私は30歳から本格的に英語を学び始めました。中学から大学までそれなりの成績はとっていましたが、英会話レベルはほとんどゼロで、ビジネスレターもまともに書けないほどでした。あることを機会にビジネスイングリッシュの取得に取り組み、海外の勤務経験10年、英語を使う国内勤務を4年間を経験する中で、苦労しながらもまがりなりにも英語を武器としてサラリーマン生活を乗り切ってきました。
一方、私の子供は約10年の海外生活のなかで、英語力は十分に身につけました。大学は帰国生枠で受験して合格しましたし、今は上場企業で海外顧客とのビジネスも行っています。
30歳から始めた私と、小学校入学前から英語に触れていた子供とでは、英語力に格段がついてしまったのは、いうまでもありません。
しかし、何歳から始めてもそれなりに英語力は身につき、仕事の上で大きなアドバンテージとなることは間違いないと思います。
ここでは大人の英語習得について、まとめておきたいと思います。
英語力だけでは企業はスペシャリストとしてしか評価しない
私の後輩に、高校と大学をアメリカで卒業してきた社員がいました。当然英語力は抜群で、発音も殆ネイティブに近く、電話でのやり取りを聞いていると、とても羨ましいレベルでした。英語力以外の事務能力も平均を超えたレベルだと、私は思っていました。当然若手社員としては使い勝手の良い、企業としてはスペシャリストとして評価していたと思います。
ある日彼が電話での取次で
「彼は電話にのっている。」
と答えた事が、職場で話題になりました。そう、英語に少しでも興味のある方ならばお解りだと思いますが、彼は、
「He is on the phone.」
(彼は電話中です。)と答えたかったのです。彼には大変申し訳なかったのですが、職場では少し話題となってしまいました。相手が「電話に載っている。」あるいは「電話に乗っている。」と、捉えたかどうかはわかりませんが、ビックリしたのではないでしょうか。本当に普通に業務をこなすことができる社員でしたので、英語教育の難しさを痛感した出来事でした。
英語力を身に着けたらジェネラリストになりたい
いわゆる英語屋さんは企業にはスペシャリストとして大変重宝されます。御本人がスペシャリストとしてサラリーを貰うつもりならばそれでいいでしょう。しかしジェネラリストとして企業の中である程度の管理職に就きたいと思うならば、英語屋さんでは上にいけません。組織の上を目指すならば、英語は主武器ではなく、いつでも使える道具として携えるものと言っていいでしょう。そのためには母国語を絶対におろそかにしては、いけないと思います。日本人であるならば、日本語の能力は極めて大切だと思います。
企業が評価する英語力
企業の共通語も英語とする会社が増えてきていることは、間違いのない事実でしょう。しかし、我々が物事を考える時、ほとんどの人が母国語で思考すると思います。その時に母国語の能力が低くては、複雑なことを考えることも、その考えを他人に使えることも、とても難しくなってしまうと思います。
私の勤めていた企業でも、スペシャリストは管理職として起用されることはありません。いくら高度な英語力を持っていても、仕事の実績は上がりません。むしろカタカナ英語に近くても、しっかりとした考え方を持ち、それを英語で相手にぶつけられる人が、ジェネラリストとしては評価されます。また、英米人もスペシャリストとの会話はストレス無くできるので便利だと評価しますが、いくら英語がたどたどしくても、権限を持ったしっかりとした考え方を持った人との英語での会話を嫌がることはまずありません。
英語を道具として操ることができれば、十分に武器になります。むしろネイティヴのように喋ることができる人材よりも、母国語による思考能力をしっかりと確保したうえで、その考えを英語で表現できる人材のほうが、組織の中では管理職として上に上がっていると思います。
これから必要な英語力
翻訳ソフトやスマートフォンの普及などによって、どんどん便利になってきています。しかし英会話能力が不要になる時は、まず来ないと思います。そして便利な通訳ソフトが出てきても、インプットする日本語が不十分であれば、会話はスムーズには進みません。
また、ネイティブではなくてもテンポの良い会話はできますし、ジョークを飛ばしても相手は笑ってくれます。むしろ欧米人は、日本人のジョークを喜んで笑ってくれます。(どうやらアメリカンジョークよりも、日本人の冗談が新鮮で面白いようです。)
英語は何歳からでも学べます
十分に日本語能力を成熟させた30すぎのサラリーマンが、2~3年地道な努力を続ければ、必ず英語を武器として戦えるようになると、私は確信します。
なんてったって、私がいい例です。特殊能力もない普通のサラリーマンが、地道な努力を続けることさえできれば、道はひらけたのですから。
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