プロ野球投高打低の理由 投手のレベルアップと打者のレベルダウン

今年になって投高打低が顕著になってきました。ボールが変わったとの指摘もありましたが、どうやらそれだけではないのではないかと考えています。

投手のレベルが上がったことがよく言われます。しかし、同時に打者のレベルが下がったのではないでしょうか?

ピッチャーのレベルアップは球速

投手のレベルは確実に上がりました。コントロールなどは寧ろ劣化しているかもしれませんが、球速は確実に上がっています。短いイニングであれば球威で押し切ることも可能になり、先発は100球前後、リリーフは1回限定という起用法が確立されています。先発投手も100球前後の球数でありながら、中6日をもらえるなど、リカバリーにも時間をかけられるようになっています。このような起用法は、球威で押し切るタイプには非常に重要で、故障のリスクも非常に少なくなってきていると思います。以前のプロ野球では優勝するために必ず登板過多の投手がでてきて、短い選手生命で終わるケースが珍しくありませんでした。

マウンドの硬さも影響大

最近の日本のプロ野球の球場は、マウンドがメジャーと同じように硬くなっています。昭和の時代のような滑るマウンドでは、軸足の膝に泥がつくような沈み込んだフォームが主流でした。江川卓投手のような大型の投手でも、ベッタリと泥がついていました。しかし、最近の投手は、立ち投げのような感じで沈み込まずに投球するのが主流のようです。まジャーに移籍した、上原浩治投手あたりから変化が見られたように記憶しています。あの頃は、日本からメジャーに行った投手が毎々球速を上げているのが不思議でしたが、マウンドの影響は少なくなかったと思います。ジャイアンツの戸郷翔征投手などは立ち投げの典型で、上手くコントロールもできているし、角度も確保されており、現在の主流のピッチャーの代表格だと思います。

バッターのレベルダウン

これは間違いなくバットの重量の減少が、レベルダウンの元凶だと思います。

以前は1Kgに近いバットを扱う選手もいたのですが、今は800g台の選手がほとんどです。ツーシームが重用されて小さく動くストレートに対応するために、バットが軽くされた経緯がありますが、これは明らかに逃げの対策で、打者のレベルは下がったと思います。メジャーでもツーシームからフォーシームに回帰するようになりましたが、日本でもその傾向はあります。軽くしたバットは粉々に砕けることも珍しくなく、明らかに飛ばなくなってしまいました。

投手が必死の努力で球速を上げていたにも関わらず、打者は軽いバットを扱うことで、自らのレベルを下げてしまったと考えても、良いのではないでしょうか?

アッパースイングの弊害

最近の野球はダウンスイングが否定されて、アッパースイングが見直されてきました。しかしメジャーでは既にフォーシームで高めを攻める投手が台頭してきています。シカゴ・カブスに移籍した今永昇太投手はその代表格で、高めのストレートでメジャーで大活躍をしています。

情報の流れの早い日本でも当然高めのストレートが見直されているのは、当然のことでしょう。重いバットで上から叩けば打ち返すことができる筈ですが、軽いバットで下から煽れば当然バットが負けてしまいます。果たして今の選手で1Kg近いバットを振ることができる選手はいるのでしょうか?

重いバットを使い出すのは誰か?

松井秀喜選手は練習ではマスコットバットばかりを使っていましたし、オールスターのホームラン競争でもマスコットバットを使った事があったと記憶しています。軽いバットに慣れてしまった選手が再び重いバットを振ることは難しいとは思いますが、少なくとも軽いバットを目一杯長く持って打つよりは、重いバットを少し短く持って上から叩くことを試してみるべきではないかと思います。

打者も投手のようにフィジカルを鍛えよ

打者は投手よりも練習でやることが多いかもしれませんが、フィジカルトレーニング量で投手に負けてしまっているようでは、いつまで経っても投高打低は変わらないと思います。打者がよく”投手のレベルが上がって打てない”と言い訳をしているようですが、打者のレベルは下がってしまっているのではないでしょうか?

少なくとも900g台のバットが扱えないのであれば、それは目に見えるレベルダウンだと思います。

メジャーで通用する打者は大谷翔平だけ

鈴木誠也選手も頑張っていますが、今の日本人選手で活躍できている打者は大谷翔平選手だけでしょう。イチロー選手や松井秀喜選手の時代から、投手は大きくレベルアップしましたが、打者はレベルダウンしてしまっているので、さみしい限りです。

誰が日本で重いバットを振り始めるのでしょうか?

村上宗隆選手や岡本和真選手は、今のまま行っても、鈴木誠也選手ほどにも活躍できないのではと心配です?ましてやファーストやサードでの出場は、かなり難しいと思われます。あの吉田正尚選手でも外野では首脳陣から満足されず、放出が噂されています。

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