今年は完全試合が達成されたり、ノーヒットノーランが続出したりと投高打低の傾向が強くなっています。トラックマンの導入などにより、投球の質を客観的に見ることが出来るようになり、投手のレベルが格段に上がったことが投高打低の大きな要因と見られていますが、その他にも理由があるのではないでしょうか。
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最近のトレーニング方法や体のメンテナンスで、投手のフィジカルは格段に上がっています。また、トラックマンの導入や投球の動作解析などが長足の進歩を遂げたおかげで、投球のメカニズムを客観的に分析できるようになりました。今はアマチュアでも低料金で解析データを手に入れることができるようになっており、アマチュアの投手がプロ野球コーチの指導なしでも、150kmを超えるストレートを手に入れることが出来るようになりました。毎年ドラフト上位ではなくても150kmを超えるストレートを持つ投手が、数多く現れていることは動作解析が進んだことが大きな原因と言ってもいいでしょう。
打者も動作解析は進んでいる
フライボール革命に現れているように、打者も動作解析が進み、どの角度でボールの何処をコンタクトすれば飛距離がでるのかが明らかになっています。またスイングスピードを上げるための動作解析などは、投球動作と同じように分析され結果が出ています。同じ様に解析が進めば、投高打低が起こることはないのではないかと思いますが、投手と打者では事情が違うようです。
自分のピッチングを信じて投げる
投手は自らの力を信じで、自分のピッチングをすることが重要です。自らのトレーニングの成果と現在のコンディションを信じて、自分の力を発揮することが重要になります。投手は団体競技の野球の中で、個人プレーを続ける唯一のポジションです。自らの努力を信じて力を発揮することができれば結果はついてきます。結果が出なかった場合は、出なかった原因を再び分析して、次の努力を始めることができれば、目標に確実に近づいていけると思います。
打者は主導権を持つ投手に対峙する
打者は投手という相手に対して、対応しなければいけません。いくら自分の理想のスイングを努力によって獲得しても、そのスイングを相手投手のタイミングに合わせて行わなければ結果が出ません。ここが投手と大きく違うところです。投手は打者にスイングさせないように投球するので、打者のタイミングで勝負はできません。
ゴルフは同じスイングでも結果が出やすい
最近女子プロゴルファーの活躍が目覚ましいですが、これは努力が結果につながりやすい事が原因の一つではないかと思います。スイング解析によってできた課題を、不断の努力で克服していけば確実に結果は出てくるので、モチベーションは上がりやすくなります。また最近のプロゴルファーのコメントを聞いていると、自分の力を信じて力を発揮すれば、必ず誰でも結果を出すことが出来るという考え方で、普段の自分の力を出すことに注力することで結果が出ているようです。
打者は相手に合わせてスイングを変えなければ打てない
打者は相手投手の力量によって、スイングを変えなければ打てないはずです。しかし今の打者を見ていると、明らかに振り遅れているのにバットを短く持つこともせずに、自分の理想のスイングをしようとしているように見受けられます。チームの4番バッターが相手のエースと対峙する時に、自らの力を試す意味でも、理想のスイングで立ち向かうのならば理解できます。反対に若く実績もない選手や、打率の低い打者までもが、自分の理想とするスイングで立ち向かっても結果は出ません。にも関わらず、努力すれば誰でも結果を出せるという教えのせいなのか、工夫もなく自分のスイングを繰り返して簡単に凡退する打者が多すぎると思います。打率が.250に満たない短距離打者までもが、初球から好球必打に行く姿勢が、どうも個人的に理解できません。個々のバッターからすれば、追い込まれてからは自分のスイングが出来ないので、初球から打ちに行くという考え方のようですが、明らかに力が上の投手に対して、簡単に打ちに行って凡打を繰り返せば、相手を楽にするだけです。
今年のノーヒットノーラン
佐々木朗希投手の完全試合を含めてみると、球数の少なさが目に付きます。
球数 | イニング平均球数 | 四死球 | 三振 | ||
4月10日 | 佐々木朗希 | 105 | 11.67 | 0 | 19 |
5月11日 | 東浜巨 | 97 | 10.78 | 2 | 6 |
6月7日 | 今永昇太 | 117 | 13.00 | 1 | 9 |
6月18日 | 山本由伸 | 102 | 11.33 | 1 | 9 |
どの投手も理想とされる1イニング15球以下を、大幅に下回っています。個々に上げられたどの投手もコントロールが良いので、追い込まれたら打てないと思い、積極的に打ちに行っているのが裏目に出ているようです。特に東浜巨投手の打たせて取るピッチングに、見事に嵌ってしまい、若いカウントから凡打を繰り返した結果が球数の少なさにでていると思われます。技術の劣る打者が東浜投手のシンカーに、ことごとく引っかかってしまったのではないでしょうか。チームの打撃方針もあるかとは思いますが、あまりにも単調な試合運びではないかと思います。できれば、それぞれの打者が自らの力量を考えて、待球するなどのチーム打撃をしてもらいたいと個人的には思います。全員が自分の力を信じて、バットを振り回すだけの繰り返しは、見ていてもつまらないものです。
東浜投手は一人当たり約3球しか投げておらず、自らの術中にはめた投球術を褒めるべきなのでしょうか。
自分の力を信じて自分のプレーをするのは個人競技だけ
以前サッカーで、“自分たちのサッカーが出来なかった”というコメントがよく出ていました。力や技術が上の相手に対して、自分たちのプレーをと思っても、出来るはずがありません。かつてイタリア代表は、リアクションサッカーを展開しました。ブラジル代表などのポゼッションサッカーから見れば、保守的な創造性に欠ける戦術だったと思います。しかし当時のブラジル代表とイタリア代表が打ち合いのサッカーをすれば、技術が高くスター揃いのブラジル代表に勝つ確率は低かったと思います。勝利が優先される代表サッカーで、イタリアが“カテナチオ”といわれた守備的サッカーを展開したことで、試合は手に汗握る展開となりました。
プロ野球も同じことで、今後また佐々木朗希投手相手に同じ様な凡打を続ければ、ファンは興味を失います。プロの打者はリアクションを求められるということを考えて、試合運びをしてもらいたいものです。