クライマックスシリーズでロッテが明らかな投手の駒不足に陥って、オリックスに力負けしてしまいました。クライマックスでブルペンデーを設けるなど、苦しい台所事情があった中で、議論の的になったのは佐々木朗希投手の扱いでした。もともと高校時代から故障を防ぐために大切な試合を登板回避をして、話題になっていた佐々木投手ですが、今回はプロ野球のクライマックスシリーズを登板回避しました。
投げられる状況になかったと言われる佐々木朗希投手
ブルペンデーを設けるにあたり、吉井監督は佐々木朗希投手の状態はギリギリの状況であるとコメントしています。ギリギリがどの程度なのかは外部からはわかりませんが、球団として考えてギリギリの判断だったということでしょう。佐々木朗希投手も甲子園出場がかかる地区予選の決勝を諦めたぐらいですから、他にいくらでも投手がいるプロ野球のクライマックスですから、登板回避するのは難しい選択だったとは思えません。
では、なにをもってギリギリとしたのでしょうか?
ギリギリの線引が不透明な現状
故障ギリギリまで、もしくは故障覚悟でも投げる投手がいる中で、佐々木投手のギリギリとはどの程度のことを言うのかは、わからないというのが本当のところではないでしょうか?筋肉の疲労度を数値化してデータを取っていると言うなら話は早いのですが、そこまでは進んでいないはずです。MLBのようにトレーナーに絶対的な権限があるシステムをロッテ球団が取っているならば、トレーナーによるストップと公表すれば、佐々木投手も気が楽になるとおもいます。しかし、その線引が曖昧な現状では、トレーナーによる報告と本人の考えが決定要素の殆であると考えて良いのではないでしょうか。そして監督もその決定プロセスには入ることが出来ないという所が、本当のところではないかと推測します。
球団主導の決定を示唆した矢野燿大さん
今回の決定は球団主導の可能性が高いことを示唆したのは、テレビ出演した阪神の前監督である矢野さんでした。甲子園断念の経緯からも、入団時には佐々木投手については大切に使うことを世間的に絶対条件とされている感のあるロッテ球団は、佐々木投手を無理使いして世間の評判を落とすことだけは避けたいはずです。特にWBCで活躍し、次代の日本のエースとして成長することを期待される佐々木投手を潰してしまうことになれば、親会社のイメージにも響くかもしれません。そんな事も踏まえて矢野さんのコメントがあったのかもしれません。昨年まで現場を預かってきた矢野さんだけに、信憑性のあるコメントでした。
同期入団の奥川恭伸投手
甲子園で活躍した同期の奥川投手も、プロ入り後は大切に使われていたと思うのですが、肘の故障を再発して復帰の目処がついていません。佐々木投手とは対象的に甲子園で大活躍した奥川投手ですが、プロ入り後は大切に起用されていたにも関わらず、長期の離脱を余儀なくされています。一説によると、プロ入り前に肘に何らかの違和感もしくは故障を抱えていたという噂があります。こうなってくるとプロ入り後にいろいろ気を使っても、故障してしまう選手は存在しており、逆にプロ入り前に酷使されていても、壊れない選手は壊れないという場合もあります。
佐々木朗希投手はいつリミッターを外すのか
MLBはトレーナーにより故障の管理をしているにも関わらず、トミー・ジョン手術を受ける例は減っていません。日本でもプロ入り前にトミー・ジョン手術を受ける例は増加傾向にあり、むしろプロ入り前に受けてしまう例もある様です。トミー・ジョン手術を受けると球速が増すという俗説もあり、手術に積極的なアマチュアも存在するようです。こうなるとむしろ何時リミッターを外すかということが、問題となってくるかもしれません。
佐々木投手は将来嘱望されているということで、甲子園への決勝戦を諦め、今年また日本シリーズへの道を諦めました。佐々木投手がリミッターを外すときは何時なのでしょうか?海外FAが解禁される前年なのか、ポスティングが約束された前年のシーズンなのか。ワールドシリーズを目指す、MLBでのプレーオフなのか。
ファンとしてはその時が何時来るのか、とても興味があります。
限界を超えない範囲で投げて欲しい佐々木朗希投手
佐々木投手には8割程度の力でも、日本のバッターを十分に抑えられるピッチングを覚えてほしいものです。佐々木投手ほどの排気量があればできると思います。
F1のレースカーが8割の力で走ったとしても、10万キロを走れることはないので、耐久性の強化は佐々木投手も必要でしょう。それにはまだ時間が必要なのかもしれません。
しかし、MLBに行くまでにシーズンを投げきる、そしてリミッターを外した瞬間の佐々木投手を見てみたいと思います。
ロッテ球団にはここまで大切に育ててもらっているので、このまま未完のままMLBに譲り渡すことのないようにしてほしいと思います。もしそんな事が起こってしまえば、日本プロ野球のマイナーリーグ化は、加速してしまうと思います。
もしそれが佐々木投手の希望であるならば、もうそれはダイレクトにMLBを目指してもらうほうが良いのではないでしょうか?
それほど日本プロ野球のマイナーリーグ化は、深刻な問題だと思います。