日本一の立役者ヤクルト村上宗隆選手が、セ・リーグ最年少でMVPを受賞し、また記録を塗り替えた。9月に100号本塁打を記録し、清原さんの最年少記録を塗り替えたが、今回またも最年少記録を更新した。
村上宗隆選手の入団の経緯が幸運
ポジション | 内野手 |
投打 | 右投左打 |
身長/体重 | 188cm/97kg |
生年月日 | 2000年2月2日 |
経歴 | 九州学院高 |
ドラフト | 2017年ドラフト1位 |
村上選手は2017年のドラフト1位で、今年が4年目の高卒の選手だ。清宮幸太郎選手のくじを外したヤクルトと巨人がハズレ1位で指名して、ヤクルトが引き当てた。高校時代は捕手と一塁手を守ることが多かったが、プロ入団と同時に内野手に専念している。巨人に指名された場合、すぐに捕手を諦めることが出来たか疑問符がつく。巨人は村上選手を外した後に、1位で中央大の鍬原拓也投手を指名し、2位で岸田行倫捕手、3位で大城卓三捕手を立て続けに指名している。もし村上選手のくじを巨人が引き当てた場合、その後の指名は大きく変わり、村上選手は未だ捕手としての練習を続けていたかもしれない。3位で指名された大城捕手は打力を買われて、コンバートを前提していたとの噂も有る。阿部慎之助コーチの幻影を追う巨人首脳陣が、村上選手に捕手を継続させていた可能性は十分にあるだろう。その場合、最年少記録の更新は難しかったかもしれず、現在のところはヤクルトに入団できて幸運だったかもしれない。
年度 | 試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 犠打 | 犠飛 | 四球 | 敬遠 | 死球 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | OPS |
2018 | 6 | 14 | 12 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0.083 | 0.214 | 0.333 | 0.548 |
2019 | 143 | 593 | 511 | 76 | 118 | 20 | 0 | 36 | 246 | 96 | 5 | 4 | 0 | 3 | 74 | 5 | 5 | 184 | 9 | 0.231 | 0.332 | 0.481 | 0.814 |
2020 | 120 | 515 | 424 | 70 | 130 | 30 | 2 | 28 | 248 | 86 | 11 | 5 | 0 | 1 | 87 | 12 | 3 | 115 | 8 | 0.307 | 0.427 | 0.585 | 1.012 |
2021 | 143 | 615 | 500 | 82 | 139 | 27 | 0 | 39 | 283 | 112 | 12 | 7 | 0 | 3 | 106 | 6 | 6 | 133 | 12 | 0.278 | 0.408 | 0.566 | 0.974 |
通算 | 412 | 1737 | 1447 | 229 | 388 | 77 | 2 | 104 | 781 | 296 | 28 | 16 | 0 | 7 | 269 | 23 | 14 | 437 | 29 | 0.268 | 0.386 | 0.54 | 0.926 |
指導者に恵まれた村上選手
若きチームリーダー村上選手
村上選手のチームリーダーの資質は、阪神戦でのサイン伝達疑惑のゲームなどで大きく取り上げられた。若くして相手首脳陣に毅然とした態度で対峙した姿勢は、ファンの垣根を超えて支持されていた。塁上やベンチでの立ち振舞は、21歳の若武者としてはあまりに素晴らしく、今年の日本一の立役者としてMVP受賞は当然のことだろう。
サムライジャパンにも選出されベンチでチームを鼓舞する姿は、年上の選手たちさえも出来ない姿だった。おとなしい選手が最近は多く、サムライジャパンでもリーダー役を長らく務めていた松田宣浩選手の後任を引き継いだような形だ。
この様に技術的にも精神的にも急成長を遂げた村上選手だが、そこに至るには厳しく接してくれた指導者の影響が大きいと思われる。
宮本慎也さんの存在
2018~2019年に一軍ヘッドコーチを務めていた宮本さんは、最近では珍しい、選手に厳しく接することのできるコーチだ。最近の選手は褒められて育てられた事が多く、厳しく接する指導者は少なくなっている。アマチュア野球界でも一般社会と同じ様に、優しい指導者が増えているようだ。しかし村上選手のメンタルは強く、それを見抜いた宮本さんは人一倍村上選手に指導したようだ。誰にでも当てはまる指導法ではないが、21歳の村上選手の現状の立ち振舞を見ていると、同世代の選手たちの立ち位置を大きく超えてしまっていると言えるだろう。
指導者に恵まれない岡本和真選手との違い
岡本選手は村上選手との比較をされる。若くして4番を担う二人が比較されるのは当然のことで、これからも良いライバルとして競い合っていって欲しい。現状は守備力で岡本選手が勝り、走力や出塁率で村上選手が大きく上回っている。お互いに数字で比較される打撃部門では結果がわかりやすく、今年は日本一への貢献もあって、ベストナインを受賞した村上選手が現状ではやや優勢かもしれない。
岡本選手は独特の雰囲気で闘志を表にださない選手で、今どきの若者の代表かもしれない。巨人では厳しく接してくれる指導者は原監督ぐらいで、原監督でさえも年齢差からかどこか一歩引いた形ではないだろうか。本来ならば元木コーチがその役割を行わなければならないのだろうが、そこまでの指導力を元木コーチのキャラクターに求めることは難しいだろう。
巨人では若くして4番を張る岡本選手によくやっているとの評価が多いが、いろいろな面で村上選手に抜かれてしまった現状を岡本選手自体はどう捉えているだろうか。ゴールデングラブ賞を目標とすると発言するなど、どこか正面切って村上選手と対峙するのを避けているように見えるが、厳しく指導するコーチがいてくれれば、岡本選手はもう一つ上のレベルに行けるのではないかと思ってしまう。
岡本和真選手は何故侍ジャパンに選出されなかったか。落選の理由。
来年から1軍スタッフに加わる阿部コーチが、岡本和真選手の精神面での成長を促してくれるのではないかと、秘かに期待しています。