プロ野球も中盤戦が過ぎて、パ・リーグは混戦を続けてますます後半戦が楽しみな展開になってきました。逆にセ・リーグはヤクルトの独走で、2位巨人に11ゲーム差をつけて他チームを圧倒しています。マスコミや解説者は、まだ逆転の可能性はあるとコメントしています。しかし可能性は優勝決定まで数字的には残りますが、ファンの興味はペナントレースからは逸れつつあります。
高品質で希少な新鮮食材を産地直送でお届け 羽田空港公式産直通販サイト「羽田産直セレクション」各球団の資金力 ソフトバンクと巨人が優位
2022年の各球団の年俸総額は、別表のとおりです。これを見ると現在の順位と年俸総額には一定の相関関係が有り、やはり資金力が豊富なチームが優勝争いで有利になることは間違いありません。
昨年優勝したことによってオリックスの総額が上がったようですが、上位との差は歴然としています。
昨年優勝のヤクルトは2020年のオフに山田哲人選手などFA選手の引き止めを行い、年俸総額が上がりましたが、見事に優勝しました。そして今シーズン前年の優勝のため年俸総額が更に上がりましたが、結果に結びついています。
順位 | 球団 | 総額(万円) | 平均年俸 | 2022/6/28 順位 |
1位 |
ソフトバンク |
62億1120万円 | 9411万円 | 1 |
2位 | 巨人 | 45億5090万円 | 7857万円 | 2 |
3位 | 楽天 | 37億6744万円 | 6384万円 | 2 |
4位 | ヤクルト | 33億8730万円 | 5056万円 | 1 |
5位 | 阪神 | 32億320万円 | 4853万円 | 4 |
6位 | DeNA | 31億4140万円 | 4760万円 | 5 |
7位 | 西武 | 28億1850万円 | 4474万円 | 3 |
8位 | ロッテ | 27億9120万円 | 4361万円 | 4 |
9位 | オリックス | 27億5315万円 | 3900万円 | 5 |
10位 | 日本ハム | 25億2560万円 | 3827万円 | 6 |
11位 | 広島 | 25億2120万円 | 3820万円 | 3 |
12位 | 中日 | 25億1391万円 | 3868万円 | 6 |
2022年 | 金額は推定 |
こうしてみると多少のばらつきはありますが、年俸総額順位が上位のチームはペナントレースでも上位の常連となります。
また、資金力に難があるチームはペナントでも不利は免れず、日本ハムと中日は下位に甘んじています。
特に日本ハムは球団の方針が明らかで、高年俸の主力選手を次々と放出しており、球団として優勝を目指す姿勢は強くは見られません。新任のビッグボスこと新庄監督も、開幕前に優勝を目指さないことを公言しています。
優勝を目指さないチーム
各球団の経営方針もあり、資金力の範囲でチームを強化することは責められることでは有りません。むしろ安定した球団経営のためには、必要な考え方かもしれません。しかし故意に戦力を落とすことは、プロ野球としては問題のある行為だと言わざるを得ません。
MLBでは故意に順位を落としてドラフトの上位指名権を手に入れ、チームの再建を図ることをタンキングと称して、批判の対象になっています。アストロズはタンキングによってワールドシリーズを制したと言われており、批判の対象になっています。実際にはサイン盗みや、高度なデータ管理による戦法など優勝の要因は他にもあるのですが、MLBの人気低迷の一因になっているかもしれません。
日本ハムもアストロズほどではありませんが、ドラスティックな球団経営が目立つ球団です。
入れ替え戦のないプロ野球
サッカーと比較されることが多いプロ野球ですが、サッカーと違いプロ野球には入れ替え戦がありません。従っていくら弱くても、球団に資金力がなくても、プロ野球の球団として存在することができます。赤字経営さえ行わなければ、永遠にペナントに参加できる状況です。しかし6チームしか無いリーグ戦で、明らかに戦力が劣るチームが、存在することは、リーグの魅力を低下させます。資金が豊富なチームの独走を防ぐためのドラフト制度を、逆手に取るようなやり方で、球団の強化を怠ることは、リーグの魅力を低下させ、繁栄を阻むものではないでしょうか。
日本ハムの強化戦略
高年俸のベテラン選手を早めに放出することで、若手の育成機会はたしかに増えるでしょう。しかしそれは球団の育成能力が上がっているわけではなく、単に若手の出場機会が多いからと捉えることもできます。若手選手にとっては出場機会の多いチームですが、ある程度地位を確立した選手にとっては、いつまで経っても優勝を味わうことのできない、辛いチームになる確率が高くなる恐れがあります。やはりスポーツ選手は勝つことで報われます。
六大学のレベルの低下
かつて人気も実力も大学球界でナンバーワンだった東京六大学のリーグ戦は、今は人気も実力も衰えてしまいました。実力の東都リーグと言われますが、東都リーグには厳しい入れ替え戦があります。逆に六大学には入れ替え戦はなく、東大などの明らかに実力が劣るチームが存在し、リーグの実力は下がる一方です。
プロ野球の責任
六大学の場合アマチュアリーグなので、リーグの考え方も有り、一概にはそれを否定できません。しかしプロ野球は別です。プロ野球の地盤沈下は、日本の野球のレベルダウンを意味します。ただでさえスター選手がMLBに流出している中で、リーグの存在価値を下げるような行為は慎むべきではないでしょうか。それでも尚敗退行為に近いものがあるようであれば、それを防ぐ方策をNPB全体で考えるべきだと思います。資金集めもプロ野球球団の大切な仕事といえます。斜陽産業と言われるような親会社が、いつまでも球団を一社で支えることは難しく、共同経営など様々な可能性を探るべく、リーグ全体で考える責任があると思います。リーグや日本野球界の発展を下支えする気持ちのない球団には、大切な野球界の未来を託せないのではと思慮します。