資本主義社会の基本を教育しない日本 弱者救済の気分は社会主義?

デフレ社会が終わろうとしています。基本的に資本主義国はマイルドなインフレが続くことを前提に、社会がなりたっていきます。資本主義は厳しい社会で、簡単に言えば弱肉強食の社会です。しかし、テレビなどを見ていると、資本主義の基本である競争社会を訴えると、優しくない人のような印象が伝わる番組作りがされている様に見えます。

賃金アップは政治の力ではなく経済の力

亡くなった安倍首相が異例の賃金アップを経済界にお願いしたあたりから、賃金アップを政権が経済界に依頼することが普通になってきました。社会主義や共産国家ではないので、賃金アップは経済の成長で自然に行われなければいけないのに、なぜ政治の力が必要なのでしょうか?賃金アップは経済が成長すれば自然と起こるものです。別に政治が介入しなくても人手不足、労働力不足になれば、必然的に賃金は上がります。今の日本は大企業を中心に賃金が上がりつつあります。ただ中小企業にまで賃上げの波が届かないため、政権が賃上げを呼びかけているようですが、中小企業の経営者からすれば余計なお世話だと思います。中小企業にもいろいろな状況があり、成長産業であれば儲かって仕方がないでしょう。成長産業の従業員であれば賃金は上がるのが自然です。逆に斜陽産業であれば賃金は上がるはずもなく、やがて一部生き残れる企業以外は廃業もしくは倒産に追い込まれるのが、資本主義の社会です。中小企業でも全てが苦しいわけではなく、儲からないフェイズに入った企業達が苦しいという状況だと思います。

産業にも寿命がある

ビジネスを始めても、いつまでもそのビジネスが続くわけではありません。経済学では産業の盛衰のサイクルはかなり以前から、定義付けがされています。しかしこの様な資本主義社会の経済の基本を日本は義務教育では教えていません。大学の経済学部や経営学部で、はじめて教えられるのでは無いでしょうか。

しかし、中小企業の経営者がすべて経済学や経営学を学んでいるわけではありません。したがってもしかしたら、上手く経営すればいつまでも会社は存続できる、成長し続けることができると思っている経営者は少なくないのではないでしょうか。

そして中小企業の従業員さんも、真面目に働いていればずっと同じ企業で、賃金が上がり続けると思っているのかもしれません。

しかし、産業には寿命があります。それは中小企業だけではなく、大企業も同じです。例えば富士フィルムは、会社名通り写真のフィルムを作っていた会社ですが、今はフィルムなど殆ど作っていません。見事に経営の多角化によって、時代に合わせて成長している会社です。ソニーはオーディオを中心にした黒物家電の会社でした。しかし今はゲームや映画などのコンテンツを中心としたビジネスを展開しています。

大企業だけではなく、中小企業でも技術を活かして業態を変えて成功している企業は沢山あります。そういった経営者さんたちは、賃金を上げることに成功しているでしょう。

そして残念ながら時代の流れに乗り遅れた経営者は、賃金を上げることができません。

ゾンビ企業を生まれさせたのは政治の責任

産業に寿命があり、業態が変えられなかったのならば、赤字に転落する前に廃業するのも一つの手ではないでしょうか。後継者がいなかったり、人手が足りなかったりして廃業や黒字倒産をするのは必ずしもネガティブに捉える必要はないと思います。産業が成熟期から衰退期になったのならば、遠慮なく人員削減をしなければならないと思います。これは資本主義の基本です。しかし、日本の社会では経営者は間違った教育のためか、人員整理をほとんどしません。そのため給料は上がらず、業態も変えることができず、ジリジリと衰退していく状態に陥りがちです。今、賃金を上げられない企業は、成熟期、もしくは衰退期の企業がほとんどではないでしょうか?

廃業は恥ではない

会社を潰すことが悪い事のようになっていますが、計画的に廃業する、もしくは事業譲渡するのは良いことだと思います。むしろ小さな資本で半永続的に利益を稼ぎ成長できるのは、一握りの会社だけだと思います。

その製品のライフサイクルを考えて、新しい事業に取り組むことが一つの方法で、成功している経営者の方たちは、あらゆるリスクを考えて長期的な計画を持っているはずです。そんな経営者たちは、時代を先取りしているので、賃金をあげられないと政府や世の中にクレームを付けることはないでしょう。

経済学を浸透させよう

製品にライフサイクルがあれば、会社のライフサイクルも考えなければなりません。着々と次の手を打っていかなければ、いつかは手詰まりになります。資本主義は基本的にはそういうものです。経済学や経営学をもっと一般常識にしなければいけないと思います。

政治は弱者救済のため

政治は分配によって、弱者を救済しなければなりません。しかしその救済は資本主義の競争を阻んではなりません。そして資本主義の中で企業は永遠に生きられるはずもなく、その寿命を無理に伸ばそうとすれば、デフレの世の中にまた戻ってしまうのではないでしょうか?

資本主義と経営の教育を

せめて高校生の授業では、資本主義の原則、経営学の基礎ぐらいは教えてほしいものです。そうすることによって、高校卒業後に起業を目指すひとたちが、正しい知識を身に着けて躍動できると思うのです。日本は資本主義を標榜しているのに、資本主義についての教育が無さすぎると思います。体制は資本主義でマインドは社会主義のような、ねじれた感覚が良くも悪くも日本を覆っていると思います。

成功者を叩くのではなく、成功者をもっと育てて分配に貢献してもらい、全体の底上げを狙う。そのうえで政治が適切に分配をする必要がある事は誰もが解っていることですが、それを実現できていないのが今の日本だと思うのです。

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