どちらのチームの特別なファンでもない私は、非常に冷静に見ることの出来たスーパーボウルでした。どちらのファンでもないということは、ゲーム自体がエキサイティングであることを望む事が多いのですが、3点差という僅差にも関わらず、あまり興奮しないゲームでした。チーフスのファンやQBパトリック・マホームズのファンには申し訳ないのですが、個人的にはチーフスが絶対有利だと思っていたので、イーグルスの健闘には意外な感じもありました。
1 | 2 | 3 | 4 | OT | ||
Chiefs | 7 | 7 | 7 | 17 | 0 | 38 |
Eagles | 7 | 17 | 3 | 8 | 0 | 35 |
試合前の予想
この試合の両チームに決定的な差があるとすれば、両チームのQBの経験の差と、チーフスのHCアンディ・リードの経験ではないでしょうか。QBマホームズの足首付近の捻挫の回復度合いが心配されましたが、大事には至りませんでした。
HCアンディ・リードは負けた経験や失敗した経験を数多く踏まえた中で、盤石の戦略を練ってきていると思います。特にハーフタイムのアジャストは秀逸で、放送でも何度も言及されていましたが、後半の強さがその証左となっています。
両チームのタレントは揃っていましたが、経験の差が試合運びやミスにつながって、結果に反映されてしまったと思います。
ミスを犯さないチーフスと致命的なミスをしたイーグルス
チーフスがフィールドゴールを外した時は、流れを持っていけるかと思いましたが、その後にQBジャレン・ハーツがファンブルしてタッチダウンを奪われるという、致命的なミスをしてしまいました。このプレイの前にOLが3rd&1でフォルススタートを犯してしまうというミスが、ファンブルの遠因になっているのだと思いますが、このあたりが最後に明暗を分けたと言えると思います。
試合運びが安定しなかったイーグルス
イーグルスはペナルティーで、6回で33ヤードの罰退を喫してしまいました。チーフスが3回でたったの14ヤードだったことと比べると、やはり見劣りがします。イーグルスの反則はクリティカルなシチュエーションでのものが多く、QBハーツに余計な負担をかけてしまいました。特にディレイオブゲームやディレイを避けるためのタイムアウトの浪費が、試合運びの不味さを増幅したと思います。チームの熟成が足りなかったといえばそれまでですが、中立地でのSBでのディレイの頻発はHCの責任と言ってもいいと思います。
Chiefs | Eagles | |
340 | Total Yards | 417 |
3 | Total Penalties | 6 |
14 | Penalty Yards | 33 |
24:13 | Time of Possession | 35:47 |
イーグルス試合前戦略の誤り
イーグルスは35分47秒を消費して、QBマホームズをフィールドに入れないことに成功したと中継では解説されていましたが、個人的にはもっとマホームズにプレイをさせてミスを誘ったほうが良いと思いました。
QBマホームズの脚はやはり完調には程遠く、スクランブルにも切れはありませんでした。もっとカバーを徹底的にしてマホームズにスクランブルをさせれば、ミスが起こったのではないかと思います。チームメイトも必要以上にQBマホームズを守ろうとして、OLがホールディングを起こすなどのミスも考えられ、そこに漬け込むほうが後半戦を有利に戦えたのではないかと思います。特に前半終了間際にQBマホームズは脚を捻ったので、ベンチやチームメイトにも圧力をかけるために、QBマホームズを走らせる戦略を取る賭けに出ても良かったのではないでしょうか。
TEトラビス・ケルシーの存在
ここまで無双していたTEケルシーですが、今日も前半は手がつけられない状況でした。分かっていても止められないTEケルシーですが、今日は後半は少し止められたようです。イーグルスが善戦できたのは、TEケルシーを6回81ヤードに抑えることが出来たからだといえます。ただ、万全のQBマホームズであったら、プレイが壊れた後の存在が大きく、違った結果も出ていたでしょう。来年はどのチームがTEケルシーを止めることができるのかが注目されます。どこかのチームが攻略法を見つければ、あっという間にすべてのチームが対応するNFLですので、来季も注目ポイントです。
QBハーツは成長しきれず
今シーズンは素晴らしい成長を遂げたQBハーツですが、スーパーボウル制覇までは届きませんでした。この試合では経験不足を露呈してしまいましたが、致し方ないでしょう。QBの落ち着きと経験の差が、ゲームを通して影響してしまったようです。イーグルスのベンチもQBハーツに負担をかけすぎないように、気を使っている様でしたが、試合運びの不味さがQBハーツに結果的に負担をかけてしまいました。学習能力のあるQBなので、試合後半には落ち着きを取り戻すことを期待しましたが、そこまでは出来なかったようです。また、レギュラーシーズンで負傷した肩の怪我は、完治していなかった様で、最後のパスがそれを物語っていました。チーフスのDBは若かったので、WR A. J. ブラウンを活かしきれなかったことも、残念です。来季に期待したいと思います。
Player | CP/ATT | YDS | TD | INT | SACKS | RTG |
Ptrick Mahomes | 21/27 | 182 | 3 | 0 | 0-0 | 131.8 |
Jalen Hurts | 27/38 | 304 | 1 | 0 | 2-2 | 103.4 |
来季に向けてQBシャッフルのNFL、トム・ブレイディの引退
毎年恒例ですが、今年もQBのシャッフルが話題の中心となりそうな、NFLのオフです。
ここまでで、レイダースのQBデレク・カーがカットされることが、ほぼ確定的となっています。しかし、QBアーロン・ロジャースや、QBラマー・ジャクソンの落ち着き先は未定です。引退を表明したトム・ブレイディの再度の引退撤回は流石になさそうですが、オフも目を離せないNFLです。
本当にNFLは商売が上手ですね。日本のプロ野球も見習ってもらいたいものです。