ジャイアンツが2位とはいえ、ヤクルトに大差をつけられてしまいました。
今年は投手陣の立て直しをするべく、ドラフト上位で大量に新人投手を指名し、桑田投手コーチがチーフとして昇格し臨んだシーズンですが、効果は出ておらず、昨年終了時は3.63でセ・リーグ4位だった防御率は、現時点では3.86で最下位です。
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桑田コーチはシーズンに臨むに当たり、コントロールの向上を各投手に求めました。宮本前投手チーフコーチが就任時に球速アップを求めたのとは、対象的な方針でした。規定よりも短いブルペンのレーンを設置したり、ライン出しなどというゴルフ用語を持ち出したりして指導するなど、その試みは好意的に報道されていました。
投球回 | 防御率 | 四球 | 四球率 | |
ヤクルト | 726 | 3.04 | 200 | 2.48 |
巨人 | 740 | 3.86 | 259 | 3.15 |
広島 | 731 | 3.42 | 227 | 2.79 |
阪神 | 733 | 2.8 | 171 | 2.10 |
DeNA | 671 | 3.74 | 228 | 3.06 |
中日 | 692 | 3.72 | 214 | 2.78 |
しかし、結果的に防御率は悪化してしまっています。防御率3.86はDH制のあるパ・リーグの日本ハムの3.60より悪く、12球団ワーストです。東京ドームという本拠地の狭さが一因としてあるとは思いますが、神宮を本拠地とするヤクルトが3.04とセ・リーグ2位であることを考えると、言い訳には出来ません。
減らないフォアボール
コントロール重視の方針を掲げたにも関わらず、9イニングあたりのフォアボールも約3.15でセ・リーグのワーストです。1位の阪神が約2.10で9イニングあたり1つしか違わないので、あまり影響はないように見えるかもしれませんが、3ボールまで行ってしまう状況は実際に与えたフォアボールよりも多く、守りの時間は当然長くなります。また2ストライクまで追い込んだ有利カウントでは、被安打率は2割を切りますが、それ以外の打者有利カウントでは被打率は3割を大きく超えてしまいます。フォアボールを減らすこと、早めに追い込むことが失点を抑える必須条件であるのに、何故ジャイアンツ投手陣は実践できないのでしょうか。
球威が足りない投手陣
ジャイアンツの投手陣は、ストレートの威力が足りない投手が多いと思います。これは単純にスピードガンの数字ではなく、甘めのゾーン内のストレートで空振りやファールを取ることが出来る球威がないということです。特に他チームの救援陣は若いカウントで、ストレートをゾーン内に投げてカウントを稼ぐのに、ジャイアンツの投手陣は厳しいところを狙ってカウントを悪くしてしまっています。リリーフで出てくる投手が、思い切りゾーン内に投げたストレートを初球から痛打されてしまうようでは、リリーフの適性が足りないというものではないでしょうか。ジャイアンツの投手を見ていると、入団時はストレートで押せていたのに、だんだん球威が落ちて打ち込まれてしまう投手が増えていくように見えるのは、私だけなのでしょうか。
天才桑田投手
コントロールは投げ込むことと、下半身や体幹を鍛えて土台を強化することで安定すると言われています。これはゴルフなども同じで、下半身の踏ん張りで股関節を回転させることが出来なければ、上半身を強く回転させることは出来ません。桑田投手は高校入学前からコントロールが良く、コントロールに苦労したことが極めて少ないのではないでしょうか。そんな桑田投手に、コントロールを気にするあまり、球威をなくしてしまう投手の育成は出来るのでしょうか。
かつては球だけは速いけれど、コントロールがバラバラという投手が、将来性を買われてプロに入団するというパターンが多くありました。最近はとんでもない荒れ球の投手は少なく、高校生もある程度のコントロールを身に着けて入団してきています。ファームのジャイアンツの試合を見ていても、コントロールで苦労して四球を連発するような投手は少なくなって、どちらかというと荒々しさの少ない投手が多いように見えます。
球威で打ち取る必要性
コントロールにはミスはつきものです。どんなにコントロールの良い投手でも、ミスはします。しかし球威で押すストレートには投げ損ねが少なく、仮に投げ損ねればストライクゾーンを外れる可能性が高いと思います。特に救援投手に立ち上がりから、コーナーに決めさせる事を求めるのは難しいと思います。並の投手ではなく、コントロールを若い時から高い水準で備えていた桑田投手コーチに、そのあたりの指導は出来るのでしょうか。どうしても細かいコントロールが身につかずに、勢いでねじ伏せてしまう投球スタイルの投手も、ある程度は投手陣には必要なのではないかと思います。スピードガンの数字が高くても甘めに行ったら弾き返されてしまうストレートではなく、数字は出なくても空振りやファールを甘めのコースで取れるストレートを投げることを教えられる投手コーチが、今のジャイアンツには必要なのではないでしょうか。