が出ませんでした。原監督はYou Tubeの中で若手に頼ろうとしたが、難しかったとコメントしています。そして、今年はジャイアンツに資金があるので、使ってもらうと発言しています。

言っていることは理解できますが、若手の育成は常に行わなければ結果が出ず、継続して行わなければなりません。一般社会の組織でも常に人材の育成は必要で、新人は戦力として計算できるものではありません。頼るなんてもっての外で、ベテランや中堅が新人の領域をカバーしながら組織を運営していくのが当たり前です。

組織は常に新陳代謝をしていかなければならず、特にMLBや他チームへの戦力流出が当たり前となっている今の時代は、常に先のことを考えていかなければならないはずです。一般社会でも組織には人事異動や転職なども有り、責任者は常に新戦力の養成を怠ることは出来ません。ある程度の組織になれば、毎年新人社員が配置され、常に実戦投入されています。

ジャイアンツの場合はFAでの他球団への移籍は余り考えられませんので、大変恵まれた環境ですが、それでも選手の故障やMLBへの流出は十分に考慮していなければなりません。

西武や広島などを見ていると、常に戦力の新陳代謝を繰り返しており、強い組織づくりが出来ています。

ジャイアンツの問題点は、ポジション毎の戦力補強を刹那的に見ているので、不測の事態や主力の衰えに対応できていない事と言えるでしょう。

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コーチを育てられると考えた誤算

原監督は2022年シーズンを振り返って、元木ヘッド、阿部コーチ、亀井コーチについて荷が重かったと発言しています。原監督の大きな誤算と言えるでしょう。そして来年のコーチ陣を指して、自立した人間が増えた、とコメントしています。逆に言えばコーチとして自立していない人間がいたということになります。原監督にはコーチを育てるという気持ちがあったのだとは思いますが、自立していないコーチに育てられる選手の気持ちはどうなんでしょうか。一般社会でも自立していない管理職がいたら、組織は上手く回りません。課長が自立していなかったら、社員はどうしていいかわかりません。もし新任の課長が自立できていないならば、上司である部長が全面的にカバーしなければ、社員は機能せず、若手の社員が育つ環境には程遠い環境になります。若手の育成だけでは優勝争いが出来ないとコメントしている原監督ですが、育成が上手く出来ていない環境でありながら、結論づけるのは早すぎるのではないでしょうか。

今年1軍コーチとなった川相コーチと大久保コーチについて

チーム強化をするにあたって、技術を教えるコーチが必要だと原監督は言っています。

来年のコーチ人事の目玉となった二人のコーチについて原監督は、技術を教えることの出来るコーチだともコメントしています。裏を返してばかりなのですが、昨年は技術を教えることのできないコーチが多く存在して、そのためにこの二人を加入させたということになります。技術を教えることが出来るコーチが十分にいない1軍では、若手を伸ばすことが出来ないはずで、ここ数年若手が伸び悩んでいる一因が語られていると思います。

若手を育てる環境整備ができていなかったジャイアンツ

原監督は最近の選手は、技術を教えることの出来るコーチにはとことんついていくが、技術の教えられないコーチの言うことを聞かないと言っていますが、これを聞いて少しジャイアンツの若手が可哀想になってしまいました。いまどき知識もなく精神論を振り回す上司は、一般社会では淘汰されて存在すらしていません。そんな中で若手の育成だけでは優勝争いは出来ないと結論づけるのは、早計ではないでしょうか。現にヤクルトやオリックスは若手の育成において、ジャイアンツとは格段の差がついています。若手の育成だけでは優勝争いが出来ないという発言は、若手のモチベーションを著しく下げるものであり、最高指揮官が発言するべきものではないと思います。

投手コーチは原監督では育てられなかった

投手コーチとして実績のなかった宮本コーチと桑田コーチを抜擢した原監督でしたが、十分な結果は出ませんでした。

そして今年は他球団で実績を積み重ねた、阿波野コーチと久保コーチを招聘しています。もし原監督が、投手陣のことは余りわからず、専門職に任せたほうが良いという判断で、二人のコーチを招聘したのならば、ようやくジャイアンツ投手陣にも明るい展望が開けてきたかもしれません。

宮本コーチや桑田コーチは技術論よりも、精神論が勝ったコメントが多い印象が有りました。解説者時代のコメントを聞いていても、桑田コーチはコントロールの向上などを唱えますが、投手のメカニックについてはあまり解説がありませんでした。工藤公康さんの解説は対照的で、コントロールが乱れている原因などを即座に解説してくれていました。桑田さんの解説は僧侶との問答のようで、工藤さんの解説は医師の問診のようでした。どちらも一流選手には必要なコーチングだと思いますが、今のジャイアンツの投手陣にはお医者さんが必要なのかもしれません。

原監督がコメントした技術を教えることの出来る人材は、新任の二人の投手コーチにもかかっているのではないでしょうか。

原監督が”投手のことは阿波野コーチに任せた!”と言ってしまえば、実績のある阿波野コーチは答を出してくれるのではないかと期待してしまいます。

歓迎すべき原監督の軌道修正

若手の育成を諦めてほしくは有りませんが、コーチの育成を諦めたのは歓迎すべきだと思います。願わくば投手陣のことは阿波野投手コーチを信頼して一任してくれれば、原監督の1軍監督としての技量に疑いはありません。強いジャイアンツが戻ってくる可能性は、確実に高くなっていると思って良いのではないでしょうか。

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