高校野球で勝てる投手の特徴 150Km を投げるよりコントロール

低反発バットの影響下で強豪校が早々に敗退することになっています。大阪桐蔭、報徳学園、健大高崎が次々と甲子園の初戦で敗退したのは、偶然ではないと思います。

大阪桐蔭が完封負け、報徳学園と健大高崎が1得点で敗れたのは、それぞれの試合において低反発バットの影響があったことは間違いないでしょう。

140Kmのストレートよりコントロール

低反発バットの影響とともに、この強豪3校が負けた共通点はもう一つあると思います。それはバリバリの速球派投手に抑え込まれたという事ではない点です。今回の甲子園も140Kmを超える速球を投げる投手は、大会8日目までで43人も現れています。昭和の時代は高校生で140Kmを超える投手は、間違いなく秋のドラフトで超目玉として注目されました。スピードガンの計測に違いはあるものの、もはや140Kmは普通の投手でも投げられる現代では、150Kmを超えてはじめて速球派と呼べる状況です。そんな中で強豪3校は、技巧派とも呼べる投手を打ちあぐね、敗退していきました。そこには高校野球独特の状況があったのだと思います。

プロと高校野球の大きな違いの一つに、ストライクゾーンの広さがあると言われています。人によっては上下左右にボール1つずつ、高校野球のほうが広いと言う人もいて、かなりの差があることは周知の事実です。バッティングマシンのおかげで、150Km の速球を打つ練習はできますが、ストライクゾーンギリギリに来るボールを打つことはなかなか練習ができません。それがその投手独特の軌道を描く変化球であれば、甲子園の3~4打席の中で対応することは難しいでしょう。

プロ野球でも低めギリギリに来る変化球はゴロになりやすく、クリーンヒットを飛ばすことは難しい現状で、プロよりも左右にボール1つ広いストライクゾーンに変化球が決まれば、高校生レベルでは芯で捉えてボールを上げることはかなり難しいのではないでしょうか?

コントロールをつけるのはプロでも難しい

プロ野球も同様で、150Km を投げることのできる投手は、ファームにもゴロゴロいる状態です。しかし150Kmのストレートとコーナーに決まる変化球を投げられる投手は、その時点で1軍にいる投手と言っていいでしょう。

ファームの公式戦を見ていても、変化球を十分に操ることができる投手は、殆いないと言ってもいいぐらいです。

150Km のストレートはフィジカルトレーニングと動作解析で、比較的簡単にできるようになりましたが、変化球を自在に操ることは、トレーニングではできません。やはりマウンドの傾斜から投げることを嫌がっていては、ほんとうの意味でのコントロールを獲得することは、非常に難しいでしょう。

肩は消耗品と言う考えが主流派となっている現在では、1日の投げ込み数が限られている状況です。投手は外角低めのストレートを投げることに主眼が置かれて練習がされていますが、甲子園で勝ち進むためにはいつでも操ることができる変化球をひとつ習得することが条件になると思います。

打者の変化球に対する対応

低めに決まる変化球を打つ練習をすることは、プロでもあまりないでしょう。バッティングピッチャーの球は緩いので変化球は殆投げられません。鋭い変化球をコーナーに投げられるのであればプロでも通用するレベルが近く、高校生がそのような変化球を練習する機会は殆ど無いのではと思います。

ある程度の変化球を打つことができるのは対外試合という場合がほとんどでしょうから、甲子園でもコーナーに決まる変化球を打たれることはあまりないでしょう。特に高校生の場合はプロよりも左右にボール1つ分ストライクゾーンが広いと言われており、難易度はプロよりも上になる部分もあるでしょう。

プロでも初球の変化球を打つのは、ベルトから上に来た場合で、狙った球でもコーナーに決まる変化球は初球では打たない事が多いと思います。

特に長打力がある打者は、長打になりにくいボールを初球からは打たないはずです。

初球で変化球をコーナーに決めれば、殆のケースで見逃されるはずですから、変化球を高いレベルで操ることは、非常に価値があるということになります。

プロ野球に進む場合はストレートがある程度のレベルにないと難しいと思いますが、甲子園で勝ち進むためにはストレートのスピードよりも、ストレートと変化球を操ることができるコントロールが重要度が高いということになるのではないでしょうか。

スピードが上がることは数字という目に見えての成果が出るのでモチベーションが上がりますが、コントロールを付ける練習はそれがないので根気がいりますし、時間がかかります。

甲子園で強打の強豪校が打てないのは、速いストレートよりもコーナーに決まる変化球ではないでしょうか?

ただ、現在はマウンドでの投げ込みが避けられているので、変化球をコーナーに投げる練習をあまりできないというジレンマがプロでもあるのではないでしょうか?

タイトルとURLをコピーしました