最初に断っておくが、結論は出ない。
チームによって選手層や投手陣の強さなど、事情が違う。
つなぎの2番打者が必要な場合
長打が打てて打率も残せるバッターが数多く存在するなら、良いバッターから並べていくほうが良いだろう。
しかし打てるバッターが少なく投手陣が強力なチームは、従来の打線の組み方のほうが、少ないチャンスを確実にものにして、最小失点で勝つ野球が適しているかもしれない。いわゆるつなぎの2番打者の登場である。
全球団が2番打者最強を採用する環境
打率や防御率は対戦相手との力量の兼ね合いで、相対的に決まっていく部分がある。全球団が2番最強を取るべき時は、打高投低すぎて試合が大味になり、試合がつまらなくなってプロ野球が廃れてしまう。エースが三振の山を築いたり、両エースの投合で0対0の投手戦も、ファンはたまには観たいのである。
もし、打高投低が究極まで進んでしまったら?
その時はストライクゾーンの調整や、飛ばないボールの導入などで、調整が必要になっていくと考える。つまり全球団が2番に最強打者を置く時は来ないと考えられる。
つなぎの2番打者の条件
では、最強打者と対照的と考えられる所謂つなぎの2番打者は、どんな打者が理想的なのであろうか。次の4つの要素が必要と私は考えている。
- 選球眼がよく出塁率が良い。
つなぎの2番なので長打力が無いとなれば、ヒットで出ても四球を選んでも結果は一緒である。初球を簡単に打って凡退などというよりは、少しでも後続の参考になるような情報を取ってもらいたい。早打ちで好球必打の攻撃的なバッターは、2番打者には不向きだと思う。 - 空振りの少ない、コンタクト率の高い打者。
1番が出塁した場合、作戦としては単独スチール、ヒットエンドラン、送りバントが考えられる。バントの技術は別として、ヒットエンドランの時に空振りだけは避けなければならない。 - 俊足の打者
1番が出塁した時にダブルプレーが最悪の結果である。俊足であればそれを避けることができる。また、1番が倒れた後も出塁できれば作戦の幅は大きい。単独盗塁ができるのであれば、出塁時にクリーンナップへの投手の注意力が削がれるし、変化球も投げにくくなる。 - 右打者
ここは議論が分かれるところだと思う。
左打者であればファーストベースに近いのでダブルプレーが少ない。また単独盗塁の時にセカンドベースへの送球の邪魔になる。また、1・2塁間が広く開くので引っ張った打球がヒットになりやすい。これらが一般的にいわれる左打者のメリットであると言える。
しかし、当然バッテリーは右に引っ張ることができないように攻めてくる。アウトコースへの速球を引っ張るのはなかなか難しい。左バッターが外角の速球を引っ掛けて打つことを続けると、バッティングを崩すこともあるようだ。
右打者であれば右に流すことは、それほど難しくない。また、ファーストランナーの動きも見やすいという利点もある。もちろん、過去に左の2番打者で成功した例はたくさんあるし、現在も成功している左打者はいる。しかし、できれば右打者が良いと考える。
以上が私の考えるつなぎの2番打者の条件である。
2番打者は不自由な打順である。クリーンナップへチャンスを回すことができずにダブルプレーなんてことになれば、忽ち大きく評価を下げることになる。評価が数字になって現れないので、給料も上がりづらいのではないだろうか。それでも、そこで生きていくことが、プロ野球で生きていくことになる打者はたくさんいる。全てが強打者ではなく、つなぎの2番打者のような専門職が生きていけるプロ野球は興味深い。
つなぎの2番打者に自らを重ねる人も、たくさんいると思うのである。