不振に喘いでいた村上選手が覚醒した。
初回に戸郷投手の投じたストレートを、ライトの上段に突き刺した。ライトは一歩も動かず、場内も一瞬静まる一打だった。
村上選手は21歳で、昨年は打率.307、28本塁打、86打点をマーク。今年は三冠王も狙える選手である。村上選手の後ろを打つ選手がしっかりしていれば、四球が減りその可能性は少なくないと思われる。
今年は出だしで躓いて、巨人戦が始まるまでわずか2安打であった。しかしその2安打は本塁打という長距離砲ぶりだ。
初戦で野上投手はインコースを狙ったスライダーが甘く入って、右翼上段まで運ばれた。失投を見逃さず、打ち損じずに仕留めるところは素晴らしい集中力だ。そして2戦目は戸郷投手が投じたインハイ狙いのストレートが、シュート回転をして真ん中に入ってしまった。どちらも投げ損ないが甘く入ってしまい、投手は失投がつきものなので仕方がない面があると思う。ただ、間違ったら長打を打たれる可能性が高いことを考慮して、攻めてほしい。
しかし、投げ損ないが真ん中に寄ってしまうのは問題だ。
戸郷投手の場合は、すっぽ抜けが前の打者の頭部付近に行ったので、少し気にしてしまったのかもしれない。村上選手を攻める時にインハイのストレートが弱点であることは、きっとミーティングなどで徹底されていたと思うし、そういう攻めができていたと思う。ただデッドボールを過度に恐れるとインコースを攻めきれない。戸郷投手の場合、投げ損ないでも球威で抑えられることがあるだろうが、村上選手クラスには通じないことを、次は気をつけなければならないと思う。ある程度、次は大丈夫だろうと予想される。
問題はキャッチャーのリードだと思う。昨日のようにデッドボールを気にする要因があったならば、甘くならないように再度投手に徹底するなり、状況に応じて勝負を避けるなり、中途半端にならないようにする必要があると考える。また、ある程度の失点が許容されるケースでは、大胆にインコースを攻めて踏み込まれないようにしなければならない。青木選手や内川選手が欠けている打線では、その余裕がある筈で、どこかで徹底的にインコースを攻めて踏み込まれないようにしなければならない。(決してぶつけろと言っているわけではありません。)
セリーグの球団は、デッドボールを特に気にする傾向にあると思うのだがどうだろうか。
2020年のリーグ別デッドボールの数は、
セリーグ 218個 パリーグ 265個
セリーグの方が少ない。そして両リーグの与死球トップは56個のソフトバンクと59個の巨人だ。これが攻めたところに踏み込んできてぶつけたのか、そもそも投手の技術不足なのかは不明だ。しかし死球を与えたことによって、インコースを攻められなくなってはまた、村上選手の餌食だ。
今日の1戦の村上選手。来週からの不振にあえぐ阪神の佐藤選手を目覚めさせるのは、巨人のキャッチャー陣かもしれない。カードの頭の1打席目は大変な観物だ