フライボール革命終焉 日本で難しい理由 坂本勇人、柳田悠岐の復活

スタットキャストと呼ばれる分析システムの導入によって、様々なスポーツに革命的な変化が現れました。例えばゴルフなどではボールの初速やスピン量、打球の角度によって飛距離や方向性が数値化されて、スイング理論やクラブの開発に大きな変化が有りました。プロ野球もその影響は大きく、MLBではフライボール革命が起こりました。

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アッパースイングの効果

以前はMLBでもゴロを打つことが打撃の基本で、ゴロを打つことで出塁率を含めたチームへの貢献が大きくなるとされていました。しかしビッグデータの解析などによって、極端な守備シフトが取られるようになり、いい当たりが野手の正面をつくことが多くなってフライボール革命が始まったとされています。

フライボールを打つためには、19度アッパースイングで、ボールの中心から0.6cm下をインパクトすると、飛距離が最大化されると研究結果が出ています。

スプリットなどの落ちる球や、ムービングファストボールと呼ばれた、わずかに変化するストレートにはアッパースイングの軌道のほうが相性が良く、アッパースイングでかちあげるように打つ打法が、日本でも浸透してきています。

基本だったダウンスイング

日本では長らくダウンスイングが基本とされ、昭和の小学生はとにかく上からボールを叩くことを基本として叩き込まれました。もともと体力のない小学生は、バットを引力に逆らって振り上げることは難しく、バットの重さと引力に逆らわず振るダウンスイングの方が、理にかなっているといえます。また中学生以下のアマチュア野球では、スプリットなどの落ちる球種が少ないため、ダウンスイングが主流になってしかるべきだと思います。

体力の強化と金属バットによるアッパースイング

現在の高校野球は金属バットが使われていて、重さは900グラム以上と規定されています。昭和のプロ野球は1Kgのバットを使う打者などもいましたが、最近は900グラム前後のバットを使う選手が多く、950グラムはとても重い部類に入ります。この傾向は落ちる球や手元で動く球に、対応するためと言われています。バットが軽量化されたためか、この頃のバットはよく折れるようで、プロ野球でも派手にバットが折れるシーンが多く見られるようになりました。

選手の筋力も科学的トレーニングの成果で上がってきており、アッパースイングに耐えられる体力が備わってきたことも、影響していると思います。

高校生の頃には軽い金属バットで小柄な選手が長打を飛ばすことは可能ですが、軽い木製バットでは小柄な選手は飛距離を出すことが難しくなります。高校野球の長距離打者がプロでは活躍できなくなる原因の一つでしょね。

坂本勇人選手のアッパースイング

以前巨人の坂本選手が、ダウンスイングが基本とされることに疑問を持ち、他のチームの主力選手にヒアリングする中で、アッパースイングに自信を持ったというコメントをしていました。坂本選手の同世代には、アッパースイングで素晴らしい成績を残した選手が少なく有りません。ソフトバンクの柳田悠岐選手、広島に入団を決めた秋山翔吾選手、MLBで活躍する筒香嘉智選手などはアッパースイングで打撃を行うことが出来る代表格ではないでしょうか。

アッパースイングの弱点

アッパースイングは低いボールに強い半面、高めの速い球には弱くなります。振り下ろすよりもかち上げるほうが、体力的に要求されるものが大きく、タイミングも遅れがちになります。従って相手投手のスピード次第では、坂本選手や柳田選手といえども対応が難しくなるでしょう。また体力的に落ちてきたり、どこかに故障があったりしてスイングスピードが落ちてしまえば、極端にパフォーマンスが落ちることもあり得るでしょう。

フォーシームが見直される

高めに伸びる球はとても捌くのが難しく、特にアッパースイングでは難易度が上がります。日本の投手は器用なので、高めにきれいなストレートを投げることができます。アッパースイングでフォーシームに対応できる体力がある打者は、日本では極めて少ないと言えるでしょう。MLBでもフライボール革命に対応した投手が、高めのフォーシームを見直していますが、日本ではその対応が早まりそうです。

高めのストレートを叩けない打者達

今年は投高打低と言われていますが、率を残すコンタクトバッターにはアッパースイングの打者は少ないようです。また、体の不調や体力の衰えでアッパースイングに耐えられなくなれば、パフォーマンスは落ちていくでしょう。結局、長いシーズンで安定して活躍したり、長い選手生命を保ったりするためには、アッパースイングはダウンスイングよりも難易度の高いスイングと言えるのではないでしょうか。

不調の柳田悠岐選手と坂本勇人選手

年齢的に全盛期を過ぎようとしている柳田選手や坂本選手が、全盛期のパフォーマンスを取り戻すために、どのような対応をしてくるか注目されます。二人共まだまだやれる年齢ですが、勤続疲労によっていろいろと問題が出てきているはずです。坂本選手は膝や腰に不安を抱えているなかで、守備でも負担の大きいショートを守っています。打撃の調子を落とすことができない中心打者の二人が、優勝を目指すチームの中でパフォーマンスを取り戻すために、シーズン後半で調子を上げてくることが出来るでしょうか。

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